4年前に死去した、ジャニー喜多川氏の性加害の問題をめぐり、ジャニーズ事務所は今月2日、都内で2時間あまりにわたって記者会見を開き、会場には300人近い報道陣が詰めかけました。
質疑応答は「1社1問」のルールで、司会者が挙手をした記者を指名する形で行われましたが、この会見の際、ジャニーズ事務所から会見の運営を任されていたコンサルティング会社側が、複数の記者やフリージャーナリストの名前や写真を載せた「NGリスト」を会場に持参していたことが関係者への取材でわかりました。
ジャニーズ事務所会見 会場に質問指名の「NGリスト」
ジャニー喜多川氏の性加害の問題をめぐりジャニーズ事務所が今月2日に記者会見を開いた際、事務所から会見の運営を任されていた会社側が、複数の記者やフリージャーナリストの名前や写真を載せて質問の指名をしないようにする「NGリスト」を会場に持参していたことが関係者への取材でわかりました。
これについてジャニーズ事務所は、事前の打ち合わせに会社が持ってきたメディアのリストに「NG」と書かれていたため「絶対当てないとダメですよ」と伝えたとしたうえで、会場に持参されていたリストについては「関与していない」とする見解を示しました。
関係者によりますと、リストには質疑応答の際に手を挙げても指名しないようにする新聞社の記者やフリージャーナリストなどが掲載され、座席の位置なども確認していたということです。
NHKが会見場で撮影した映像にも、スタッフが少なくともあわせて6人の名前と顔写真が掲載されたリストを持っているのが写っていました。
会見では、リストに掲載されていた記者やジャーナリストが、挙手し続けても指名されないことに不満を訴えて会場内が騒然とする場面があった一方、リストに掲載されていて司会者から指名されたジャーナリストもいました。
これについてジャニーズ事務所が見解を示しました。
それによりますと、会見の2日前に行われた打ち合わせに会社が持ってきたメディアのリストに「NG」と書かれており、これを見た事務所側が「絶対当てないとダメですよ」と伝えたところ、会社側は「では前半ではなく後半で当てるようにします」と答えたということです。
そのうえで会社側が会場に持参していたリストについては「事務所の関係者は誰も関与しておりません。誰か特定の人を当てないで欲しいなどとお願いはしていません」などとしています。
一方、会見の運営を担った会社はNHKの取材に対し「契約内容も含めてお答えすることは一切できません」としています。
専門家「広報対応のやり方として不適切」
今回の対応について企業の危機管理に詳しい社会構想大学院大学の白井邦芳教授は「真摯に説明すると言いながら、実際の行動が異なっているという印象だ。記者会見が本来の趣旨とはまったく別の問題で荒れてしまうような場合には、リストを作って排除を考えるケースもあるが、今回のように企業側が大きな問題を抱え説明責任を果たす立場の記者会見でこうしたことをすると、攻撃的で不都合な質問を避けたいという意図がうかがえてしまう。広報対応のやり方として不適切だと思う」と指摘しています。