活動は、私の純粋な疑問から生まれた
接種を選択したものの私が接種した当時は、「キャッチアップ接種制度・償還払いの制度(※1)」がありませんでした。4価ワクチンを自費で接種したのですが、5万円の負担があり、大きな出費に衝撃を受けたことを覚えています。このとき、「どうしてもっと早く、HPVワクチンの必要性を学校で教えてくれなかったのだろう」と純粋に疑問を持ったのです。
※1:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000934063.pdf
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また、同時に思ったのが、情報格差でした。私は医学部という環境にいたため、自分の健康を守る情報を手に入れやすい状況にありました。ですが、他の学部や大学に進んだ友人たちは「ただ知らなかっただけ」というだけで、HPVワクチンの情報も知らず、接種を受けず、将来的に子宮頸がんのリスクにさらされてしまう……。
この事実が、医師の卵として許せませんでした。このときすでに、子宮頸がんがどんな病気であり、女性の人生を大きく変えてしまう可能性があることもすでに学んでいたので、友人がもしも子宮頸がんに罹患した結果、自分が望んだライフプランとは異なる選択をしないといけないことや、最悪の場合、命を落としてしまうことを想像すると、胸が苦しくなりました。
そういった想いから専門家である医師と、HPVワクチンについて専門的な知識がない一般の方たちとの間の立場である医学生という立場を生かして、啓発活動を始めたのです。一般的な感覚を持ちながら、医学的根拠に基づいた情報を多くの方に届けられたら、という想いでした。また、子宮頸がんの話題を入り口に、健康に対する意識が上がることも、意義深いと考えたのです。