*ここはWiki旧コンテンツのアーカイブページです。暫定的に残っていますが、もう内容は保証されていません。
おっと失敬、頁を読み進める前に一旦手を止め、
以下に示す私的な体験の有無について、一寸ばかり思索を巡らせてくれたまえ。*1
「セイアは先生に向かって偉そうに喋っている」と感じた経験ってある?
おそらく大半の国内ブルアカユーザーは答えが一致するはず
しかし言語を跨ぐとそうとは限らない
以下、あなたが 「ない」 と答えた前提で話を進める
Q.前提が崩れた場合は?
A.下記内容がまとめて崩れる
このページはもはや有意な情報を提供できない
✨冒頭に変な文言が飾られた謎のページ✨と化す
このページ何の話?
ページ作成の経緯
こんにちは。セイアの実装が遅れる理由として韓国wikiでは日本版とグロ版のキャラ像が違いすぎるからセリフ収録できないのではという推測を掲載しているのですが(https://namu.wiki/w/%EB%B8%94%EB%A3%A8%20%EC%95%84%EC%B9%B4%EC%9D%B4%EB%B8%8C/%EC%82%AC%EA%B1%B4%20%EC%82%AC%EA%B3%A0/%EC%9D%BC%EB%B3%B8%20%EC%84%9C%EB%B9%84%EC%8A%A4#fn-33)、その推測の正否はともかくとして「日本版とグロ版のセイアは別キャラなのか」について管理人さんの見解を伺いたいです。 -- 2024-07-06 (土) 10:18:31
実装されない理由はさておき*2、セイアのキャラ像については一定の見解を示せる 示します
韓国ユーザーらが指摘する日本版セイア独自の口調
①二人称としての「キミ」
②語尾としての「~んだい」「~のかい」
③指示語まで含めた極端な漢字の多用(「ここ→此処」等)
韓国ユーザーらの認識
①日本版セイアの口調は
a.現実に照らすと
b.年配の人々が
c.対等~目下の
d.親しい相手に用いる
e.(立場としての尊大さを伴う)男言葉
である
②日本版セイアは上記口調を先生に対しても用いる
③しかし原文セイアはフォーマルな敬語を用いる
⇨日本版は大きくキャラを改変している
誤訳Wiki(※補注︰当時のWikiタイトル)としての見解
一言で
キャラは改変されていない
真正面から見解が割れた
そして日本語ローカル話となれば現地オタクたる我らの出番
韓国ユーザーらが見落としている点
日本版セイアの口調は
①創作物における[a]役割語?「書生言葉」の系統である
現代/現実の日本語口語を参照してもあまり意味がない
②[e]二次元美少女畑において標準的な口調の一つでもある
オタク文化上は「非常に高い知性」を表す
③それでも現実の歴史に照らすなら
分類は「近代知的エリートの[b]若者言葉」となる
④[e]女子学生によって用いられた時期も確かに存在する
- (参考)役割語
わしらは好んで用いるが実は日本語ローカルの呼び方なのじゃ
言語によって性質も様々ですからローカルで当然ですわよ(Wiki内↑リンク先ページからのコピペ)
近代史上の「書生言葉」
「それじゃ君やってくれたまえ。僕は勘定所じゃない。一代の才人ウェルテル君がヴァイオリンを習い出した逸話*3を聞かなくっちゃ、先祖へ済まないから失敬する」
(『吾輩は猫である*4』)
- 書生言葉
- 「明治(=標準語の誕生、学制のスタート)以降、高等教育に進んだ[b]若い知的エリート階層らに好んで用いられた口調」を指す呼び名
「役割語」には完全フィクションの記号・歴史上の実在口調に由来する記号どちらも転がっているが、書生言葉は後者の側
伝統的知識層の象徴として漢語を多用する 新時代知識層の象徴としてリアルタイム取り込みの西洋系知識/外来語も多用する「ボク」「キミ」「失敬」「~したまえ」「~かい?」
近代史上は主として男が用いた言葉 しかし[e]現実の女子学生らも短期間ながら用いていた- 短期間ながら
- 具体的には高等教育が始まった明治最初期以後、保守派の儒教勢力が明治天皇越しに男子と対等な女子教育へストップを掛けるまで
フィクションにおける役割語としての書生言葉
現実の話者 | ほぼ死滅済み まず書生がおりゃん |
創作一般 | 役割語(=古風な知的エリート)として温存 |
オタク文化 | 役割語(=古風な知的エリートの美少女)として温存 |
- このページに辿り着いているオタクなら、「セイアちゃん的に喋る二次元美少女」の先行例についてもナンボか類例を思い浮かべられるはず
- 真行寺由仁(プリコネ)
- しょうもないミーム(セクシーセイアですまない)の参照元/ユニ
作中ゲームにおいて、自キャラ「ユニ」のロールプレイ=意識的に発する役割語として書生言葉を用いていた
由仁本人は書生言葉を用いず(一応は)普通に喋る- 招聘された有名ライターの筆力込みで作中最も頭が良いキャラクターであり……といった話は他ページに書いてあるため省略
日韓の温度差に関する背景としての儒教
社会制度における儒教 | 社会規範における儒教 | |
韓国 | 資本主義経済/グローバル化(性差別解消)/競争社会の中で消えつつある もう儒教で飯が食える時代ではない | 「目上」相手の敬語の徹底 文法・話法においてはまだ色濃く残っている 年上(=儒教的には目上)への尊敬語が徹底される |
日本 | 終身雇用×年功序列が吹っ飛んだあたりで一緒に吹っ飛んだ | 磯野波平は現代社会にもう存続できない |
オタク文化的役割語/礼儀正しさを表す記号の絶縁
書生言葉は現実の用例として知的エリートの言葉であったため、創作物における用例も「知性」または「エリート」または「エリートとして振る舞う奴の鼻持ちならない態度」と結び付く
- 官僚のおっさんあたりに書生言葉を喋らせれば、即座に高慢な態度を示すネガティブな記号として機能する
しかし役割語の占めるウェイトが大きい(設定上のプロフィールが口調に強く影響する)二次元美少女コンテキストにおいて、[c][d]日本版セイアちゃんの口調は「尊大/非礼な態度」を意味してはいない
- 二次元美少女的コードにおいてはざこざこざぁ~こ♡くらいまで行ってようやく非礼な態度を意味する記号となる
日本版セイアの口調が意味するところは要するに「やたら小難しい喋り方をする=賢すぎて周囲から浮いている女の子」であって、「知的なおじさまみたいな喋り方の女の子」ではない これは原文の設定にしっかり準拠している
- 目上/目下、あるいは礼儀正しさといった尺度とは何も関係がない
二次元美少女に書生言葉を喋らせても、基本的には知性を示すポジティブな記号(あるいは浮世離れを示すニュートラルな記号)にしかならない
サンクトゥス派トップたるセイアちゃんは官僚どころか三頭政治における首脳の一人にしてガチガチの権力者、しかし日頃そのように見ているオタクは全体の何パーセントだ?
- 二次元美少女キャラクターは官僚であろうと首脳であろうとまず最大の記号として美少女であるため、役割語の意味するところも通常のそれとは大きくズレる
ページ冒頭に転がっている謎の文言について、おっと失敬、頁を読み進める前に一旦手を止め、
以下に示す私的な体験の有無について、一寸ばかり思索を巡らせてくれたまえ。
①話者がセイアちゃんである場合
②話者がセイアちゃんではない場合
この二通り想像してみてほしい 印象変わるだろ?
滔々と語るセイアちゃんを見て「こいつ変な喋り方してんな」と捉えたユーザーはいても、「こいつ偉そうで無礼な喋り方してんな」と捉えたユーザーはおそらく国内にほとんどいなかった/いないはず
しかし文化的背景がズレれば認識もズレる
日本版/原文セイアの口調における特徴(役割語)
キャラ像理解であれ物語読解であれ、日本版セイアの口調は(日本版ユーザーに対しては)原文に存在しない何かをもたらしたわけではない
原文セイアは漢字語(≒漢語≒文語的表現)を多用している
⇨日本版も知識層特有の喋り方を適切に踏襲して役割語を設定している
- 神話における自己成就型予言の解釈について雑談する女子高生はあまり一般的な存在ではない
銀行強盗の計画を立てる女子高生と同程度には中央値的表現と離れた人格が設定されている
「回りくどく、同年代に伝わりにくい話し方」も原文準拠
⇨「芝居がかった語りの口調」がキャラクター/5-1シナリオにおけるギミックの中核*5と結び付いて理解されたシュロ(日本版)とは前提が異なる/シュロは被せた役割語が読解に直接影響しているかなり特殊なケース
結論
「原文の趣旨を変えない役割語」の使用は、翻訳一般において性格や演出の改変であるとは見なされない
セイアちゃんについても韓国語⇨日本語における正当なローカライズの範囲内であると評価されるべきだろう
シナリオ読解に響かない限り、文単位で何をどう変えようとローカライズ(カルチャライズ)現場の裁量と見なす
(誤訳Wikiが「誤訳」と見なす基準?ページ>誤訳と見なさないもの項)
- 役割語は「他言語の(特にフィクションの)テキストを翻訳する際、翻訳者が原文の細かなニュアンスを反映する目的で用いてもよい武器」と位置付けられる
(リアリズム小説に限れば安直に使うと問題*6が生じる/ブルアカはそうではない)- こうした観点に立つなら、役割語たる日本版セイアの口調は「賢すぎて周囲から浮いている女の子」という原文内のエッセンスを日本語ローカルのコンテキストに翻訳するための手段であり、口調を変える目的で設定されているわけではない……ことになる
- そんなわけで
- このWikiとしては、
「通常ローカライズの範囲で日本版セイアちゃんに被さった地域ローカルかつオタク文化特有の二次元美少女的役割語に関し、少なからぬ韓国ユーザーが含有するニュアンスを誤読した」
と厳しい評価を海越しに渡す形になる- 前提がオタク方面に突き抜け過ぎている
韓国ユーザーらの理解(日本版セイアのような口調=年配の話者による口調)もオタクコンテンツの外においては十分に正しい
二次元美少女方面の役割語コードは通常の日本語学習でカバーできる領域ではない 仕方ない
- 前提がオタク方面に突き抜け過ぎている
役割語被せただけで性格改変扱いになってしまうなら、行き着く先はにぎゆきスタイルしかないぞ
ノーモアにぎゆき
(参考)全く、君は頭蓋骨の中に海綿体でも詰まっているのかい♥♥
言ってない台詞
初年度ユーザーコミュニティによる風評被害
【ブルアカ】ブルーアーカイブ -Blue Archive- Part1486
https://krsw.5ch.net/test/read.cgi/gamesm/1639803005/?v=pc702 名無しですよ、名無し!(埼玉県) (ワッチョイW 21aa-IZF1 [60.93.191.92]) 2021/12/18(土) 21:49:35.86 ID:FhORkcQP0
セイアちゃん押し倒して****7したい
セイア
「抵抗はしないよ、んっ、こうなることは分かっていたし……ふあっ♥……全ては……っ……無意味だからねっ……♥
このまま私は君に女にされて……っ♥、お嫁さんにされてしまうのだろう♥
全く、君は頭蓋骨の中に海綿体でも詰まっているのかい♥♥」
頭蓋骨の中に海綿体詰まってた奴の投稿がミーム化してしまった例
しかしこのミームの言い出しっぺ↑は「日本版セイアの口調=二次元美少女的役割語」と適切に書生言葉を理解していた
したがって誤訳Wikiとしては
日本版セイアちゃん解釈の精度は
海綿体コピペ>namuwiki標準理解
このように評価せざるを得なくなる やな評価だな…
- どれだけ文法が近かろうと母国語の壁は厚い
(参考)若者言葉であった書生言葉に後々「年配の話者」イメージが生えた理由
若者はいずれ老いる
「ある世代に特有の口調」は年月を経るほど使い手の平均年齢が引き上がっていく
数十年前からタイムスリップしてきたような古のネットスラングを若者言葉のつもりで用いる現代インターネットに疎いおじさんおばさんと遭遇したことはあるか?
あるならば、アレこそが役割語として通時代化・普遍化し損ねたスラングたちのあまねく辿る末路となる
(オマケ)ページ内容の信憑性
ページ冒頭の質問が全ての前提 そこさえ共有していれば結論まで一直線だと思う
どうよ? ボール丸投げ
「なぜ書生言葉が二次元美少女キャラの属性として根付いたのか?」をセットで書き連ねればナンボか説得力が増すはず
しかし実際にそこ(オタクカルチャーにおける攻略対象としての二次元美少女の知性)を真面目に論ずると、おそらくオタクカルチャーというよりはオタクカルチャーに対立する方面の話へ辿り着く 辿り着いても仕方ないため控えておく