1. 食べ物が好き嫌いになる原因
食べ物の「好き嫌い」とは、特定の食品を嫌って避けたり、反対に特定の食品ばかりを好んで食べたりする食の偏りを表わします。その好き嫌いの程度が大きい場合、「偏食」の傾向が考えられます。
食べ物を嫌いになる原因はさまざまですが、嫌いな食べ物がある方は、食品の味、におい、舌触りに嫌悪感を抱いたり、食感に苦手意識を持っていたりすることが考えられるでしょう。
1-1. 幼少期に発生しやすい「好き嫌い」の原因
子どもの好き嫌いは、自我が強くなる1歳頃から徐々に出始めるといわれています。1歳頃からは、味や色、食べ物の形を把握し始めるようになり、味覚に対して敏感になるからです。
味覚には「甘味、うま味、塩味、酸味、苦味」の5種類があり、苦味と酸味は毒物や腐敗にもかかわる味覚のため、本能的に避ける味となっています。そのうえ、子どもの味覚は成人よりも敏感です。離乳食では好んで食べていたはずの物でも、ある日突然拒絶するようになってしまうことに親は驚き、食べないことに悩まされてしまうのです。
また、味覚上の理由以外にも、食べたことがない物に警戒心を持つことで食べられなくなったり、香りや見た目が苦手なまま食べるきっかけをなくして嫌いになってしまったりすることもあります。
2. 好き嫌いをなくすメリット
幅広くさまざまな食品から栄養素を摂ることで、変化に富んだ豊かな食生活を送れるようになります。たとえば、肉や菓子類といった特定の物ばかりを食べていると、バランスよく栄養素を補うことができなくなり、体調不良を招いてしまう可能性があるのです。
また、食べ物の好き嫌いは、日常生活において苦労や我慢したりするケースが発生するかもしれません。例えば、成人の方であれば、仕事や交友で食事をする際、苦手な食べ物ばかり出るような場所では心から楽しむことができず、苦労するかもしれません。さらに、好きになった人と食の好みがまったく異なるということになれば、どちらかが我慢しなければならない場面も出てくるかもしれません。
3. 好き嫌いをなくす方法
では、実際に食べ物の好き嫌いをなくすためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
3-1. 長期的に向き合う
基本的に、食べ物の好き嫌いに対する特効薬などはありません。そのため、長期的に食生活と向き合うことが近道といえます。
もちろん、子どものころ苦手だった食べ物は、大人になっても克服できないケースもあるでしょう。しかし、健康に暮らせているのであれば、無理をしてまで食べる必要はありません。
さまざまな食材を食べられることで、会食や外食での楽しみが増え、食生活が豊かになるのも事実です。しかし、個人の嗜好は一人ひとり異なりますので、大人になってもどうしても食べられない食材であれば、嗜好に合わないと捉えるべきでしょう。
無理をしてストレスが溜まってしまっては意味がありませんので、足りない栄養素がある場合はサプリメントや青汁などで補いましょう。
3-2. 改めて食べてみる
子どものころ嫌いだった食べ物が大人になっても嫌いなままの場合、長い間その食材を食べてこなかったはずです。しかし、味覚は成長とともに変化してきているため、改めて挑戦してみるとあっさりと食べられるかもしれません。
たとえば、食べ物には「おいしい時期(旬)」が存在します。以下は、代表的な旬の食べ物の例となります。
春が旬の食べ物 | 菜の花、イチゴ、アサリ、タケノコ |
夏が旬の食べ物 | キュウリ、トマト、アジ、スイカ、ピーマン、ニンジン |
秋が旬の食べ物 | サツマイモ、柿、サンマ、栗 |
冬が旬の食べ物 | 白菜、みかん、ブリ、大根 |
苦手な食べ物として挙げられることも多いピーマン、トマト、キュウリなども、旬な時期を選ぶことによって、おいしく食べられるでしょう。
特にピーマンやニンジンの場合は、火を通すことによって苦みやにおいを軽減させることも可能です。こういった工夫によって、これまで嫌いだった食べ物の印象が変わるかもしれませんので、ぜひ試してみることをおすすめします。
長い目で好き嫌いを克服しよう
今回は、食べ物の好き嫌いの原因や、その克服法についてお伝えしました。決して即効性のある対処法などはないので、将来を考えて長い目でゆっくりと克服していくことをおすすめします。
体に不調が出ている場合は、栄養素が足りない可能性もあります。そのような場合は、医師や専門家に相談し、栄養素を補うようにしましょう。
監修者情報
河村優子(かわむら・ゆうこ)
アンチエイジングをコンセプトに体の中と外から痩身、美容皮膚科をはじめとする様々な治療に取り組む医師。海外の再生医療を積極的に取り入れて、肌質改善などの治療を行ってきたことから、対症療法にとどまらない先端の統合医療を提供している。
保有資格:
・日本抗加齢医学会専門医
・日本麻酔科学会専門医
・日本レーザー医学会認定医 ほか