車載システム開発のビジネスモデルを見直し、高付加価値化や安全の標準化を実現

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▲左から、小林 聖隆、小林 玄武、川田 渡

3人が所属するASI(Automotive System Integration)事業部は、富士ソフトのシステム開発部門の中でも自動車分野に特化した組織。本拠地は愛知県にあり、各地方の拠点と連携し、自動車産業のお客様に対してあらゆるシステムやサービスを提供している。

小林(玄) :いわゆる車載組込ソフトウエア開発に特に強みを持ち、ドライバーや同乗者の利便性や快適性を高めるボディ系の制御からエンジン系の制御、先進運転支援システムであるADASなど、幅広く開発実績があります。実際の開発や導入は、ASI事業部の中でも技術部門が担っています。

われわれ3人が属する改革推進部は、Automotive分野のビジネスモデルの改革を推進していく部署。その中でも私が主任を務める企画グループは、100年に一度と言われる変革期にある自動車業界の最新動向を収集・把握し、今後盛り上がる分野や技術を予測して事業部として取るべき戦略を打ち立て実行することをミッションとしています。

一方、技術企画グループに所属する川田は、AIなど最新技術の活用法の開発に注力している。

川田:AIやロボットなどの最新技術の活用はあらゆる分野で進んでいますが、私たちのグループは自動業界で培った技術をベースにAI関連の人材の育成、案件の獲得をめざしています。そして、蓄積された技術・ノウハウを生かして、受託案件だけでなく、富士ソフト独自の製品・サービスを作り出す企画開発も進めています。

そして、小林 聖隆が所属する生産革新グループでは、車載システム開発における品質を組織的に担保する業務を担っている。

小林(聖):自動車業界にはさまざまな国際規格があり、Automotive SPICE🄬(車載ソフトウエア開発のプロセスアセスメントモデル)や機能安全(ISO26262)、サイバーセキュリティ(ISO/SAE21434)などがあります。『標準化』や『SQA(ソフトウエアの品質保証)』をキーワードに、これら国際規格の基準を満たせるように組織として対応することがグループの大きなミッションです。

その中でも私の主な責務は『機能安全』、いわゆる自動車の安全担保です。富士ソフトが開発するソフトウエアが『機能安全』の基準を満たせる規程やプロセスを定義し、基準を満たしているかをチェックすることなどが主な業務です。

大手自動車部品メーカーの案件を経て成長を遂げ、改革推進部へ

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▲川田 渡

改革推進部で三者三様の役割を担う3人。どのようなキャリアを歩み、現在のポジションに就いたのだろうか。

川田:私は2015年に新卒で富士ソフトに入社しました。富士ソフトは車載システムだけでなく、全国で幅広い分野の製品、ソフト開発をしている点が魅力でした。ひとつのものを極めるよりも、いろいろな分野のいろいろな技術を経験したいと思っていたので、それを叶えられる土台があると感じたんです。

小林(玄):子どものころからコンピュータというハードはもちろん、それを動かすソフトに興味を持っていました。大学は電子工学科でソフトウエアとは無縁だったのですが、やはりソフトウエア開発に憧れがあり、プログラミング未経験者にも門戸を開いていた富士ソフトに入社しました。独立系SIerなので、縛られることなく自分のやりたいことに挑戦しやすそうと感じたことも決め手ですね。

小林(聖):私は最初派遣社員として富士ソフトの案件に携わり、いろいろな仕事を任せてもらえることにやりがいを感じていました。大勢の社員の方々と良い関係を築けていたこともあり、この先もこの会社で働きたいと正社員になる道を選びました。

3人の共通点は、いずれも大手自動車部品メーカーのプロジェクトに関わってきたことだ。それぞれ、今までの開発で得たやりがいや注力してきたことについてこう語る。

川田:入社3年目からは車載システムの画像認識技術の開発に携わるようになり、それ以降、私の得意領域のひとつになっています。古典的と思えるような画像処理システムから機械学習と呼ばれる一世代前のAIが登場し、さらにここ2、3年は最新のAIに置き換わってきました。画像の中から人を見つけ出す技術ひとつを取っても、飛躍的に性能が向上していますね。

技術がどんどん進化しているので、最新技術のキャッチアップは欠かせません。グループ内では、関連資格取得のための勉強会を開くなど、切磋琢磨しています。画像認識やAI技術の知見を見込んでいただき、改革推進部に異動することになりました。

小林(玄):私は入社時から一貫して、大手自動車部品メーカーの車載システムの開発に携わってきました。自分たちがつくったシステムを搭載した車が実際に街を走っているのを見ると、今でも感動しますね。

それと同時に、責任感もより一層大きくなりました。車載システムのミス、エラーは命に関わる事故につながる可能性があります。品質・安全面に妥協しないお客様と一緒に仕事をさせていただいたことも、自分が手掛けるものに対しての責任感に影響を与えたと思います。技術者としてのプライドを持つようになりました。

小林(聖):私はドイツのコンサル会社との打ち合わせに参加していたことが印象深いです。メール文面でのやり取り、資料作成、当日の打ち合わせまですべて英語でこなすことに苦労しましたが、抜擢してもらった期待に応えたいという想いでなんとかやり抜きました。

小林 玄武と小林 聖隆は、改革推進部への異動の経緯をこう語る。

小林(玄):開発の仕事ではお客様の目線に立ち、何を求められているのか、その中で今の自分たちには何ができて、何をしなければならないのか──それを考えて実行していくことにやりがいを感じてきました。

一方で『新しいことに取り組みたい』という想いも強く、個々の案件にとどまらず、より広い視野で『やるべきこと』を考えたい。その結果、改革推進部の企画グループへの異動を希望しました。

小林(聖):大手自動車部品メーカーの案件でも、私の役割は『機能安全』の基準を満たすための標準化作業で、お客様のプロセスやフォーマットなどを定義していました。長くこの領域で培った知見を、富士ソフトに還元したい、ほかのプロジェクトにも広く生かしたいと考え、現部署に異動しました。

お客様の案件によってできた業界団体や『機能安全』関連の関係各所とのつながりは、今の仕事にも大いに役立っています。

目指すゴールや価値を自分たちで決め、戦略を練る。改革推進部のやりがいとは?

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▲小林 玄武

2022年から技術企画グループに異動し、画像認識技術等の知見を生かして活躍する川田。自社プロダクトの開発では、異分野のスペシャリストとのやり取りなど、これまでになかった交流が新鮮だと語る。

川田:従来の受託開発では、上流工程の企画や要求定義、分析といった部分はお客様の領域で、われわれが直接関わることはありませんでした。しかし、自社プロダクトの開発になると、そういった上流部分もすべて自分たちでハンドリングします。マーケティングなど専門外の業務に触れる機会もあり、より主体性が求められるようになりました。

初めてチャレンジする領域は難しい部分もありますが、苦戦しつつも少しずつ成長している実感があります。もちろんすべて技術企画グループだけで対応するのではなく、それぞれの分野が得意な部署や外部の協力を仰ぐことも。今までお付き合いのなかった分野の人と話ができることは楽しく刺激になりますね。

小林 玄武は企画グループに異動して約1年。変革期にあるモビリティ業界において、富士ソフトとして何をすべきか考え抜き、動き出している。

小林(玄):新しい車の開発の軸となっているのは『CASE(Connected(コネクテッド)Automated/Autonomous(自動運転)Shared & Service(シェアリング)Electrification(電動化))』と言われ、われわれSIerに求められる役割も変化しています。

中でも私が注目しているのは、通信分野。車は道路情報や緊急通報、セキュリティシステムなどいろいろなものとつながっていきますが、その開発を加速させ、コストを抑える意味でもプラットフォーム化の必要性を感じています。

そうした戦略を立案・実行するために、現在、名古屋大学の『先進モビリティサービスのための情報通信プラットフォームに関するコンソーシアム』に参加し、最新の情報や技術をキャッチアップしています。

一方、生産革新グループの小林 聖隆は、機能安全についての取り組みに大きな手応えを感じていると語る。

小林(聖):車載システムの安全への意識を組織全体で高めるために、社内の会議体や技術カンファレンスで発表してきました。

最近では自動運転における安全に関する取り組みの発表や、サイバーセキュリティに関する教育をさせてもらいました。このような発表や支援などの生産革新グループの成果・知見が、少しでも富士ソフト社員の役に立ち、組織の能力を高めていければと思っています。

また個人的には、『自動車機能安全エキスパート(AFSExpert)』という、日本でも数える程しか保持していない認定資格を取得したことで私の『機能安全』に関する活動全般に説得力が生まれ、非常にスムーズに仕事ができるようになりました。また、これを基に高付加価値サービスも実現することができました。

そんな3人は、現在の仕事にどのような魅力・やりがいを感じているのだろうか。

小林(聖):われわれの仕事は誰かに指示されるのでなく、自分たちで戦略を考えて、活動やサービスのゴール・価値を定義しなければなりません。そして目標を達成するためにさまざまな手段や知見、リソースを駆使します。答えのない事を実現・実施するのは非常に難題ではありますが、そこにこそ魅力ややりがいがあると思っています。

川田:今の仕事はAIの活用がメインですが、日々アップデートされていく最新技術には、明確に正解と言える使い方があるわけではありません。どう活用するかを自分なりに模索しながら進めていくところにおもしろさを感じます。

小林(玄):今の部署は、システム開発部門と違ってやるべきタスクが目の前にあるわけではなく、自分がすべきこと、やりたいことをきちんと主張し、認めてもらうことで仕事や存在価値が生まれます。主体性を求められ、期待されるものも大きいのですが、その分達成感を得られるのが、この仕事のやりがいですね。

最新技術、戦略、安全品質の各領域から自動車業界を牽引する存在に

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▲小林 聖隆

改革推進部で確かなやりがいを感じながら業務に取り組む3人。今後の展望について次のように語る。

小林(聖):『機能安全』に関する知見をより深めていくと共に、『機能安全』以外のサイバーセキュリティや自動運転などの国際規格や、ロボットや医療など他業界の国際規格、その他アジャイル開発や問題解決思考などの知識も、業界課題をスピード感持ってクリティカルに解決するために広く身に付けていっています。

また、富士ソフトの主任の立場としては、今のチームをもっと大きくしたいという想いもあります。お客様や業界の課題解決に、私がひとりでできることには限界があります。チームのリソースを増やし、これら課題を解決していくサービスを数多く実施し、お客様や業界にもっと貢献したいと考えています。国際規格の課題解決を通じて、富士ソフトの付加価値・プレゼンスも向上して頼られる会社にし、そして、さらに業務の範囲や規模を『機能安全』以外にも拡大し、スピード感を持ってより多くのお客様や業界の課題解決を行っていきたいです。

川田:今までグループで培ってきた技術を活用して自社プロダクトの企画開発をさらに推進し、1社でも多くのお客様に使っていただくことが大きな目標です。AIの技術は飛躍的に進歩をしていて、これまで不可能だったことを実現できる可能性がありますが、その分、既存のノウハウだけでは対応できないことも。それらを乗り越えて製品に落とし込めるよう努力していきます。

小林(玄):自動車業界は変革期なので、今後は業種の枠を越えたさまざまなサービスが現れるでしょう。私たちもこれまで培ってきた技術力を生かしながら、さらに領域を広げつつ進化をして、新たなサービスを社会に提供することをめざしています。その中で、自分が考えている新しい事業領域への挑戦も実現して、大きな柱にしていきたいと思います。

彼らの描く将来の展望は個人にとどまらず、ASI事業部、さらに会社全体へと広がっていく。

小林(玄):今までは受託という立場上、お客様からの要望から提案や開発を進めることが多かったのです。しかし、これからはお客様の課題に対して先回りして解決策を提案し、価値を提供できる存在になる必要があります。お客様と対等な良い関係を築き、国内の自動車業界を一緒に牽引していけるソフトベンダーになりたいですね。

小林(聖):ASI事業部では、お客様と同じ目線で開発をするというところを目指しています。今後は『誰に対してどんな価値を提供できるのか』をきちんと定義することが重要です。私の業務で言えば、『機能安全の基準を満たしたソフトウエアを作る』ではなく『交通事故による死者をゼロにする』、『どうすれば安全な自動運転を実現できるか』を目標としてお客様やエンドユーザー目線で考えて、必要なサービス提供や活動の提案ができるようにしていきたいです。

それぞれの立場から、チーム、そして業界への貢献を目指す3人。最後に、富士ソフトという会社の魅力について次のように語る。

川田:富士ソフトでは自動車関連だけでなくさまざまな業界のソフトウエア開発に携われます。いずれの分野でもAIやロボットなどの最新技術を積極的に取り入れていることも富士ソフトの魅力。そして、自分がやりたい仕事について熱意を持ってアピールすれば、挑戦の機会がもらえる会社だと思います。

小林(玄):しっかりと根拠のある意見を熱意を持って主張すれば、きちんと認めてくれる会社だと思います。だからこそ自分の能力を発揮できる場所を見つけ、やりがいを感じながら仕事に取り組んでいる人がたくさんいます。

小林(聖):富士ソフトは国内外に拠点を持つ従業員数約1万人という大きなSIerで、自動車以外のさまざまな業界にも携わっており業界の枠にとらわれないクロスビジネスを目標に掲げています。その相乗効果から生まれるサービス、ビジネスは富士ソフトの強みであり、自動車業界以外の分野でも応用が効くサービス、ビジネス展開、知識や経験が身に付けられるのはとても魅力だと思っています。

われわれの部署で言えば、自分で戦略を考え、ゴールや価値を定義して、それを達成するという前例のないことをやっているので、やり遂げたときの達成感はとてつもなく大きいですね。技術力だけでなく、問題解決力や論理的思考なども身につくので、どんなキャリアプランを持っている人でも成長できる環境だと思います。

富士ソフトに入社して知識や経験を積んできた3人。今後も挑戦をし続け、自動車業界の変革に貢献していく姿が楽しみだ。

※ 記載内容は2024年2月時点のものです