岸田文雄首相は「アベノミクスの転換」につながる金融政策の転換を、自民党最大派閥の安倍派に配慮しながら探ってきた。今回のマイナス金利解除は、裏金問題で解散が決まった安倍派の幹部らが沈黙していたことも追い風となった。
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日銀がマイナス金利解除を決定した19日夕の首相官邸。日銀本店での記者会見を終えて報告に駆けつけた植田和男総裁との面会後、岸田首相は記者団の取材に応じた。
春闘で大手企業による33年ぶりの高い賃上げが実現したことに触れ、「10年以上にわたって続いてきた異次元の金融緩和政策について、現下の情勢を踏まえた新たな段階へ踏み出す」と力を込めた。続けて手元の紙に目を落とし、一字一句を確認するように読み上げた。「前向きな経済の動きをさらに確実なものとする観点から、緩和的な金融環境が維持されることは適切だと考えている」
当初は緩和的政策の維持には…
連載異次元緩和 11年目の転換(全6回)
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