「整形大国」とも言われる韓国。2010年以降は、他のアジア圏から整形のために韓国を訪れる人もいて、「渡韓整形」はひとつの産業にもなっている。しかし、新型コロナの流行。渡韓整形需要が大きく下落(※1)し、経営が厳しいクリニックも出ているが、韓国大手銀行のハナ銀行研究所の調査(2020年12月発表)によるとクレジット消費額では、美容整形は前年度よりも10%近くアップしていたと報告。ステイホームやマスク生活で手術後のダウンタイム(腫れなどが出る時期)が隠せるという理由で国内でも需要は伸びたという。
※1:韓国保健産業振興院の2021年10月の報告によると、渡韓整形の外国人需要はコロナ前の2019年度に比べ99%も減少。
なぜ韓国では、美容整形がそこまで定着し、支持されるのだろうか。2021年末から韓国の美容医療系のドクターズコスメのネット販売等を手掛け、韓国の美容事情にも詳しい韓国人ユーチューバーのジンさんに、韓国でのルッキズムの問題と美容整形事情について、解説してもらった。
以下より、ジンさんの解説です。
韓国のルッキズム元年は2000年
韓国での美容ブームのはじまりは諸説ありますが、歴史としてはそんなに古くはありません。経済の発展に伴い、国が豊かになって初めて、美容にお金をかけるという文化が生まれたのです。それに伴い、ルッキズムをテーマにするマンガやドラマなども生まれています。美しくなって人生を逆転させた高校生を描いたwebマンガ『外見至上主義』『女神降臨』、整形をテーマにしたサイコホラー映画『整形水』(2021年公開)なども話題になりました。
見た目の良しあしで人の価値をはかることを「ルッキズム」と言いますが、韓国のルッキズム元年は2000年。火付け役になったのは、当時流行っていた「ハドゥリ」というビデオチャットサービスでした。ネットでチャット機能を使って不特定多数の人とコミュニケーションをとるため、見た目が重視されたのです。
「オルチャン(顔が最高にいい=美女・イケメンという意味)」という言葉も、このときに生まれました(※最近の10~20代はあまりオルチャンという言葉はつかわない)。ハドゥリでオルチャンとして注目され、そのまま芸能界に入った人もいます。ネットで「ハドゥリ 芸能人」とか「ハドゥリ デビュー」などのキーワードで検索すると、何人ものタレントの写真が出てきます。当時は今のアイドルなど比較にならないくらい、レベルの高いオルチャンがたくさんいたものです。