あなたはあなたを生きなさい。
喉の痛みが頭痛に変わり、体が真っ二つに引き裂かれるような痛みが走り、ああ、ああ、ああと呻きながら、失神するように眠りに落ちた。途中、市役所の「台風で市内の川が氾濫したから避難しろ」というアナウンスで目を覚ましたが、動けなかったのでどうしようもなかった。寒気が酷く、長袖長ズボンで布団に潜った。悪霊にでも取り憑かれたのかなと思った。七つのチャクラを無理やりこじ開けられているような痛みを感じて「なんだこれは、なんだこれは」とか言いながら、どうにか一晩やり過ごした。
翌朝、つまり今朝、痛みは少しマシになって、熱海の空は晴れている。昼過ぎからまた荒れるみたいだけれど、八月の終わりに神様はとんでもないサービスをしてくれたなと思った。体の調子が悪くなると、いつもは聞ける音楽やラジオなどの他人の声を、体が受け付けなくなる。頭を使うと、痛みが増す。頭を使わないと、痛みは和らぐ。呼吸がはまると、痛みも和らぐ。他人の音楽ではなく、自分の音楽に自分の体がフィットすると、痛みが和らぐことを学んだ。
家に食べものがないから、日に日に腹がぺったんこになる。こんなに露骨に体に出るなんて、わかりやすい体だなと思った。半年に一回くらい、私は突然体を壊す。悪い細胞を焼き払っているのだと言わんばかりの、強烈な痛みに襲われる。毎回「死ぬ、死ぬ、今度こそ死ぬ」と思うのだけど、どうにかなる。熱海の家は山奥にあり、最寄りのスーパーまで徒歩40分はかかる。車があれば話は別だが、私には何もない。天然塩を水に溶かすと点滴になると聞いた。点滴を飲みながら横になる。普段は見ない夢を見る。光の街の真ん中に、光の塊が眠っている。
歩けない。動けない。本も読めない。音楽も聞けない。メールの返事を書くこともできない。それなのに、こうして自分の気持ちを文章にすることだけはできる。使われている頭の部分が違うのだろうか。今朝、目覚めた時に「あなたはあなたを生きなさい」という言葉が、降ってきたのか、湧き上がってきたのか、頭の中にやって来た。偉いと言われている誰かの話を聞いて、その人のようになりたがったり、その人の真似をしようとするのではなくて、あなたはあなたを生きなさい。孤独に震えて、涙が出ることがあっても、あなたはあなたを生きなさい。
昔は、簡単に世界の滅亡を望んでいた。何もかもぶっ壊してやると、簡単に自暴自棄になっていた。だが、熱海に家を与えられ、野生動物と戯れるようになったら「俺が世界を壊したら、お前らも巻き添えにしちゃうんだよな」と思うようになった。体の調子が悪い時も、笑える時は笑えている。庭に設置した巣箱に小鳥たちがやってきて、ちゅんちゅん戯れながら餌を食べている。たったそれだけの場面に、どうしてこんなにも嬉しさを覚えるのだろう。鳥も蝶も花も雲も、当たり前だけど、荷物なんて一つも持っていない。裸のまま、生きている。生まれた場所まで帰るだけならば、何を恐れることがあるだろう。あなたはあなたを生きなさい。自然はとてもおおらかだから、世界を滅亡させるとなったら「仕方がないなあ」と言って、付き合ってくれる。こんなにおおらかなものたちを、簡単に壊してしまってはいけないよなと思う。
おおまかな予定
8月31日(土)静岡県熱海市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
バッチ来い人類!うおおおおお〜!
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