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 「セキュリティー体制を強化し、再発防止に全力を尽くす。大規模サイバー攻撃で受けた影響から早期の巻き返しを図る」。KADOKAWAの夏野剛社長CEO(最高経営責任者)はそう言い切った。

KADOKAWAの夏野剛社長CEOが2025年3月期通期の連結業績見通しを説明した
KADOKAWAの夏野剛社長CEOが2025年3月期通期の連結業績見通しを説明した
(出所:YouTubeの映像を日経クロステックがキャプチャー)
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 KADOKAWAは2024年6月8日に発生した大規模サイバー攻撃を受けた影響を踏まえ、2025年3月期通期業績予想を修正した。KADOKAWAの夏野社長が2024年8月14日、米Google(グーグル)の動画配信サービス「YouTube」上で説明した。特別損失36億円を計上見込みとし、純利益を97億円に修正した。クリエイターへの補償費用や、サイバー攻撃の調査・復旧費用で特別損失が発生する。同社は同日、詳細を発表した。

 ⼤規模サイバー攻撃によって、売上⾼が84億円、営業利益が64億円の減少影響を⾒込む。ただ電子書籍やゲーム、アニメなどの事業が好調で減少影響を埋め合わせ、2025年3月期の通期連結業績予想は期初予想を維持して売上高は2713億円、営業利益は期初予想比5%減の156億円となる。前述した通り、純利益は特別損失の計上で期初予想比28%減の97億円となる。

 KADOKAWAは、同社データセンター内にあるドワンゴ専用ファイルサーバーなどへランサムウエアを含む大規模なサイバー攻撃を受けた。被害拡大を防ぐため、サーバーをシャットダウンするなど緊急措置を取った。ドワンゴが運営する動画配信サービス「ニコニコ動画」だけでなく、グループ内の事業活動や経理機能を管理する基幹システムの一部も機能停止した。出版事業の既刊の出荷部数が平常時の3分の1程度に落ち込むなどの悪影響が発生した。

大規模サイバー攻撃によるKADOKAWAのシステム障害の概要
大規模サイバー攻撃によるKADOKAWAのシステム障害の概要
(出所:YouTubeの映像を日経クロステックがキャプチャー)
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