*ここはWiki旧コンテンツのアーカイブページです。暫定的に残っていますが、もう内容は保証されていません。
(※ストーリー関連の誤訳、「誤訳とまでは言えないが怪しい訳」派生ページ)
エジプト神話のややこしさ×現代日本語の語義ズレ
本当にややこしいので疲れていない時にゆっくり読んでね
+ついでの付録でアビドス関連元ネタ話
暁のホルス / 새벽의 호루스
1-1-17
1-1-17黒服の台詞 | |
英語 | I've been waiting for you...Hoshino. That is your name, correct? I hope you'll pardon me if that was impolite. (待っていましたよ…ホシノさん。それがあなたの名前ですよね?もしも失礼にあたりましたらご容赦を。) |
韓国語 | 기다리고 있었습니다. 새벽의 호루......, 아니, 호시노라는 이름이었죠. 실례했습니다. (待っていました。**のホル…いえ、ホシノという名前でしたね。失礼しました。) |
日本版 | お待ちしておりましたよ、 暁のホル······ いや、 ホシノさんでしたね。 これは失礼。 |
あっこれは初期の英語ローカライズ叩かれて当然だわ…*1
ではなくて
一般名詞「새벽」の訳は「暁」でほぼ問題ない
一般名詞としては「暁」で大抵通る
日本語では「暁、明け方、早朝、夜明け、有明、……」などと訳す
英語であればdawnやdaybreak
要はまあ「夜中回ってから朝にかけての時間帯、かつどちらかといえば朝寄りかな? くらいの区間」を指す
- 有明はオタク向けコンテンツ限定で特殊な意味を持ってしまうため除外するとして…
普通はどう訳そうと似たような意味となる
一般名詞としての話なら「暁」訳でなんら問題ない
実際日本語「暁」を韓国語に訳す場合も(辞書的な)対訳は새벽と定義されている
しかしこれは一般名詞ではない
問題は「ホルス」を修飾している単語である点に尽きる
「ホルス」の内訳はクソほどややこしい
エジプト神話は長く古い歴史を持つ
問題があるとすればあまりに古すぎる長すぎる、紀元前3000年ってなんだよ
「神話の舞台が推定紀元前3000年」ではなく
「考古学的知見として紀元前3000年を生きた現実の人々が同時代史料として遺している神話」となる
- これは聖書(推定成立年代紀元前6~2世紀)を鼻で笑えるくらい古い
ホルス神は出自が古すぎて時のファラオ*2やら信仰やらとグチャグチャに混ざり、それはもうわけが分からないことになっている
日本版Wikipediaは大ホルス/小ホルスとしか分けていないが不正確、地元の学者はもっと細かく分けている
(仏Wikipedia:あいまいさ回避ページに列挙されたホルス神 これ全部別々の「ホルス」)
後世の人々が必死こいて神話を整理し、
「エジプト神話には時代ごとに異なる神話的文脈で語られる何種類ものホルス神がおり、しかも多くが太陽神(ラー)信仰とごちゃまぜになったようだ」とまでは紐解いた
- FGO一部6章あたりで魔神柱アモンがほぼ同名の太陽神アメン*3を経由していきなりアメン=ラーになり、居合わせたラムセス2世がテンションブチ上がっていたシーン 覚えている人もそれなりに多いだろう、あの急にボス戦の難易度上がる場所
あれはこの辺の話と同じく古代エジプト人に混同(習合)されまくる太陽神周りのゴチャゴチャを引いていた
↑の個々のホルスについて
英語版Wikipediaがある程度詳しい
以下に数種類ピックアップする
「☆3ホルスPUイベント」開催予定!
ホルス達の限定ストーリーをお楽しみに!
天空神としてのホルス
最古の神、概念系の神に近い扱い
右目が太陽に、左目が月に結び付けられていた
ブルアカにはオッドアイの生徒がいましたね
再生(日が昇って明るくなる)と死(日が沈んで暗くなる)を同時に司る形であり、エジプト的死生観すなわちこのホルスとなる
- 長いスパンでは月そのものも満ち欠けが死と再生に紐付けられる
日本や韓国では大ホルスと呼んでいる
本来セト神相手に戦っていたのもこのホルスだったと考えられている
しかし元来の天空神っぽいポジションはオシリス(のち↓)に、神話的エピソードは↓に取られてしまった
オシリス&イシスの息子としてのホルス
父(オシリス神)を殺したセト神相手に延々争って復讐を遂げる神話シナリオの主人公、英雄としてのホルス神
当時のエジプト人が天空神としてのホルス↑から神話的エピソードを抜き出しまくったため、両者は同一視されたりされなかったりする 現代人はもう誰も正確には理解していない 古代のファラオでも墓から掘り返して訊いてくれ たぶん奴らも理解してないぞ
アヌビス神やらネフティス神やらもこのホルスの同期
同期に一通りのビッグネームが並んでいるため、単にホルスと言った場合はこのホルスを指す場合が多い 日本や韓国で小ホルスと呼ぶ場合もこのホルスを指す場合が多い
- 延々争って
(英語版Wikipedia)
??????????
????????俺からの建設的な提案︰何も見なかった事にしないか??????
☻☻☻☻☻- 見なかったことにしないか?
- 『ホルスとセトの争い』は公の場で描き記された史料ではなく、いわゆる趣味としての私的な読み物…大きく括れば同人誌的なオブジェクトと見なされているようだ
古代エジプト新王国にもコミケ会場があったのかもしれない そうしておこう****×***みたいな特殊性癖の中でもゲテモノ扱いされているグループが3000年前から平気で存在した事実に震えるが、販売あるいは発注した個人の特異点的性癖だったことにしておこう させてくれ
でも古代エジプト的にレタスはそういう位置付けだったらしい
オシリス、イシス、セト、ネフティスが兄弟姉妹
オシリスとイシスの息子がこのホルス
現代の標準神話理解においてはネフティスが強引にオシリスと浮気して作った息子がアヌビス
となる
このホルスを主役とする物語においてはセトがオシリスをぶち殺した事になっているが、現代の倫理上はまあ怒ってもいいと思う
- 現代の標準神話理解においては
- セト神は歴史を下るほど「オシリスに嫉妬し妻に浮気されホルスにぶち殺されるしょうもない悪者枠」としてステレオタイプ化されてきた節がある
元を辿れば荒ぶる軍神であり、初期信仰においてこの手の情けないエピソードがあった可能性は低い
……といったような話は英語版Wikipediaネフティス記事に研究レベルの話としてある程度書いてある- 制約解除決戦「セトの憤怒」前口上にて「崇高以前」と説明されるのも、即ち「今から戦うのは戯画化される前の超シリアスなセトだぞ」というメッセージと見なしてよいだろう
「地平線のホルス」Horus in the horizon
ハルマキスまたはホルアクティの通称
ここで言う「地平線」は要するに太陽が昇ってくる場所であり、当時の信仰として
「夜明けや早朝の太陽」に紐付けられるホルスとなる
なんか上の方で聞いたような時間帯じゃないか?
ここからやっと本題
誤訳疑惑における争点
「ホルス」ではなく「修飾付きのホルス」である以上、引用するにあたって上記ホルス軍団の中から何かしらの絞り込みを意図している可能性は高い
夜明けの太陽に縁深い「地平線のホルス」要素がホシノに含まれているか否かで、「暁」訳の妥当性が大きく変化する
- ※「暁」は主に「夜明け前」の時間帯(=未明)
有明の
つれなく見えし 別れより
暁ばかり うきものはなし*4春はあけぼの ←夜明けはこっち
偽りを述べる者が愛国者とたたえられ、真実を語る者が売国奴と罵られた世の中を、私は経験してきた。
(三笠宮崇仁親王『日本のあけぼの』)
↑これも
「日本史のはじまり」および
「戦後日本(=暗黒時代からの夜明け)」
を意味するダブルミーニング
日常語の範囲で夜中の特定時間を指す名称が前後に多少ズレようと、一般人は誰も気にしない
しかし太陽神の要素を持つ神となればまるで事情が変わる
神としての本質にかかわる話であるがゆえ、
時としてわずか数時間のズレが大問題となる
まだ真っ暗な時間帯を冠された太陽神など笑い話にもならない
提案され得る「暁のホルス」以外の새벽訳
提案の前提は地平線のホルスからの引用を真と見る仮定
「曙のホルス」
새벽の訳として用いられる頻度こそ落ちるが、このあたりが神話的背景に沿う訳になるかもしれない
「曙光のホルス」
字面としての中二病的格好良さも考慮するなら
- ただし「曙光」はニーチェのおっさんの作Morgenröteの和訳タイトルとして使われているため、キヴォトス的には若干使いにくいかもしれない
(英訳するとdawnだし韓訳すると새벽なので、ちょうど↑と同じ夜明けワードってだけの話だが)
「夜明けのホルス」
逐語訳的な距離を気にするなら これでも十分格好良い
じゃあ誤訳なのかと言ったらそうだとまでは言えない
韓国でも地平線のホルスは지평선의 호루스(地平線のホルス)、새벽ではない
「地平線のホルス」はたぶん日本語ともども英語からの翻訳
ちょうど同じ訳で呼んでいる
したがって「暁のホルス」は少なくとも辞書・文法レベルでの翻訳失敗ではない
最大限誤訳寄りに捉える場合でも、本当に神話的文脈だけの問題
現代日本語としての「暁」前提なら別に何も問題ない
いきなり前提を覆すようで悪いが、現代日本においては「暁」の正確な語義が古語から十分に継承されていない
あか‐つき【暁】
〘名〙 (「あかとき」の変化した語)
① 夜半過ぎから夜明け近くのまだ暗いころまで。未明。また、夜明けに近い時分。現在では、明け方のやや明るくなった時分をいう。
(精選版日国)
多くの現代的用例において、「暁」はただ「明け方・早朝を指す時間帯、朝焼けの頃」として用いられている(曙と混用されている)
したがって
「(夜明けの太陽を司る)地平線のホルスを参照している語を暁のホルスと訳した」と見る場合でも、
「現代日本語的には」間違い・誤訳とまでは言えない
- 古代の神に掛ける修飾としてはセンスねえな…とこそなれど、正誤の問題ではない
いかがでしたか?
前提からしてぐちゃぐちゃ
現代日本人の「暁」理解はぐちゃぐちゃ、
古代エジプト人の「ホルス」理解もぐちゃぐちゃ
ぐちゃぐちゃ×ぐちゃぐちゃで前提条件が非常にゴチャゴチャしている
生じた諸々の混乱は近所のピラミッドに住んでる古代エジプト人でも適当にぶん殴って発散してくれ、少なくとも現代人は誰も悪くない
- 現代エジプト人はほとんどがイスラム教徒スンナ派やっているため、彼らに古代エジプト周りの文句を言ってもおそらくは知らんがなと言われておしまい~今更整理しろと言われてももう遅い~
今後の見通し
①「地平線のホルス」に直接関わる神話的引用……「暁のホルス」の名の下に地平線映るカットで夜明けを迎えるようなシーン……でも今後出てこない限り、シナリオ理解に何の影響も生じない
②仮にそうしたシーンが出てきた場合でも、「暁」を現代日本語の範囲で考える限りまあ間違いとまではいかない
ゆえに「誤訳とまでは言えないが怪しい訳」
そんな話でしたとさ
(参考)「今後」出てこない限り、何の影響も生じない
ホルスの名の下に地平線映るカットで夜明けを迎えるようなシーン、もうあったわ………
「(夜明けの太陽を司る)地平線のホルスを参照している語を暁のホルスと訳した」と見る場合でも、
「現代日本語的には」間違い・誤訳とまでは言えない
(念のため再掲、すぐ↑の脚注も参照)
(付録)「いわゆるホルス」と元ネタとしてのアビドス
いわゆるホルス→オシリス&イシスの息子としてのホルス
内容的には本来「神話・宗教の分布」ページ?の領分だが、このページで長々書いているような「ホルス」についての(一定程度正確な)理解が前提となるためこちらに記す
アビドス
アビドス
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Abydos,_Egypt
現存最古の聖地の一つにしてオシリス神埋葬神話付きの地
- まるでヘリコプターのように見えるヒエログリフ
https://en.m.wikipedia.org/wiki/Helicopter_hieroglyphs
(後の研究で誤りと判明 紀元前にヘリがあってたまるか)
など、どこかで聞いたようなオブジェクトも眠っている
ここ自体はまあ散々オカルトネタのおもちゃにされているのでそういう有名スポットだと思っていい
オシリス
このWikiでは青字にしていない*7が、
「ホルス・アヌビス・ネフティス(に加えてセト)まで出て来たらもうユメ先輩のネタ元ってオシリス神以外あり得なくね?」と見る風潮は比較的根強く存在している
俺も個人的にはそう思うが作中まだ不明瞭なので3章以降の展開を待とう
イシス
オシリス神の妻(=「いわゆるホルス」の母)であるイシス神に対応する(対応しそうな)キャラだけ、不自然なくらいそれらしい定説がない
セリカの元ネタは直球でネコである上に魔除け属性まで持っている「バステト神」であろうと目されており*8、
ブルアカ的にセリカの同期であるアヤネもイシスとはポジションおよび性格がまるで合わない 「あえて(いわゆる)ホルス関連の神話に当てはめるなら参謀→知恵の神でトト神(トート神、ジェフティ神)*9じゃね?」程度の消極的な意見しか出ていない
- ポジションおよび性格がまるで合わない
- 別にエジプト神話を直接描いているわけではないのでブルアカ的には何をどうズラそうと不都合はない、isakusanも元ネタありきではないと何度も言っている
しかし対策委員会編はisakusanが直接ライターやっているシナリオでもある
キュラレで重要ポジションにいきなりヴァージニア・ウルフを持ってくるような人であるがゆえ、神話の咀嚼となればそれなりに構成レベルから拘る可能性は高い- マエストロやゴルコンダの前口上とか見てみろ、本人のインタビューに一番近いしたぶんあれが素だぞ
モモフレンズの中でMr.ニコライを気に入っているのも納得である
- マエストロやゴルコンダの前口上とか見てみろ、本人のインタビューに一番近いしたぶんあれが素だぞ
セリカやアヤネの入学時にはユメ先輩の物語が終わっていたのだから、物語の中心に位置するイシス神とは立場上大きなズレが出る
それでもあえてセリカをイシスにハメれば、アビドス勢がいわゆるホルスの物語にぴったり全員収まる事にはなる
ブルアカ | 古代エジプト神 | 現代的(いわゆる)ホルス神話血縁 |
ホシノ | いわゆるホルス | ここを基準とする セトに復讐 |
ユメ先輩 | オシリス | 父、セトにより惨殺 |
イシス | 母、オシリス復活に奔走 | |
( ? ) セト | おじ、オシリスを殺害 | |
ノノミ | ネフティス | おば 父相手に強引に浮気 ホルスらに協力 |
シロコ | アヌビス | ↑が浮気で産んだ腹違いの兄弟 死んだオシリスをミイラ化 |
アヤネ? | トト | 赤の他人、ホルスに助言 |
が、しかし現段階ではなんとも言い難い
もし今後アビドス(対策委員会編)過去エピソードの中にユメ先輩と対等な面をした新キャラが出てきたらそいつが一番怪しいぞ
- 1-3-part4的には
- 「死んだ人は戻らない」ルール下に復活エピソードの中心であるイシス相当のキャラが存在すると困ったことになってしまう ユメ先輩が退場したままならイシスポジションのアレやコレは出てこないのかもしれない
シナリオ内のユメ先輩からしてソシャゲ的には出せないと惜しいポジションだがシナリオ的には出しにくい枠
可能性ゼロとまでは言えぬが現時点では微妙、そんなライン 展開を待とう
付録の余談としてのセリカとアヤネ
アビドス勢ってセリカとアヤネ割と端役じゃね?と見る向きがある
古代エジプト神話的元ネタで言えば「いわゆるホルス」の物語とはあんまり関係ない~まったく関係ない勢濃厚であるため、メインストーリー的には仕方ない面もある
- この辺り国内ブルアカページのほとんどは大雑把に大小ホルスまでしか分けていない国内Wikipediaベースで書いているらしく、
推定セリカの元ネタ神についても「ホルスと関係が深い」等と安直に書いて色々とグチャグチャになっている
ツッコんでいるときりがないため個々には触れない
古代エジプトウン千年の歴史に由来する「ホルス」事情はこのページの上の方に一通り書いた、もう繰り返さない
まあアヤネは方舟乗ったしセリカは衣装違い早かったから許してやれ
- (1-3-part1追記)関係ない勢濃厚であるため
- 対策委員会編3章からして、やはりセリカとアヤネはユメ先輩周りに関して部外者的立場で配置されているようだ
となれば「いわゆるホルス」の物語と若干ズレた参照元も意図的なものだろう
ネタ元としてのイシス枠は何らかの事情で空席になっていると見て良さそうだ
[1-3-part2]シェマタ(現実)
おそらくはメンチュホテプ2世を参照している 紀元前2000年頃の歴史上のファラオ
「メントゥへテプ」だったり「メントゥホテプ」だったり例のごとく音写揺れまみれ 誰も気にしていない
- このページでも散々書かれている通り、古代エジプトの歴史は過去方面に年代インフレが激しい
この時代も「新しくはないがそこまで古くもない」古代エジプト中王国に相当する- 相当する、というか概ねこいつ以降が中王国と見なされている
- 南北で分裂状態にあったエジプト*10を統一、統一後は
Shematawy/셰마타위/シェマタウィ
(二つの土地を統一したもの)を名乗っていたらしい- 日本語版Wikipedia記事はなぜかスマタウィと表記している/理由や原音との距離は知らん
Wikipedia英語記事や韓国namuwikiには本人の文化的業績として「(死後の)ファラオとオシリスを同一視する初の葬祭殿/埋葬殿を作らせた」とか書いてある 相変わらずちらつくオシリスの影
- オシリス(現実(神話))についてはページ↑の方参照
なお、近年アビドス(現実)にてメンチュホテプ2世の礼拝堂/霊安堂が発見されている
[1-3-part2](参考)33日後/70人
現時点でエジプト神話・歴史方面の直接参照は確認されていない
- ※追記部分込みで紛らわしい表記になってしまったが、ここで言う「神話」は紀元前の古代エジプトにて信仰されていた神々の概念にまつわる史料、「歴史」は古代エジプトを生きた現実の同時代人らに関する現地の出土史料(一次史料)を指す
「33」そのものは各方面の宗教が好む値*11だが、エジプト神話一般における理解では特別な数字ではない
いわゆるホルスの神話においてはオシリスがセトの手でバラバラ殺神されているが、特に33という数字が出てくるわけでもない
「70」そのものも略
メンチュホテプ2世の時代も南北に割れてこそいたがそこまでの戦国時代とは見なされていない
- [2024/07/17]同時代史料ではなく後代の歴史家の記述なら/舞台を遡れば元ネタ推定可能じゃね?との指摘
言われてみれば文字通り同時代である必要も文字通り同時である必要もなく、古王国崩壊後の動乱期=メンチュホテプ2世が出てくる手前の区間として前後関係も合う地平線のホルス欄での70人云々についてですが、おそらくエジプト第七王朝が元ネタかと思われます
ゲオルギウス・シュンケロスがエジプトの神官マネトらの著作を元に、70日間に70人の王を割り当てたものかと -- 2024-07-17 (水) 13:06:04
ただし同時代史料としてのエジプト神話or史料ではなく後代の歴史家による記述を参照する場合……特に「マネト」にまつわるアレやコレを引く場合、今日的には(歴史方面において)大量の但し書きが必要なことになっている 以下に付す- 必要なことになっている大量の但し書き
①著作の本文は散逸している
西暦回ってからの「引用」しか残っていない
②「引用」内容が疑わしい
西暦回って以降のユダヤ教&キリスト教方面な上に各々の「引用」内容が矛盾している(少なくとも確実に大ウソが混じっている)
③特にローマ時代以降の「引用」者らは怪しい
時代も立場も離れまくっている 上記コメントのゲオルギウス(George Syncellus)は8世紀後半ビザンツ帝国ド真ん中の人物、なおかつ何百年も先行するローマの歴史家から孫引きしている/「マネト」とは1000年離れている
④頼みのヨセフス*12による「引用」も「マネト」周りはアテにならない
民族・政治的なレスバの文脈下(「エジプトから追放されたユダヤ人の祖先=ハンセン病患者」と解釈したギリシャ勢歴史家らに対する、ユダヤコミュニティ側としての反論)である/権威の持ち出しにより自説に泊を付ける意図を含んでいる 現代的には誠実さを疑う必要がある
⑤「マネト」本人の立場、「後代にて著作と見なされた文書」も真偽や真贋を疑われている
最も代表的な疑問「なんでそんなすごい歴史家なのにアレクサンドリア図書館愛用者含めてヨセフス以前の数百年間誰も参照してなかったの?」
※時事問題的に言えばトーマス・ロックリーみたいなデタラメ由来であった可能性を疑われている
⑥引用から復元される「マネト」の史観はツッコミ受けまくっている
マネト周りのあらゆる立場を真と仮定する場合でも、マネトは紀元前3世紀…「新しい時期の歴史家」止まり
「マネト~古王国先頭付近」は「俺達~マネト」よりも年代が離れているし、マネトの手元にインターネットは存在しない
参照し得た史料の(現代からの同時代史料比較で確認できる)質はともかく、個人的に付している王朝史解釈の妥当性は今日の研究者らに疑問視されている
このページ含めて一般に用いる古王国/中央国/新王国も「マネト」の区分由来だが、「何かしら分けないと長すぎて不便だから」とりあえず(最低限必要な修正を加えつつ)用いられているだけ 妥当性はそれほど高く評価されていない
⑦疑問視されている内容には「第7王朝」なる概念そのものも含まれる
同時代史料とも矛盾する(ついでに西暦回って「引用」されている「本文」の内容も相互に矛盾する)ため、今日的には通常第6王朝⇨第8王朝と飛ぶ- 「記述内容」に限った話であれば(ヘロドトスの記述とかだって胡散臭い*13ので)胡散臭さは「マネト」固有の問題ではない
- 「引用」しか現代に残っていない
- 「引用」の誠実性が疑われている
- 「出典としての歴史家マネト」および著書の真贋も疑われている
といった複合っぷりは「マネト」固有の問題
①推定3bc歴史家マネト
②…の作を主張する怪しい文書
③…を引用したと主張する3cアフリカヌス
④…を引用したと主張する8cシ(ュ)ンケロス
↑ここしか残ってない
しかも①の実在性は不明
地獄か?
(記述内容はともかく)記述者として十分に確かであるヘロドトスとは事情が異なる
[1-3-part3]生徒会の谷
- 論理上はたしかにそう対応する字面
王家の谷(現実)もアビドス(現実)も共に地理としてテーベ*14寄り
[1-3-part4]セトの憤怒
いったいどんなボスなんだ…
このページ的には「一番古い時期のホルス(天空神としてのホルス)に対応する神格」と説明する形になる
(天空神としてのホルス)
最古の神、概念系の神に近い扱い
︙
日本や韓国では大ホルスと呼んでいる
本来セト神相手に戦っていたのもこのホルスだったと考えられている
(いわゆるホルス)
セト神は歴史を下るほど「オシリスに嫉妬し妻に浮気されホルスにぶち殺されるしょうもない悪者枠」としてステレオタイプ化されてきた節がある
元を辿れば荒ぶる軍神であり、初期信仰においてこの手の情けないエピソードがあった可能性は低い
……といったような話は英語版Wikipediaネフティス記事に研究レベルの話としてある程度書いてある
制約解除決戦「セトの憤怒」前口上にて「崇高以前」と説明されるのも、即ち「今から戦うのは戯画化される前の超シリアスなセトだぞ」というメッセージと見なしてよいだろう
ページ中ほどに転がっているコレがそのままコピペ流用される
- 超シリアスなセトだぞ心せよ
- part4時点での描写としてはユメ先輩の死因についても超シリアスなセトさん冤罪だった可能性が急浮上している
仕掛けてきたか…?(↑Wiki内他ページコピペ)キュラレ的には物語序盤のネタ予想を覆す展開がisakusanの好みっぽい(これが嫌いなシナリオライターはまあほとんどいないだろうが)
先回りして文面を用意できたぜと言えなくもないがなんかコピペだらけの項目になってしまった レポートとかで同じことやっちゃダメだぞ
[1-3-part4]エジプト神話的関係者の方々
既存の関係者リストを参照
いわゆるホルスの近辺にだいたいみんな転がっている
[1-3-part5]
付録の余談の余談としての国内Wikipedia
割と有名な話だが、日本語版Wikipediaは(オタクカルチャー系記事を除いて)全般的に英語版より内容が乏しい傾向にある
まあ英語圏と比べたら物理的な話者が違いすぎる、手が回らないのは仕方ない
海外文学や神話・宗教などのネタを調べる際も、国内版の記述は相対的に若干怪しかったりバージョンが古かったりする場合が多々ある
- 特にキリスト教系ページなどは国内シェア1~1.5パーセントに相応しく壊滅状態にあると思ってもいい
- どこの所属かもよく分からん怪しげなマイナー国内坊主の説法が平気で重要教義の一次ソースになっていたりする お前らそれでいいのか一応三大宗教*15名乗ってるんだろ国内勢
このWikiでWikipediaを持ってくる際も、適宜日本語版と英語版を貼り分けている
- 別に俺や他の編集者が西洋かぶれしているわけではない
日本語版記事だと見るからに情報が足りていないケースで仕方なく英語版記事を貼ることにしたら、神話宗教系のページは見事にそんなケースばかり→英語版Wikipediaの比率が増えてしまっている - 仕方ないと書いた舌の根乾かぬうちに逆の事を書くがウィキペディア編集者に文句言ってくれ