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みなさまへ 休憩所2について設計者である私からを発信いたします。 〇休憩所2の建物概要 休憩所2は、休憩所・案内所・トイレ等の屋根と壁を持つ建物と、屋外にあるパーゴラで構成されています。壁と屋根で囲まれた屋内の休憩所が、休憩所2の敷地内にあります。 〇設計コンセプト 「石のパーゴラの設計意図」 夢洲をはじめとする大阪湾の埋立地では、開発の際に大阪湾の海底の土砂が掘り起こされ、結果として、大阪湾海底には無数の窪地が生まれました。現在、大阪湾では生態系の悪化が進んでおり、窪地に沈積した有機物が原因の一つではないかと言われています。こうした窪地への対応策の一つとして、自然石で窪地を埋める、という方法があります。 私たちは、半年間の会期を終えた後に、窪地を埋める役割で再利用したいという理念から、休憩所で自然石を使用したいと考えました。 今日の技術を用いれば、従来の石の使い方から飛躍した、新しい石の使い方ができるのではないかと考え、パーゴラを考案しました。 石という素材は、圧縮に強く引張に弱いというのが定説ですが、リサーチと実証実験、構造検討を進めていく中で、石を吊った場合(ケーブルとの接触面に引張方向に力がかかる)でも十分な耐力があることがわかりました。 石のパーゴラが、万博という枠組みを超えて、サスティナブルな素材としての自然石の利用を広めるきっかけとなれば、と考えています。 〇安全性の検証 安全性の検証については、建築構造設計の専門家が様々な専門家の知見を加えながら構造計算を行って計画の安全性をチェックしています。その上で民間指定確認検査機関にて工作物の確認申請を行い、構造計算の内容も含めて審査を受けており、建築基準法に基づく構造安全性に適合した計画となっています。 「パーゴラの構造計算の概要説明」 建築基準第法88条の規定により同法第 20 条に準じた安全確認が必要となりますが、その方法として常時荷重、風荷重、地震荷重に対する許容応力度計算を行っています。各種構成部材の安全性の検証に加え、石を吊るすケーブルにおいては、災害時でも石同士の衝突が起こらないよう解析結果を設計にフィードバックし、安全性の確保に努めています。石自体の安全性については、先行事例が少ないことから構造計算に加え、実験やモックアップによる検証も踏まえながら、細心の注意を払って設計・監理を行っています。 「構造計算で想定している風や地震について」 風荷重について、昨今の異常気象を鑑みて、大型台風を想定した最大級の風圧や動的風圧力に対して検証を行い、建築基準法で定められた一般的な建築物に求められる耐風性能を上回る安全性を確認しています。また地震動については、仮設の工作物ではありますが、同規模の建築物に求められる以上の耐震性能を主架構にて確保しています。石を吊るすケーブルにおいては、その周期特性も鑑みて南海トラフ巨大地震を想定した長周期地震動に対しても安全性を確認しています。 〇石の安全性について 「石の強度について」 大学教育機関の実験室で岩石の研究者の協力のもと、今回使用する4種類の石(花こう岩)の引張強度試験を行っています。石はコンクリートと同様に圧縮に強く引張に弱いという特性があり、石を吊り下げたときにケーブルとの接触部分に発生する引張力が、割裂破壊を引き起こさないことを検証するための試験になります。 試験方法は圧裂引張強度試験です。圧裂引張強度試験とは、石材の引張強度を求める際に用いられる一般的な試験方法で、円柱形の試験片に線荷重を加えて破壊し,引張強さを求める試験方法です。 研究者の監修の元、十分なサンプル数の試験を行い、すべての試験片において、構造計算にて算出した石の引張応力を十分に上回る耐力を確認しています。 「石の検品方法・孔あけについて」 自然石は工場製品のように品質が均一ではないため、割れる可能性のある石が混入しないよう、熟練の石工による打診検査や目視検査を入念に行い、検品をクリアした石のみをパーゴラに採用しています。 石への孔あけは、熟練の石工による異方性の確認を行った上で行います。石に孔をあける方法は一般的にはコアドリルを用いることが多いのですが、コアドリルの孔あけでは、石の内部にクラックが入っていても孔をあけられてしまうというデメリットがあります。そこで今回は、削岩機を用いた孔あけを実施しています。削岩機での孔あけは、石を打撃することで孔をあけるため、内部にクラックが入っている石は孔あけの最中に割れることになり、孔あけと検品を兼ねることが出来るメリットがあります。 〇実証実験等による台風等の影響について 「原寸大模型(モックアップ)の概要、試験結果について。」 原寸大のモックアップを作成し、一定期間存置しながら、石やケーブルの様子、強風時の挙動の確認をおこなっています。また施工手順や施工精度の確認も併せて実施しました。設置から9カ月経過していますが、石の割裂やケーブルの破断は確認されず、設計者が想定している強度の確保ができていることを確認しています。 また先述の通り、大型台風等の非常時においても石同士がぶつからないよう、構造計算結果を元に石を吊るしたケーブル間には十分な間隔を確保しております。先日の台風10号においても、多少の揺れは確認できましたが、石同士がぶつかるといった大きな揺れは確認されず、問題はありませんでした。 以上、設計者からの石のパーゴラに関する情報発信になります。 入札については、博覧会協会の契約ルールに則り手続きがなされていると承知しております。 今回お知らせした情報を含めて、休憩所2整備事業にかかる一般的な問い合わせにつきましては、博覧会協会にお問合せいただきますと幸いです。 工藤浩平