インフラエンジニアのリーダーとしてAWSへの移行を推進

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2020年度優秀社員賞を受賞した安斎 寛之

安斎が所属するソリューション事業本部 インフラ事業部 クラウドソリューション部では、パブリッククラウド基盤サービスや運用保守ビジネス全般を担当している。中でも安斎が担当するAWS(Amazon Web Service)においては国内トップレベルの実績と実力を保有している。

安斎 「私はインフラエンジニアのリーダーとしてAWSに関する設計や構築、運用保守を担当しています。今はオンプレミス環境で運用しているデータベースを、2025年までにすべてクラウドへ移行したいというお客様の意向を実現するために、日々業務に取り組んでいます。また、既存システムの改善も担当しています」

非常に高いAWSの知識を持つ安斎は、キーマンとしてプロジェクトに参加している。お客様からの評価も高く、『安斎さんが担当しているならもっと大きい仕事をお任せしたい』と全幅の信頼をおかれ、ビジネスの拡大にも貢献している。こうした業務の中で、安斎はインフラ構築のための費用試算なども受け持っている。

安斎 「インフラにどのくらいの費用が掛かるのかという点は、お客様にとって大事な部分です。また、実際にインフラを構築するとなると、リクエストが増大する分費用も掛かります。正確に試算して、コストの計画を提示することが重要です」

また、アプリケーションエンジニアと連携して行う業務も多いという。

安斎 「アプリケーションエンジニアからは、『この機能を実装するのに必要な、インフラの構成を教えてほしい』、『サーバーはどういったスペックのものが必要となるのか』などといった問い合わせがきます。そこで私は、アプリケーション側が実現したいことができるような基板設計を提案しています。
また、システム運用をしていく中で、アプリケーションを更新すると不具合が発生することがあります。そのため、アプリケーションの問題なのか、インフラの問題なのかを調べるため、アプリケーションエンジニアと一緒にログを確認するなど、トラブルシューティングを行います」

AWSへすべてのシステムを移行して環境を一元管理することは理想的ではあるものの、オンプレミスからAWSへの移行では苦労することも多い。

安斎 「とにかく大切なのは、アプリケーションを“動くようにすること”。とはいえ、データベースの移行は難易度が高く、同じスペックのサーバーへ移行するだけでも動かなくなることもありますし、オンプレミスからAWSに移行する際も同様に動かなくなることがあるのです。こうした不具合はテストで見つかることも多いので、AWSへの移行が完了した後に、インフラ側で動作確認のテストを行い、アプリケーションについてはアプリケーション側でテストします」

お客様にとってはどんな理由であれ、これまで問題なく使っていたアプリケーションが突然動かなくなってしまうことは、利用者に混乱をまねくので避けたい。安斎はお客様の意向に合ったインフラを設計、構築し、他部門と連携を図りながら運用、動作確認を重ねることで、システムを安定的に使えるようにサポートしている。

料理人からITエンジニアへ、資格取得と転職を重ねてステップアップ

安斎の社会人としてのキャリアは料理人の見習いから始まった。

安斎 「料理が好きだったことから調理師専門学校を出て、日本料理の有名店でアルバイトを経て就職しました。しかし、労働条件や給与が厳しい世界で、理想と現実の違いを目の当たりにしました。将来を考えたとき、長く続けられないと感じました」

転職を決意した安斎は、IT技術の飛躍的な進歩により日進月歩の勢いで変化する時代に着目し、ITエンジニアとしてのキャリアを積んでいく道を選んだ。

安斎 「これからの時代を生き抜く力として、IT業界に可能性を感じたので、技術力が身に付けられるエンジニアになりたいと思いました。最初に入った会社は、SES(System Engineering Service)企業です。未経験者に対してCCNA(Cisco Certified Network Associate)というネットワーク関係の資格を1カ月で取得するための教育プランを用意していることが決め手でした」

安斎は1カ月間、毎日夜中まで勉強した。その結果、無事CCNAを取得し、ネットワークエンジニアとして案件にアサインされた。

安斎 「大学に行ったことのない私が、大学の情報システム部に常駐することになりました。主な業務は、サーバーの管理やネットワークの運用・保守、サポートデスクなどです。最初は右も左もわからない状態でしたが、先輩と一緒に業務に携わるなかで、質問への答え方や問題が起きた場合の対処法が見えてきて、そのうち自分で解決できるようになりました。さまざまな質問が集まる環境でトラブルシューティングを経験したことは、私の血肉になっています」

IT魂に火が付いた安斎は、業務上で必要となるサーバーの知識を深めるために、LPIC(Linux技術者認定試験)という資格の最上位であるレベル3まで取得した。

安斎 「ここで身につけた経験を活かしてさらにステップアップしたいと思い、入社から2年半ほどで転職を決意しました」

転職した安斎は、人生の転機となるパブリッククラウドの一つ、AWSの業務に携わることになった。

安斎 「前職ではオンプレミスをメインに担当していましたが、少しずつパブリッククラウドを導入する企業が増えていたため、AWS関連の業務に携わることになりました。そこで私は、AWSの技術力と知識を深めるため、資格取得に励みました。その結果、3つの資格を取得することができました」

AWSの高難易度資格を取得するほどの経験に加え、技術力と知識を身に付けた安斎は、さらなる高みを目指すため、富士ソフトへの転職を決意した。

安斎 「企業によっては、一つの変更を加えるだけでも多くの申請を行うというプロセスが必要ですが、富士ソフトではこれまで培ったAWSの知識を活かせるのはもちろん、裁量権を持ちながら柔軟に業務を遂行することができます。
現在担当しているお客様は、スピード感を大事にされているので、既存のリソースにほとんど影響を与えない範囲であれば、『こうした方が良いのではないか』と提案すると、すぐに採用されて実行できます。また私の上司も、意見を尊重してくれることが多いのでやりがいを感じます」

富士ソフトに入社し、スピード感のある仕事の進め方や専門知識を活かせる環境にやりがいを感じる安斎。入社後もさらにAWSの知識を深めていった。

AWS資格6つ獲得から、上司のサポートも受けてAWSのトップエンジニアに

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趣味はツーリング。上司とツーリングに出かけることもある

2019年に富士ソフトに入社した安斎は、翌2020年に富士ソフト初のAWS資格を6つ(2022年1月現在は7つ)取得したことが評価され、2020年度優秀社員賞を受賞した。

安斎 「IT業界のファーストキャリアとなった大学の情報システム部では、先輩方は専門雑誌やWebサイトを作る学習サイトなどを活用して、独学で勉強していました。その姿を見て、エンジニアというのは自ら最先端の知識を学び、身に付けていくものなのだと妙に納得していたのです。
しかし、ただ本を読むだけでは、自分がどれだけ理解をしているのか、定量的に認識できません。そこで、知識の習得の証明としても、資格を取得していくことにしました。資格を取得することで、実際に新しいサービスの導入の際に、前提となる知識を持てるので、お客様に提案するときに役立っていると実感します」

安斎はAWSの資格取得にあたって、先にゴールを設定して追い込むスタイルをとっている。

安斎 「受験の予約をしてから逆算してやるべきことを設定することで、勉強をしなければならないように自らを追い込むのが私のやり方です。また、富士ソフトでは、資格取得により手当をもらえるなど、スペシャリストとして認定される制度があるためモチベーションが上がります。しかし、合格しなければその制度を受けられなくなってしまうので、自分を鼓舞しています。
具体的にはスマートフォンで学習できるサイトがあり、移動時間や昼休みなどの隙間時間を利用して取り組みました。現在は7つの資格を取得できたので、今後は専門知識を含む11個の取得を目指しています」

安斎が所属する部署の施策としても、AWSの資格取得を推進している。難易度の高いAWS DevOps エンジニアプロフェッショナルなどは、その施策で取得している。

そんな安斎には目標とするロールモデルがいるという。

安斎 「以前一緒に仕事をしていた先輩で、2021年にAWSのすべての資格にあたる11個の『2021 APN ALL AWS Certifications Engineers』を獲得した方を目標にしています。40代後半にもかかわらず、1年でフルマラソンを5回走るようなパワフルな方です。こういう方を見ていると、自分はまだまだ小さな存在だと感じ、さらに前進したいという闘争心がわいてきます」

安斎自身もAWSジャパンが選出する「2021 APN AWS Top Engineers」(以下、AWSのトップエンジニア)に選出された。

安斎 「AWSのトップエンジニアに選ばれるための段階を踏んでいけたのは、上司の支えがあったからです。AWSのトップエンジニアを目指したいと上司に相談したとき、『トップエンジニアがいるとお客様からの信頼も向上し、会社にとっても付加価値になるのでどんどんすすめていきましょう』という言葉をいただきました」

AWSのトップエンジニアに選出されるためには、資格の取得数はもちろん、AWSを広めるための対外活動も評価の基準となる。

安斎 「上司に対外活動について相談したとき、セミナーの開催を提案されて、WorkSpacesというVDI(仮想デスクトップ)を紹介するセミナーに登壇しました。また、共同著書になるのですが、2021年にはAWS導入に関する書籍を執筆しました。
富士ソフトに入社して、上司にもお客様にも恵まれたことを実感しています。私からの提案を受け入れてくださり、結果としてうまくいかなくても“経験がナレッジになる”とポジティブに捉えてくださるので、積極的に提案することができています」

安斎は、上司にもお客様にも恵まれた環境だからこそ、AWSのトップエンジニア選出につながったと感謝の気持ちを語る。

お客様目線を大切に。いずれはアプリケーションの分野も目指したい

安斎は、富士ソフトの事業や体制にも大きな魅力があると語る。

安斎 「富士ソフトは、パブリッククラウドはAWSのほかにも、Azure(Microsoft Azure)やGCP (Google Cloud Platform)、VMware(VMware Cloud on AWS)といった商材を扱うパートナー企業です。パートナー企業限定のセミナーを受けられることは、最新の情報に触れることができるので大きなメリットだと思います。
それから、富士ソフトはインフラだけではなく、アプリケーションやロボット、さまざまなハードウェア、ネットワークなど業務範囲が広く、各分野のプロフェッショナルが在籍しているのも魅力です。そのため、受けられる仕事の幅が広いんです。
今、担当している企業のインフラは私たちのチームが管理していますが、アプリケーションの一部も、富士ソフトの開発チームが構築しています。ひとつのシステムをつくるうえで、仕様などを内部で連携しなから一緒に業務に携われることは、強みではないでしょうか」

そんな安斎が仕事をする上で大切にしている価値観が二つあるという。

安斎 「一つ目は、お客様視点で考えることです。サポートデスク業務からIT業界をスタートしたことに起因していますが、たとえば、パソコンの調子が悪いときに、それを改善するととても喜んでいただけます。そうした経験から、お客様にとっての最善な解決策を常に考えながら仕事に取り組むようにしています。
二つ目は、面倒な作業はできるだけ自動化して、良い意味で“ラク”をすることです。例えばExcelでの作業では関数を使うなど、できるだけ自動化することを心掛けています。先輩から教わったことですが、ただ一生懸命やるのではなく、エンジニアだからこそラクをすることを考えるようにと。プロセスや過程よりも、やはり重要なのは結果です。同じ作業をしたときに、1時間と5時間では、誰にとっても1時間で完了する方が良いですよね」

インフラエンジニアとして業務に携わってきた安斎だが、クラウドが発展することでインフラを意識しなくても、アプリケーションを作れるようになってきていると語る。

安斎 「これまでは、インフラはインフラ、アプリケーションはアプリケーションというすみ分けがされていましたが、最近は壁が薄くなってきていると感じています。
そこで、私はアプリケーションの分野にも手を広げていきたいと考えているんです。自分でアプリケーションを作ることができれば、もっとお客様の視点で物事を理解し、よりお客様のニーズを汲み取ってシステムを作れるのではないかと思います」

環境を変える中で先輩から学び、資格取得を通じて着実に知識を積み重ねてきた安斎。これからもお客様に寄り添い、未来に向かって貪欲にスキルアップを続けていく。