福島から自主避難 子どもたちの思いを詩に 7月27日、大磯の小中高生が朗読

2024年7月25日 07時32分
詩の朗読を練習するSSGのメンバー=大磯町で

詩の朗読を練習するSSGのメンバー=大磯町で

 神奈川県大磯町で活動する2団体が「一隅を照らすプロジェクト 原発被害13年目の避難生活から学ぶ」と題する集会を27日、JR大磯駅前の聖ステパノ学園・海の見えるホールで開く。東京電力福島第1原発事故で福島を離れざるを得なくなった子どもたちの思いが表現された詩を同町の小中高生らが朗読し、福島県いわき市から家族で東京都内へ自主避難した鴨下美和さん、全生(まつき)さんの親子が講演する。(吉岡潤)
 英語講師の春田奈緒美さんが責任者を務める小中高生らの団体「さざれ石学生英語ガイドボランティア」(SSG)と、子どもたちを大磯に招いて保養を実施するなど福島の人たちと交流を続ける「福島の子どもたちとともに・西湘の会」の共催。SSGは英語を学びながら英語ガイドや海岸清掃などに取り組み、パキスタンやアフガニスタンで医療・農業支援や水の確保などに尽力した医師の故中村哲さんの活動を勉強し、紹介する写真展を2021年から毎年開いている。
 昨年10月、春田さんは鴨下美和さんの講演を聞き、原発事故による被害の実相に衝撃を受けた。家族が離れ離れになったという話に中村さんの著書で読んだアフガニスタンの状況が重なり、「もっと学びたい」と今年1月、鴨下さんを招いて交流会を開いた。
 その会で福島から避難した子どもたちの悲しみや不安、望郷の念などが描かれた詩画集「ひまわりの丘」の日英対訳本に収められている詩を、SSGのメンバーが朗読した。本は鴨下さんから贈られたもので「詩を読むと、福島の事故について知らない子どもも同じ思いを共有できるのではないかと考えた」と語る。
 朗読を会場で聞いた「西湘の会」代表の大石恵子さんは「若い人たちが関心を持ち、つながってくれることがとてもうれしかった」と話す。その後、春田さんは大石さんらと話し合い、より多くの人に聞いてもらおうと準備してきた。
 今回、就学前の園児から高校1年生まで18人が日本語と英語で朗読する。原発事故発生時に生まれていなかった大磯中学1年の富田あさひさん(12)は詩を読んで「身近なものがある出来事で身近でなくなってしまうのが悲しく、出来事が起こる前に帰りたいという気持ちが伝わってきた。当たり前の生活が幸せなんだなと思った」と話す。
 講演する鴨下さん親子は全生さんが8歳のときに原発事故が起きて自主避難した。19年、高校生だった全生さんは被災者を取り巻く不条理を訴える手紙をローマ教皇に送ってバチカンに招かれ、同年に東京で教皇に再会した経験がある。春田さんは「2人の話を聞いた人が自分に何ができるかを考え、行動を起こすきっかけになれば」と願う。
 午後1時半開始、入場無料。問い合わせは「福島の子どもたちとともに・西湘の会」のホームページからメールで。

関連キーワード


おすすめ情報

神奈川の新着

記事一覧