年間読書人

その名のとおり、読書が趣味で、守備範囲はかなり広範ですが、主に「文学全般」「宗教」「映…

年間読書人

その名のとおり、読書が趣味で、守備範囲はかなり広範ですが、主に「文学全般」「宗教」「映画」「アニメ」に関連するところ。昔から論争家で、書く文章は、いまどき流行らない、忌憚のない批評文が多い。要は、本音主義でおべんちゃらが大嫌い。ただし論理的です。だからタチが悪いとも言われる。

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  • 「政治・経済・社会」関連書のレビュー

    「政治」「経済」「社会」などの関連書のレビューを紹介します。

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    「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。

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    人文書、科学書など(別立ての宗教関連書を除く)学術書と啓蒙書を紹介します。

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    広く「マンガ」「アニメ」「映画」など、エンタメ作品関係のレビューを紹介します。後日整理の予定。

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    主に「文学・文芸評論」関係書のレビューを紹介しますが、分類は目安に過ぎず、「ミステリ・SF」系の作品も含みます。

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〈宇山秀雄殺し〉の 謎を解く : 『宇山日出臣 追悼文集』の密室

書評:太田克史編『新本格ミステリはどのようにして生まれてきたのか? 編集者宇山日出臣追悼文集』(星海社) エディターネーム「宇山日出臣」、本名「宇山秀雄」が、「新本格ミステリの仕掛け人」などと呼ばれた名編集者であることについて、ここであらためて説明する必要などないだろう。本書を購読したり、ネットで本書の内容を確認したりするほどの人なら、宇山についてそれなりの予備知識を、あらかじめ持っているはずだからだ。 本書は内容は、次のとおり。 (1)序文(太田克史) (2)編集者・

    • 北村紗衣という「ひと」 : 「男みたいな女」と言う場合の「女」とは、 フェミニズムが言うところの「女」なのか?

      ひとまずここでは、私は「男のような女」であり「女のような男」であり、「男らしい男」であり「女らしい女」であり、「男でも女でもない、女であり男」であると、そう言っておこう。またこれは、「自賛でも卑下でもない」。 私とは、なかなか「奇妙で不可解な何か」なのである。一一お分かりだろうか? 1、北村紗衣との遭遇 アメリカ大統領がバイデンになる以前に、Twitter(※ 現「X」。以下「Twitter」と表記)のアカウントを凍結され、経営者がイーロン・マスクに替わって、それまで凍結

      • 蓮實重彦 『映画の神話学』 : 蓮實重彦論

        書評:蓮實重彦『映画の神話学』(ちくま学芸文庫) 蓮實重彦という人の「本質」をやっと理解できるようになったのは、英米文学研究者である中井亜佐子の著書『エドワード・サイード ある批評家の残響』で引用されていた、フランソワ・キュセの次のような言葉を読んだからだ。 中井の著書から当該言及部分を引用するが、「」で括られた部分が、キュセの著書からの引用である。 ここでキュセの言う、学問共同体内部での『卓越性競争のゲーム』における『戦いに勝つためのただひとつの基本原則は〔……〕独創性

        • エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督 『愚なる妻』 : エリッヒ・フォン・シュトロハイム論

          映画評:エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督『愚なる妻』(1922年・アメリカ映画) シュトロハイム監督の第3作で、モノクロ・サイレント作品である。 完璧主義の映画作家としてすでに高い評判を得ていたにも関わらず、本作に金と時間を費やしすぎて「こんなやつを雇っていたら、会社が潰れてしまう」と、ユニヴァーサル社をクビにされたという、そんないわく付きの作品だ。 ストーリーは、簡単に言ってしまうと「ロシア貴族になりすました女たらしの詐欺師が、アメリカの公使夫人をたらし込んで、金を

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        • 蓮實重彦 『映画の神話学』 : 蓮實重彦論

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          1,001本
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        • 「学術書・学術啓蒙書」のレビュー
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          安彦良和 「描く人、安彦良和」展 : 私自身の「回顧展」

          展覧会評:「描く人、安彦良和」展(兵庫県立美術館) 先日、兵庫県立美術館で開催中の「描く人、安彦良和」展に行ってきた。 あまり、この手の展覧会には行かないのだが、こうした機会でないと見ることのできない「原画用紙に描かれた直筆鉛筆画」を、是非とも見かったのだ。 言い換えれば、印刷物や資料展示のパネル、アニメの本編映像などには、まったく興味がなかった。なぜなら、そうした物なら、ほとんど同時代的に見てきたし、書籍関係も同時代的に買っていたからだ。私は『アニメージュ』誌を創刊号か

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          フランク・キャプラ監督 『或る夜の出来事』 : 映画も色々、その楽しみ方も色々。

          映画評:フランク・キャプラ監督『或る夜の出来事』(1934年・アメリカ映画) 第7回アカデミー賞作品賞受賞のロマンチック・コメディ作品である。 「戦前」のモノクロ映画だが、いま見ても楽しく見られるであろうことは、「映画.com」などでのカスタマー評価での得点の高さなどからも窺えよう。 今の日本人から見れば、主演のふたりは立派な大人に見えるので、典型的な「ボーイ・ミーツ・ガール」の作品だといえば、「どっちもすこし薹が立っている(歳をくっている)んじゃない?」と言いたくなる人

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          川野芽生 『無垢なる花たちのためのユートピア』 : 個人の尊厳と 種の滅亡

          書評:川野芽生『無垢なる花たちのためのユートピア』(東京創元社) 2021年刊行の第1歌集『Lilith』で「現代歌人協会賞」を受賞し、その次に刊行したのが、第1小説集たる本書『無垢なる花たちのためのユートピア』である。 つまり、川野芽生は、歌人にして小説家であり、さらに言えば、かなり先鋭な批評家でもあって、決して「耽美華麗な幻想を描く作家」などという、オタクな「村落」的枠組みに収まるような人ではない。 第2著書となる本書の刊行以降、この2年の間に、第2歌集『星の嵌め殺し

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          リー・アイザック・チョン監督 『ツイスターズ』 : 決してひとりでは見ないで下さい。

          映画評:リー・アイザック・チョン監督『ツイスターズ』(2024年・アメリカ映画) 特に論じることもない「娯楽作品」なのだが、これもトレーニングの一種だと思って、このレビューを書いている。見ようかどうしようかと迷っている人の参考になれば、それで十分だ。 で、結論から言うと、「非常によくまとまった娯楽作品」であり、娯楽映画として「85点」くらいあげてもいい佳作だ。暇と余裕のある人なら、見に行って損はない作品だと言えるだろう。私も、見ている間はそれなりに楽しんだ。 本作の「売

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          中井亜佐子 『エドワード・サイード ある批評家の残響』 : vs蓮實重彦 ・何のための批評か?

          書評:中井亜佐子『エドワード・サイード ある批評家の残響』(書肆侃侃房) アマチュアながら40年も批評文を書いてきた私にとって、「批評とは何か?」「テクストを読んで(作品を見て)、それを語るとはどういう営為なのか?」という問題は、ごく基本的なことでありながらも、いまだスッキリとは解決しきれない難問であった。 だからこそ、いろんな意見を読んで「この意見もわかるが、あの意見もわかる。そして両者は論理的に並び立たない」というようなジレンマを抱え続けてきたのだ。 その最たるものが

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          ジョン・シュレシンジャー監督 『真夜中のカーボーイ』 : 都会の孤独と ささやかな友情

          映画評:ジョン・シュレシンジャー監督『真夜中のカーボーイ』(1969年・アメリカ映画) 「アメリカン・ニューシネマの名作」ということなので、見ることにした作品である。 私の場合、「アメリカン・ニューシネマ」の代表的な作品として、『カッコーの巣の上で』(1975年)、『タクシードライバー』(1976年)『俺たちに明日はない』(1967年)、『イージー・ライダー』(1969年)と順不同に見てきて、今回が5本目ということになるのだが、結果として、この5本の中では、最も気に入った作

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          山本おさむ 『赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD』 : 「赤いイデオロギー」という理想

          書評:山本おさむ『赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD』(全10巻・ビッグコミックス) 文句なしの傑作。 1940年代半ばから70年代半ばくらいまでのハリウッド映画を、あるていど見ていないことにはピンと来ないという難点はあるけれども、映画ファンにはいろいろな意味で興味深く、文句なしにおもしろい作品である。 幸いなことに私の場合は、この時期の作品の多くを、幼い頃にテレビで見ていたのだ。 ともあれ本作は、ドキュメンタリータッチの作品を得意とする漫画家・山本

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          ジーン・ケリー、 スタンリー・ドーネン監督 『雨に唄えば』 : ミュージカル映画ナンバー1作品

          映画評:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン監督『雨に唄えば』(1952年・アメリカ映画) まあ、とにかくスゴイ傑作である。まだ見ていない人には、「とにかく見ろ!」と言いたい。 特に映画ファンでなかった私でも、本作主題歌の「雨に唄えば」は知っていたし、主演のジーン・ケリーが、雨の鋪道をこの歌を歌いながら踊るシーンはくらいは知っていた。 なんで知っていたのかというと、この曲は、昔からよく日本のテレビコマーシャルに使われたし、このダンスシーンのパロディやモノマネも、幼い頃にテ

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          小塩真司 『「性格が悪い」とは どういうことか ダークサイドの心理学』 : 我ら、ジキル博士とハイド氏

          書評:小塩真司『「性格が悪い」とはどういうことか ダークサイドの心理学』(ちくま新書) 「性格が悪い」と人から思われているであろうことには自信のある私なのだが、無論、自分では特に「性格が悪い」とは思っていない。しかし、自分で思っているだけなら馬鹿でも同じなので、私は本書を読んで、客観的に見て自分はどうなのかというのを考えてみることにした。 で、どうだったのかというと、やっぱり私は、特に「性格が悪い」わけではなかった。正確にいうと(ダジャレではない)、「私の性格の中には、悪

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          ジュリアン・デュヴィヴィエ監督 『望郷』 : 戦前ロマン主義フランス映画の代表作

          映画評:ジュリアン・デュヴィヴィエ監督『望郷』(1938年・フランス映画) いま見ると「?」となる作品ではないかと思う。少なくとも私は、そう感じた。 ジャン=リュック・ゴダールに興味を持ち、彼の作品を理解したいと考えたため、ゴダールに代表される戦後フランスの映画運動「ヌーヴェル・ヴァーグ」にも注目し、その「ヌーヴェル・ヴァーグ」が敵視した「戦前フランス映画の巨匠」の一人として、私は、ジュリアン・デュヴィヴィエに注目した。 また、デュヴィヴィエは、私が好きな作家・中井英夫

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          梅崎春生 『怠惰の美徳』 : 怠惰とは、悟りの境地である。

          書評:荻原魚雷編・梅崎春生『怠惰の美徳』(中公文庫) 梅崎春生を読むのは、これが初めてだ。どうして初めてなのかと考えてみると、戦後文学史や文壇史的なものに、梅崎の名の挙がることが少なく、言及されていたとしても、そう大きな扱いを受けるような作家ではなかったということなのであろう。だから、私の興味を惹かなかった。 つまり、これまではまったくのノーマークだったのだが、しかし、そういった作家でも1冊くらいは味見しておきたいというのが、可能なかぎりコンプリートを目指す、私の「コレク

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          カール・テオドア・ドライヤー監督 『裁かるるジャンヌ』 : 「神と戦う」映画作家

          映画評:カール・テオドア・ドライヤー監督『裁かるるジャンヌ』(1928年・フランス映画) このサイレント映画がたいへん有名な理由は、まず、カール・テオドア・ドライヤー監督が「ヌーヴェル・ヴァーグ」の映画作家たちに大きな影響を与えて絶賛された人だからであり、その作品の中でも特に本作が有名なのは、ジャン=リュック・ゴダールがその初期作品『女と男のいる舗道』(1962年)の中で描いた、アンナ・カリーナの演じる主人公ナナが映画館で本作を鑑賞して、目に涙をいっぱい溜め、落涙するシーン

          カール・テオドア・ドライヤー監督 『裁かるるジャンヌ』 : 「神と戦う」映画作家

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