何よりも大切なのは「じぶんごと」にすること
そして、私たちが何よりも大事にしているのが、「じぶんごと」にしてもらうことです。私自身もそうでしたが、10~20代で自分の健康に高い関心がある人は、ほとんどいません。「自分は元気だから大丈夫だ」と考えてしまうのは仕方がないことだと思います。ですが、子宮頸がんは症状が出る前に検診で早期発見し、早期治療につなげることが重要です。そのため、元気なうちから「自分に関係がある問題」「もしかしたら自分もかかるかもしれない」と「じぶんごと」として関心を持つことが非常に大切なのです。
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HPVワクチンの活動をしていて感じるのは、10~20代もその親世代も「がんは高齢の人に多い病気だから自分は関係ない」と線引きをされている方が多いことです。ですが、子宮頸がんは他のがんよりもかかる年齢が低いのが特徴です。妊娠や出産などのライフステージの選択にも関わる20~30代からかかる人の数が増加し始めます。
若いうちに予防行動をとることで、10年後、20年後にがんになるリスクを減らせるというベネフィットを感じてほしいと思うのです。ワクチンによるベネフィット(恩恵)は、すぐには現れず、「よかった!」ということを実感できません。そんなことからワクチンを接種することによる将来のベネフィット(がんを防ぐことができること)は、接種しないことによる現在のベネフィット(体調不良になる可能性がない)より差し引いて考えがちです。
でも、将来の自分を想像してみてください。子宮頸がんに絶対罹らないといえるでしょうか。妊娠・出産を望んだときにもしも子宮がなかったら……。「きっと自分は大丈夫」と「他人事」だと捉えて目を背けるのではなく、まずは「じぶんごと」と捉えてほしいと思うのです。