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スクールバス9台どう運用 香春町 全小中統合の新設校

 福岡県香春町は、町内の全小中学校を統合し、義務教育学校「香春思永館(しえいかん)」を新設するのに合わせ、スクールバス9台の導入を予定している。公共交通機関が少ない同町では、子どもや保護者の負担軽減のためスクールバスは欠かせない。ただ、購入・運行には多額の経費が伴うだけに、一部町民に「9台も必要か」との声もある。ほかの自治体では一般市民も利用できる「混乗」などの導入事例が増えており、同町でも運用などを巡り議論が続いている。

 香春思永館は、4小学校と2中学校が統合する形で来年4月開校予定で、計750人規模でスタートする。町は当初、スクールバス12台(定員各29人)を導入予定だったが、乗車範囲や経費を再考し、学校から直線で原則2キロ以上離れた行政区内の児童生徒を対象(開校時は約200人)とし、9台に見直した。運行は民間事業者に委託する予定だ。

 町によると、予算計上する9台の購入費計7200万円は、国の補助金や過疎対策事業債を利用。運行管理費は、国の地方交付税措置で1台当たり600万円程度を確保できる見通しで、この範囲内で運行する業者を選定する方針という。

 スクールバスを巡っては、昨年12月の町議会定例会の一般質問で、林哲雄議員が「子どものための投資は分かる。ただ、行財政改革で予算を削ってきた。ほかの公共交通とマッチングした動きはできないか」と指摘。公共交通のワークショップ(町主催)に参加する丸田宏幸さん(67)は「町は実際の利用予定者もまだ調査しておらず、しっかり把握しないとお金が無駄になる」と訴える。

 国は持続可能な移動手段を確保するため、スクールバスについては、民間の路線バスやコミュニティバスとの統合、混乗方式への転換など地域の実情に応じた見直しを求めている。

 筑豊地区でも、5小学校の再編で17年に開校した宮若西小(宮若市)のスクールバス(10台)は、登下校時に同校以外の児童や幼稚園児も利用できるようにしている。民間のバス路線縮小が続く飯塚市では、筑穂と八木山両地区を走る小中学校のスクールバスに、一般市民も料金を払って利用する「混乗」方式を導入。地域の足として車両を有効活用している。

 香春町教委の江藤亨教育課長は「様々な意見を鑑みて総合的に判断した。開校時は9台で、通学専用として運行を始めるが、多くの人が納得できるよう、開校後も見直していく」。町側は今月21、22日に開く学校再編の住民説明会で通学についても説明する。 (座親伸吾)

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