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ひとり親世帯の生活安定へ
政令市初 養育費を立て替え
元配偶者に市が督促や回収
さいたま市
離婚後に支払われる養育費受領率の低さは、全国的な課題である。さいたま市は本年度から、不払いとなっている養育費を市が立て替え、支払義務者である元配偶者に支払いを働き掛ける「養育費立替支援事業」を政令市で初めて開始し、これまでに約30件の問い合わせがあった。
市担当者(手前2人)から事業の申請状況を聞く党市議団のメンバー
厚生労働省の調べでは、離婚後の養育費受領率は全国で28.1%(2021年度時点)。低水準にとどまる中、今年6月に成立した改正子どもの貧困対策推進法には離婚後の養育費受領率向上が明記され、国を挙げて改善に動こうとしている。さいたま市の「養育費立替支援事業」は、こうした国の動きに連動する形だ。
同事業は、不払いが発生している支払義務者に対し、市が支払いを働き掛け、それでも払われない場合、申請した親権者に市が対象の子ども1人につき、毎月5万円を上限に立て替える。期間は最大3カ月。支払義務者に対して市が直接、立て替えた費用の督促と回収を進める。
申請者は市内に住むひとり親世帯の母または父。①児童扶養手当を支給されている②養育費の取り決めに関する債務名義を有している③養育費の対象となる子どもを育てている④前月分の養育費が支払われていない⑤これまでに同事業を申請していない――の全5項目に当てはまることが条件。問い合わせがあった33件のうち、16件が申請を済ませている。
市はこれまで、養育費の回収に必要な公正証書を作成する経費や、保証会社と養育費保証契約を結ぶ際に負担する費用などに関する補助事業を実施。養育費の支払いに関する取り決め策定を促してきた。今回の立替支援事業は取り決めが守られなかった場合の対応策として期待されている。市担当者は「養育費の不払いを減らすことで、子どもの貧困をなくし、健やかな成長を促すことができる」と力を込める。
党市議団、不払い解消の支援推進
養育費の不払い対策については、公明党市議団(小森谷優団長)が議会質問や予算要望を通して一貫して推進。2020年9月定例会では神坂達成議員が「養育費の支払い確保はひとり親世帯が苦しむ貧困問題に直結し、公的支援の必要性は明らかだ」と強調し、支援メニューの充実などを求めていた。