純白 ~『がんばって』~


 牧野すず(2年)は、雪山合宿所の中を歩き回っていた。
 手には「牧野すず 野外排泄見学ツアー」と書かれた旗を持っている。
 すでに額には大粒の汗が浮かんでいる。
 男子を見つけるや、小走りに近づくと、少女の口から出るとは思われないような言葉を発した。
「ウンコをさせてください!」
 この合宿では男子を最低5人つれていかないと排泄できない。

―――小さい方でも恥ずかしいのに―――

 そう思って最初はもじもじと男子にお願いしていたのだが、誰もついてきてくれない。
 そうしている間にも、自分の身体のリミットは近づいてくる。
 男子たちが自分を見て大笑いしているが、もう恥ずかしいだの何だのと言っていられる余裕はない。
「お願いです!ウンコ、ウンコさせてください!」
 ここぞとばかりに男子はいやらしい質問を浴びせる。
「いつも快便のすずちゃんじゃん」
「さっきバスでぶっといウンコしたばっかでしょ」
「すずは…、すずはウンコするの大好きなんです!」
 もう、自分で何を言っているのかわからない。
 だが、もうどうしようもない。
「それなら1人ですれば?」
「みんなにウンコ見てほしいの!」

―――恥ずかしいことを言わないと排泄させてもらえない―――

 そう経験的に知っているすずは、思いつく限りの言葉を並べた。
 

「今から、すずがぶっといウンコをします。
 今から、すずがぶっといウンコをします」
 結局、そう言いながら外まで歩くという条件つきで、同伴を同意してもらえた。
 あれだけ同伴を拒否していたはずだが、気づくとクラスの男子どころか、他の学年の生徒までついてきていた。
「ここだ」
 男子が場所を指定すると、すぐにパンツを下ろし、しゃがみこんだ。
 限界まで便意がきていたとはいえ、恥ずかしさからなかなか出てこない。
「すずちゃん、肛門ひくついてるよ~」
「い、いやぁ…」
 数秒の後、肛門が広がり茶色い塊が出てきた。
 可愛らしい外見にはそぐわないほど穴は大きく広がり、太く黒い塊がひり出されてくる。
「今日の昼より太くないか~?」
「4cmはいってるぞー!」
 すずは健康的な体で、1日に何度も、大量の排便をする。
 朝、寮ですませても、午後学校でまたしたくなるほどである。
 そして、その排泄物はしっかりと水分はなくなっており、太くて長い。
 医学的にはうらやましいぐらいの健康体だが、思春期のすずにとって、このことは大きなコンプレックスである。
 顔が真っ赤なのは、何も息んでいるからだけではない。
 恥ずかしい穴から出てくる棒は丸まりながら伸びていく。
「お、今日は左まきだ!」
「そ!そんなこと…」
「お!二つ目が出てきたぞ!」
「や、やめて…」
「あ、すぐ切れちゃった」
「お、お願い!見ないでー!」
 

 すべての排泄が終わった。
 すずは羞恥に体を震わせている。
 紙が手渡される。
 排泄も恥ずかしいが、排泄後のふき取りまで見られなくてはならない。
 しかも、これで終わりではない。
 すずは立ち上がると、白い地面にある黒い塊を指差した。
「みなさま、右手に見えますのが、すずの、ウ、ウンコ…です」
 排泄したい一身だったさっきとは違い、冷静な今では、「ウンコ」という言葉もはばかられる。
 しかし、しっかりと「ガイド」をしなければ帰れない。
「この…一番太くて、長いのが1番目、このすごく短いのが2番目、これが3番目…、全部で4個の…ウンコです…」
 自分の排泄物を解説する、これほど屈辱的なことはない。
 しかし、男子はそんなすずに質問を浴びせてくる。
「太さはどれぐらい?」
「えっと…、4cm…ぐらいです。
 いつもより…太いです」
「今日のウンコの状態、どうなの?」
「え、…色は…黒め…です。
 私は…いつも…くろっぽくて…、固めです。
 量は、…いつもどおり…です」
「いつも多いよね~!」
「回数も多いし」
「絶対ケツの締まり悪いよな~」

―――お願い、早く終わって!―――

 そう祈りながらも、男子たちの質問にひとつずつ丁寧に答えていった。
 そしてようやく排泄物の説明が終わったのだが、まだこれで終わりではない。
「さ、紙の説明は?」
「は、はい!
 その…あの…今日は紙は…2枚でした。
 1枚目には…その、…ウ、ンコがついていますが、2枚目には…ついていません…」
「汚れの大きさは?」
「え、…………。
 うぐっ…、うぐっ…1cmへぐっ…でうぐっ…す…」
 そう言うと、すずの頬を涙が伝っていく。
 すずは声を挙げて泣き出してしまった。
 年端もいかない少女が排泄、排泄物を晒し者にされたのである。
 惨めさ、悔しさ、恥ずかしさ…それに耐えきれなくなってしまうのも無理はない。
 茶色い塊、そして黄色く染まった雪の横に、透明の液体が落ちていく。
 その様子を、男子は楽しそうに眺めていた。
 

 全てが終わり、すずが部屋に向かい歩いていくと、向こうから旗を持った少女が男子を引き連れて歩いてきた。
「奈々ちゃん…」
「せ、せんぱい…」
 あの「センパイ」が顔を泣きはらし、鼻水までたらす情けない姿で戻ってくるのを見て、初めての排泄となる奈々はとても不安になった。
「…がんばって…」
 乙女心をずたずたにされているすずには、そう言うのが精一杯であった。
「早くしようよ~、下痢ピー奈々ちゃん」
「は、はいっ!」
 慌てて歩き出す奈々のパンツには大きな穴があいており、かわいいお尻が丸だしだった。
 それを見たすずは、また泣き出してしまった。


文章:帰ってきた暴走アフラマズダ十三世7(元は) さん


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