都道府県単位のPTA連合会が初の解散へ 「衝撃的だが必要」なぜ

聞き手・川村さくら

 岡山県のPTA連合会(P連)が2024年度末で解散する。文部科学省によると、都道府県単位のPTA連合会が解散するのは初という。PTAに詳しいフリーライターの大塚玲子さんは「都道府県単位という広域組織の解散は衝撃的だ」としつつ、「PTAの現場を支えるための団体に生まれ変わる契機にもなり得る」と指摘する。

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 市町村単位の解散は時折あったが、都道府県単位の解散は聞いたことがなく、驚いた。

 岡山県PTA連合会は、解散の理由として、加盟員の減少を一因にあげているようだ。2008年に県内全21郡市が加盟していたが、今年度は5団体にまで減っていたという。加盟員の減少に伴って年会費を100円値上げしていたというから、経済的にも労力的にも、残っている加盟員の負担が年々増し、それがさらなる脱退を呼んで、解散にまで至ったのではないか。

 加盟員の減少を理由にした解散は、市町村単位ではすでに起きている。2018年には神奈川県藤沢市、22年には滋賀県草津市で解散が起きた。

 なぜ加盟員が減少するのか。PTA連合会の存在意義が、保護者側にとっては実は少ないからだろう。なくなると「行政などへの要望活動ができなくなる」という人もいるが、地元議員に相談したり、署名サイトを利用したり、ほかの方法はいろいろある。

 学校単位のPTAが、市町村単位や都道府県単位に加盟することは任意だと知られるようになったこともP連離れを後押ししていると思う。

 ではなぜ、そもそも市町村単位や都道府県単位、その上にある全国組織「日本PTA全国協議会」(日P)がこれまで存在してきたのか。文部科学省や都道府県教育委員会にとって便利だからだと思う。日Pや、都道府県単位の同意を得れば、保護者から同意を得たと行政側は言うことができる。

 しかし、実際には日Pや都道府県単位が保護者の意見をすべて代弁できるわけでもない。例えば、コロナ禍では、子どもたちの負担軽減のためとして「9月入学」が議論された。日Pは強く反対したが、賛成意見の保護者も多く、日Pへの大きな反発が起きたのはその一例だ。

 都道府県単位や日Pは、決して現場視点の団体とは言えなくなっており、一度組織を作り直した方が良いと思う。その上で、文部科学省や教委のためでなく、本当に必要な組織だというのであれば、希望する保護者らが自由に活動する中で、再び結成すれば良いと思う。(聞き手・川村さくら)

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この記事を書いた人
川村さくら
ネットワーク報道本部|大阪駐在
専門・関心分野
人権、差別、ジェンダー、サブカル