NHKの最高意思決定機関である経営委員会が27日に開かれ、ラジオ国際放送で中国籍の外部スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)を「中国の領土」と主張し「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言した問題について、古賀信行委員長は「問題意識は強烈に持っている。原因や起こった後の対応について検証し、つまびらかにしてほしい」と述べた。
この日の会合では、執行部が問題の経緯を説明。経営委員からは、外国籍スタッフが国際番組の制作に関与する場合、自国の主張と異なる内容を発信するケースがあると認識させる▽こうした事態に対応するための習熟訓練を徹底する▽NHKグループ全体で再発防止を図る-などの意見が出されたという。
古賀氏は「生放送での発信にはリスクがある。特に国際放送の使命は日本の考えを発信することなので、速報性よりも正確性を期すべきで事前収録の方がよいかもしれない」と述べた。NHKは20日から中国語ニュースを事前収録に切り替えたほか、人工知能(AI)音声の導入も検討している。
NHKによると、19日午後のラジオ生放送で、中国籍の外部スタッフが尖閣諸島を「古来、中国の領土」「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった」など日本政府の見解と異なる発言をした。スタッフはNHKの関連団体「NHKグローバルメディアサービス」と業務委託契約を結んでいたが、21日付で契約を解除された。