政府備蓄米の無償交付、子ども食堂向け申請窓口を拡充へ…農相は放出には慎重な考え
坂本農相は30日の閣議後記者会見で、子ども食堂などに提供している政府備蓄米の無償交付について、9月2日から申請窓口を拡大すると発表した。現行の10か所から、全国51か所に広げ、年4回だった申請期間も通年とする。岸田首相が制度の拡充を指示していたことを受けた措置だ。 【グラフ】あきたこまち「JA概算金」大幅引き上げ、全国的コメ不足の影響で「最高額」に
一方、最近のコメの品薄を受け、政府備蓄米の放出を求める声が一部で上がっている。坂本氏は「国が行う備蓄は、不作などで年間を通じて供給不足が見込まれる場合に備えているものだ」と述べ、慎重に対応する考えを改めて示した。
坂本氏は、品薄への対応として、コメを円滑に流通させるよう、27日に集荷業者と卸売業者の団体に通知したとも明かした。対策の遅れを問う声に対しては「全体の需給として必要な在庫水準は確保されている。遅きに失したとは思っていない」と強調した。
政府備蓄米は、10年に1度の不作にも供給できる量として100万トン程度備蓄されている。大阪府の吉村洋文知事が政府に放出を要請しているが、坂本氏は27日の記者会見で「コメの需給や価格に影響を与えるおそれがある」と慎重な考えを示している。
新米の作柄「平年並み」31都府県
農林水産省は30日、2024年産の新米の作柄概況(15日現在)を発表した。5月以降、全国的に天候に恵まれたため、予想収穫量は「平年並み」(平年比99~101%)が新潟、千葉など31都府県と、最も多くなった。
青森が唯一の「良」(106%以上)で、東北地方を中心に「やや良」(102~105%)が11道府県だった。
一方、田植え後の日照不足の影響で、佐賀、長崎、宮崎の九州3県は「やや不良」(95~98%)となった。沖縄県は予想の対象外となっている。
店頭でコメの品薄が続く中、農水省は、生育が順調に進めば状況は改善する見込みだと説明している。