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2024.09.04 09:00

米ディズニーの来場者を狙う「小児性愛者」、生成AIの悪用で逮捕

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米フロリダ州オーランドにあるディズニー・ワールドは一般的に、子供たちに最高の思い出を与える場所だと考えられている。しかし、そこを訪れる子供らの動画を撮影し、児童の性的虐待のコンテンツ(CSAM)を作成していた小児性愛者(ペドフィリア)が逮捕された。

今月初めにオーストラリアの当局者にこの事件を説明した連邦捜査官によると、2023年半ばに逮捕されたジャスティン・カルモ容疑者は、ディズニー・ワールドと少なくとも1つの中学校で撮影した画像を、人工知能(AI)ツールのStable Diffusion(ステーブル・ディフュージョン)で加工し、数千枚の違法画像を作成していたという。

カルモは、自身の2人の娘に対する虐待や未成年者を密かに撮影し、ダークウェブ上で児童性的虐待のコンテンツ(CSAM)を配布したことを含む児童性的搾取の容疑により、フロリダ州で起訴された。カルモは昨年、無罪を主張しており、10月に陪審員裁判が開かれる予定だ。

「これはプライバシーの重大な侵害というだけでなく、子供たちの安全を脅かす攻撃だ」と、元国土安全保障省の捜査官のジム・コールは述べている。25年にわたり児童の虐待の調査担当者を務めた彼は、カルモ被告のオンライン上の行動を追跡してきたという。

カルモの行為は、生成AIがもつ画像の生成能力を悪用した例としては、恐らくこれまでで最も気味の悪いものと言える。彼は、ディズニー・ワールドの来場者の多くを標的にした可能性があるが、ディズニーは、この件について法執行機関からの連絡を受けていないと述べている。

コールによると、カルモは世界の法執行機関の間ではよく知られた小児性愛者で、当局は2012年から彼を追跡していたという。この事件を担当した刑事は、顔認識テクノロジーを使って被害者の一人を特定し、加工された画像を辿って容疑者のカルモを割り出した。

この事件を含め、AIが実在の子どもの写真をリアルな性的搾取画像に変換するために使用されるケースが増えている。司法省は今年8月、セス・ヘレラという名の米陸軍兵士が生成AIツールを使って児童の性的画像を作成したことに対する告訴状を公開した。また、今年初めにウィスコンシン州のスティーブン・アンデレッグという名の男は、インスタグラムで募集した子供の画像から、CSAMを生成したとして告発された。

小児性愛者が最も利用するツール

コールによると、ステーブル・ディフュージョンにはセーフガードが組み込まれておらず、生成した違法画像をAIプロバイダーのサーバーに保存して検知されるリスクがないため、小児性愛者が最もよく使う生成AIツールになっているという。コールは、テック企業や非営利団体による児童保護を支援するコンサルタント会社Onemi-Global Solutionsを設立し、同社のパートナーを務めている。

児童の性的搾取を担当する匿名の連邦捜査官によると、AIを使って実在の児童の性的画像を作成した場合は、通常のCSAMと同等の罪に問われる可能性が高いという。また、AIがゼロから違法画像を生成した場合は、米国のわいせつ物取締法で告発されるかもしれない。

「このようなコンテンツは基本的に、非常にリアルな絵と同じように扱われる」とその捜査官は語った。児童ポルノアニメは、米国において長年に渡って起訴の対象となっており、司法省は、AIで生成されたあらゆる違法なコンテンツに強硬な態度を取る構えだ。

「司法省は、そのような犯罪行為を法の及ぶ限り起訴していく」と、同省のリサ・モナコ副司法長官は述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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2024.07.28 14:00

デジタル時代の子どもたちを守るAI、その実例と展望

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我々の生活のすべての側面にテクノロジーが浸透するデジタル時代。我々のなかで最も脆弱な存在、つまり子どもたちの保護は、新しい次元にシフトし、新たな課題に直面している。

こうしたなかで人工知能(AI)は、希望の星として浮上している。AIは、単に進歩のためのツールではなく、複雑なオンライン世界における保護者として、活躍を始めつつあるのだ。

子どもたちにとってもっと安全な環境を作るために、AIがどのように活用されているのか、実際の応用例と、将来への展望を紹介しよう。

AIはデジタルな遊び場の守護者

インターネットは、学習や人とのつながりに役立つあらゆるリソースとチャンスを提供する一方で、若いユーザーにとってのリスクもはらんでいる。AIテクノロジーは、そうしたリスクに対して、用心深い守護者として介入する。人間のモデレーターだけでは不可能な規模とスピードで、オンラインコンテンツを監視・分析するのだ。

AIは、有害なコンテンツをフィルタリングし、性犯罪の脅威を検知し、教育リソースを提供することで、デジタルな遊び場の守護者として機能し、子どもたちにとって安全で成長できる空間であり続けることを保証する。

有害コンテンツの検知とフィルタリング

児童保護におけるAIの最もわかりやすく、かつインパクトのある応用例の一つが、有害なオンラインコンテンツの検知とフィルタリングだ。

グーグルやメタのような企業は、洗練されたAIアルゴリズムを採用しており、毎日何百万もの投稿・画像・動画をスキャンして、子どもにとって有害になる可能性のあるコンテンツにフラグを付けて削除している。これらのシステムは、膨大なデータセットに基づいて不適切な素材を認識するよう訓練されており、子どもたちが行き来するデジタル空間で性的搾取や虐待がないことを保証している。

ネットいじめにAIで対抗

ネットいじめはオンライン社会に蔓延する問題であり、数え切れないほどの子供や青少年に影響を与えている。AI技術は、積極的な解決策を提供し、テキストメッセージ、電子メール、SNSでのやりとりの中でいじめ行為を特定する。

インスタグラムのようなプラットフォームは、攻撃になりそうなコメントを投稿前に検知し、ユーザーに再考を促すAIツールを導入している。このようなAIの応用は、ネットいじめを未然に防ぐだけでなく、若いインターネットユーザーのあいだで優しさと反省の文化の育成を促進する。

児童の性的虐待と闘うAI

児童搾取との極めて重要な闘いにおいて、AIはかけがえのない味方となっている。米国NPOのThornや、全米行方不明・被搾取児童センタ(NCMEC)などの団体は、AIを活用して児童の人身売買や性的搾取の被害者を特定し、救出している。

Thornが提供するAIツールのSaferは、テクノロジー企業が児童性的虐待のコンテンツ(CSAM)を特定し、プラットフォームから削除するのを支援する。これらのAIシステムは、画像や動画を大規模に分析することで、被害者の迅速な特定を支援し、被害者の救出と、加害者の逮捕につなげている。

安全なネット利用習慣を育む教育に役立つAI

子どもたちを守るAIの役割は教育にも及んでおり、安全なネット利用習慣を育むためのガイドの役割を果たしている。

グーグルが開発した、AIを利用したゲームのInterland(インターランド)は、子どもたちに対して、魅力的でインタラクティブな方法で安全にインターネットを利用する方法を教えている。子どもたちはゲームプレイを通じて、フィッシング詐欺の見分け方、個人情報の安全性、責任あるインターネットの利用方法などを学び、オンラインで自分を守るための知識を身につける。
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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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