泉代表もまだ出馬表明できず 忠誠薄い「グループ」、立憲特有の悩み

大久保貴裕

 立憲民主党代表選の告示まで4日を切る中で、現職の泉健太代表(50)が立候補を表明できずにいる。代表選の構図がいまだ固まらない背景には、「推薦人20人」の壁のほか、自民党の派閥に比べ、締めつけが緩やかな「グループ」を形成する立憲特有の悩みがある。

 7日告示、23日投開票の代表選の立候補には、国会議員20人以上の推薦状が必要。事前説明会には7陣営が出席したが、出馬表明したのは、枝野幸男前代表(60)と野田佳彦元首相(67)の2人にとどまる。

 現職ながらいまだ出馬表明ができていない泉氏は、推薦人集めに苦戦しているとみられる。陣営内からは「ここまできたら最後は泉氏本人が土下座してでも、推薦人をお願いすべきだ」との声が出ている。

 支持固めとみられる「合宿」を開いたのは、立候補に意欲を示す江田憲司元代表代行(68)。8月末、自身が率いる党内グループ「ブリッジの会」(約20人)の一部メンバーと栃木県日光市を訪れた。ただ、出席者の一人は「江田氏を支援する気はない。温泉に入って勉強会をしただけ」と漏らし、必ずしも結束が高まったとは言えない。

 立憲には約10のグループがあるが、自民の派閥とは異なる。自前の事務所はなく、ほかのグループとの掛け持ちも可能だ。議員個人の意思が尊重される仕組みだが、所属議員に政府の役職やカネが差配されることもないため、トップへの忠誠心は必ずしも高くない。政策の近さや当選期数といった緩やかなつながりを基礎としているため、党関係者は「派閥が体育会の部活ならば、グループはサークルのようなものだ」と位置づける。

 こうした「緩さ」が立候補予定者を苦しめる一方、議員側も悩みを抱える。

 泉氏が率いる「新政権研究会」(約25人)の若手議員は泉氏ではなく、衆院当選1回の吉田晴美氏(52)を推す。「大事な代表選が『古い顔』だらけの構図でいいのかと思った」と話す。

 所属するグループの意向か、「選挙の顔」かで揺れるのは、枝野氏が顧問を務める党内グループ「サンクチュアリ」(約30人)所属の衆院議員。グループはリベラル色の濃い枝野氏を推すものの、「選挙の顔」としては中道・保守路線の野田氏に分があるとみる。「どちらにつくのが得策で、支持者への筋道も通るか。選挙が迫る今回は特に選択が難しい」(大久保貴裕)

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