保険料の5年延長見送り、年金局長「力不足おわび」
厚生労働省は3日、2025年の年金制度改正を巡り、国民年金(基礎年金)の保険料納付期間を現行の40年から45年に延長する案を見送る方針を示した。橋本泰宏年金局長が社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で明らかにした。
保険料の納付を5年間延長すると、老後に受け取る基礎年金が年10万円ほど増えるが保険料負担も5年間で約100万円増える。橋本氏は負担増に傾斜した批判が繰り返されたと主張。「法律案にまとめて国会で成立させられるのか見通しを持てない」と話した。
「残念ながら批判を一掃できているとはいえない。力不足をおわびしたい」と延長案を議論してきた年金部会のメンバーに陳謝した。
見送りの背景には年金財政の改善もある。厚労省が同日公表した公的年金の財政検証結果によると、働き手の増加や年金積立金の好調な運用で5年前の前回検証よりも財政状況は改善した。橋本氏は「国民に追加的な保険料負担を求めてまで給付水準を改善する必要性は乏しい状況になった」と話した。