NHKのラジオ国際放送などで放送された中国語ニュースをめぐる「放送テロ」で、焦点になるのが責任の取り方だ。尖閣諸島は「中国の領土」などと原稿にない発言をして契約を解除された元外部スタッフで中国籍の40代男性はすでに帰国したとされる。NHKは刑事・民事での法的措置を検討するというが、罪に問うことはできるのか。
男性は生放送で尖閣に関する発言のほか、「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女(慰安婦)らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」など原稿にない主張を約20秒間続けた。
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「NHKや日本の政治スタンスに沿って報道するふりをして反対の発言をし、NHKの信用を失墜し業務を妨害した。普段から同様の政治的主張を展開してきたならまだしも、品行方正だった場合、偽計業務妨害罪で3年以下の懲役または50万円以下の罰金にあたる可能性もある」と指摘する。
「待遇に不満」報道も
NHKは21日付で男性との契約を解除し、損害賠償請求と刑事告訴を検討するとしているが、26日に中国のSNS「微博(ウェイボ)」で男性のものとされるアカウントが「祖国にいる」とコメント欄に投稿している。