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      ミキサーにかけると不味くなる

      できた料理をミキサーにかけると
      だいたいほとんどまちがいなく不味くなる

      ミキサーを買ってから、菊太郎の分の食事は、
      できた料理を、菊太郎が食べやすいように、ミキサーにかけていた。
      味見はしていなかった。
      料理ができた段階で味見をすることがあっても、
      ミキサーにかけたものを味見するという発想がなかった。
      たいていのものは、味見したくない感じになるのだ。

      ミキサーにかけて、食べやすそうな形態になったところで、菊太郎はたいして食べなかった。

      ある日、母ちゃんは、ふっと、
      「味見もしたくないもの」を食べさせるのはやめようと思った。
      で、
      味見してから食べさせるよう心掛けた。
      でも、どれも、これも、まずかった。
      どうしたらいいのか全くわからなかった。
      味の崩れ具合を考えると、ミキサーにかけたものを食べさせるのが嫌になってきた。

      料理をミキサーにかけると不味くなるからといって、
      どうやったら、おいしいミキサー食ができるかなんて、
      教えてくれる人は私の周りにはどこにもいなかった。

      菊太郎は、
      おいしくないものを食べる意義なんて皆目理解していなさそうだった。
      たとえどんなに空腹でも。

      ミキサーにかけると不味い。
      ペースト食は不味い。
      菊太郎は、不味いものはたいして食べない。
      そう考えるうちに、だんだん、食形態は無理目な形態に進んでいった。
      不味いものを食べない菊太郎は、ムリメな形態の食事もあまり食べなかった。

      それでも、味がちょっとマシで、食べにくい形態のものを食べさせるほうが、
      母親の私にとっては、気が楽だった。
      不味いものを無理やり食べさせられる苦痛は想像が付くけど、
      食べにくいものを無理矢理食べさせられる苦痛を、健常者で食いしん坊の母親は想像できなかったからだ。

      こうして、ムリメの形態を食べさせ続けたことは、
      菊太郎の食べるという行為の印象をひどく悪くした。
      後に、摂食指導を受けたときに、「この子は、食べることを怖がっている」と指摘されてしまった。

      こんなことをしている間、体重はほとんど増えず、
      2歳半から4歳半までの2年の間、体重は11キロからちっとも増えなかった。

      障害児に関る、医療や療育の現場は、なんでこんなにも、
      食べることに関して無頓着なんだろう。
      誤嚥が無い子でも、ほとんどの子はまともに食べられていない。
      これからの長い人生を生きていく子供たちにとって、
      どう食べていくかは、生活の質を左右する重要なことだ。
      幼児期が、食べることを身につけるのに重要な時期なのに、支援が薄すぎる。
      高齢者にはあんなに、手取り足取り指導しているのに・・・・・


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      プロフィール

      きくたろうの母

      Author:きくたろうの母
      ペーパー管理栄養士
      食いしん坊で酒飲み

      菊太郎2004年生まれ
      知的発達5ヶ月程度
      身体発達7ヶ月程度
      視力 たぶん強度の弱視

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