ニッポンの男が原因で、日本人女性が海外で売春を疑われ入国拒否される
最近、日本人女性の海外売春が増えているという話が話題になっている。この原因を探っていくと、かなり高い蓋然性でニッポンの男に理由を求めることができる。今回はこれについて考えてみたい。
簡単ではない海外売春
まず、海外売春は単に出かけて行ってその場で売って稼げる、と言うようなものではない。というのも、現地で稼いでもその金を使う手段がないからである。日本に持ち運ぼうとすれば、現金でも高額物品でも税関で発覚する可能性が高い。銀行を経由すると不自然な巨額入金で足が付きやすく、暗号通貨などを使うにせよ入金(買い)に金融機関を経由すれば同じことである。闇送金などレートの悪い手段を使えば、受け取れる円貨が半分でも割が良く見えるだろう。
女性自身が国境を越えて財貨を持ち出すのは困難なので、現実的には日本で報酬を受け取れるようブローカーを挟むしかない。体裁としては「たまたまリゾートホテルに旅行に来た若い日本人女性とアメリカのおじさんが意気投合してワンナイトの性的関係になった」というような形にする必要があり、その結果、若い女性だけのグループが分不相応なホテルに泊まると一律売春を疑われる、というのが記事にあるような事態の実情だろう。
ただし、ブローカーを挟むとしてもそれが信用できるかという問題がある。例えば今年夏に在ラオス日本大使館が注意喚起を出したが、コメント群によるとこれは犯罪ブローカーが「中国の富豪を相手に売春する」という名目で求人、ラオスに連れ出し、先進国の法執行機関の手の及ばない現地で人身売買するという、大昔の試着室の都市伝説を彷彿とさせる内実であった(中国や台湾で先行して問題になっていた由)。
そして渡航費もあるし、記事にもある通り発覚すれば長期入国禁止は確定、疑われるだけでも入国拒否のリスクがある。稼げる桁が一つくらい上がらないと割に合う感じにはならない。
コロナ禍で日本人の男は女を買わなくなった
簡単ではない海外売春が増えたのはなぜか。それは、記事中にもある「コロナ禍」がキーワードである。
フェイズ1~夜の街規制で日本人男は女を買わなくなった
コロナ禍では「夜の街」、繁華街が感染ハブになっているとして大きな規制を受けた。人々が「夜の街」に行かなくなっても性風俗だけなら訪問型の業態があり、コロナ禍で伸びていたようだが、しかし「夜の街」に行って店舗を見てふらっと入ったというような需要はなくなり、市場としては総じて½~¾程度に縮小することになったようだ。警察の資料を参考にすると、店舗数は減っていないが、違反に対する検挙や行政処分が全体的にコロナ前の6割程度になっており、営業が低調であることが伺われる。
「夜の街」の人出については、居酒屋・バーの市場規模は2019年を基準とすると、2020年は50%、2021年は28%、2022年は49%水準であり、2023年は速報値を見る限り前年の2割増で60%程度のようである。内訳としては、客単価は若干上がっているが客数の減少がそのまま売上減につながっているようである。日経新聞の記事では、コロナの行動制限解除後も六本木・銀座・新宿など夜の街で人出・光量の減少幅が大きく「『夜間経済』が振るわない状態が続く」としている。実際、今年に入っても繁華街の夜間の人出はコロナ前の6割に届かない水準のようだ。一方で昼の外食産業はすでにコロナ前を30%以上上回る好調ぶりを見せる業種もあり、ナイトタイムからデイタイムへ消費のシフトが起きたと理解される。
「夜の街」には性風俗ではないが女性性を売る接客業であるクラブ、キャバクラ、ラウンジといったものがある。特に高級クラブは体を売るわけではないのに風俗より稼げることも多いということで、夜職としては最高ランクの職場と言えた。ただ、そういったクラブに通う「太客」は地位が高い分失うものも多くスティグマの強かったコロナ感染は避けねばならなかったし、また年齢も高かったため、真っ先に離れることともなった。その中でも、見栄や惰性で高級クラブに通っていた層は、5類移行後も永久に離れてしまった、というのが2023年現在の状況である。
フェイズ2~高額家賃などを止めない彼女たちは出稼ぎ売春した
コロナ禍でただでさえ性風俗産業が縮小していたところに、「上位の夜職」でも多くの失業が発生した。「上位の夜職」は住居も含めて生活レベルが高かったが、コロナ禍にあってもそう簡単に生活レベルを下げなかった。特に固定支出であって日々節約というわけにはいかない家賃の負担は大きく、都心近くの高級賃貸の家賃を稼ぐために性風俗で働き、需要の縮小した都心よりも地方に出稼ぎするということが多く見られた。
都会のホワイトカラーの太客たちが女性を買わなくなったため、昼職に行く気のない女性はまだそれなりに需要があった地方のブルーカラー層を相手に風俗で働くことになるが(前掲記事のいわき市は原発処理労働者が多く男側もそれなりに高所得の出稼ぎ者が中心)、それでも需要には限界があるわけで、そこで海外売春という話になるわけである。
前節で述べた通り、海外売春は送金の困難さや治安リスクが桁違いに大きく、「歩合がちょっといいから」レベルで参入できるものではない。地方出稼ぎのほうがずっと現実的である。それでもなお海外売春になるのは、もはや日本には買う男性がいない――下世話な言い方をすれば男の射精回数にも限界があり、札束よりちんぽの本数が足りていないからであろう。最近問題のたちんぼも、男が買いまくっているなら即決でホテルに行って消えたり、貧乏男が値切っているならそれが目立ちそうなところ、そうではなく客待ちの滞留時間が長くひたすら突っ立っている女性ばかりがカメラに捉えられ、男の買いの弱さが垣間見える。
また、前述のラオスにおける詐欺案件は台湾で先行して起きていたようである。台湾もかなり厳格な夜の街規制を行っていた国であり、夜職の苦境は似たようなものだったということだろう。
SNSでの目立ち方
筆者は男女論に参入してそこそこ時間がたったが、私が参入したころは「ネットの《女の意見》は子供が学校に上がり暇を持て余してランチ女子会に2時間も3時間も使ってる主婦の書き込み数が多く偏っている」と言われていたものだった。ところがコロナ禍以降、かなり夜職勢が目立っていると感じている。夜職は客が来ないと待機室でスマホをいじってSNSをやるだけになることが多く、その影響だろうと見ている。
例えば近年クリスマスの時期になるとメルカリに4℃の宝飾品が溢れるという話が風物詩のごとく話題になっていたが、常識的に考えてほしいが、普通の女はメルカリに売るほど4℃をもらったりはしない。夜の街に通うオッサンが、本気ではないが社交辞令レベルのプレゼントに4℃の宝飾品でお茶を濁し、ハイブランド嗜好が強い夜職女が「私は4℃レベルの安い女じゃない」とイキリや負け惜しみをSNSに垂れ流しているのが、男と女という大きな主語に置換されていただけ、というのが実情であろう。
ただ、男女論なんぞに現を抜かす輩が𝕏のエコーチャンバーの中で蟲毒を作っているだけなら社会的に問題にはならないが、SNSにおける夜職勢の豪遊マウントは(ばびろんまつこのように実態がカスでネット上のイキリだったとしても)instagramなどを通じて思いのほか広く影響を与えているようにも見える(先日もそのような意見のポストが少々バズっていた)。
SNSは、業者・ブローカーが夜職女を装ったステマアカウントも加味が必要である。夜職風のアカウントが「このくらいのブランドバッグもってないと恥でしょ」とかステマしつつ、バズるとリプにぶら下がりで「稼ぐならこのアプリ」みたいなダイマがつくのはよく見ると思う。イケメンへの推し活やハイブランド購入を煽る(得てして非イケメンや安ブランドを過剰にディスる)女性風アカウントは、女性を売春に沈めたい業者による煽りが混じっているのは注意が必要だろう。
結論
海外売春の(絶対数は少ないものの)確実に増加している。その理由を端的に言えば、《コロナをきっかけに男は買うのをやめたが、女が売るのをやめない》という要因であると結論することができる。経緯はともあれ、女性の権利団体が主張していた「男は女を買うのをやめろ」という主張が実現した結果に過ぎないので、日本人男性は倫理的により高い所に至ったと誇ってよいだろう。
ただここまでの話の総括――「日本人の男はコロナをきっかけに買春をやめたが、日本人の女は売春やめようとしないので、海外に売春に行くようになった。ただし海外売春は送金手段に欠くなど為替レート2倍程度では釣り合わないほど高リスクで、仲介ブローカーを装った中国人犯罪組織に騙され、人権保護の手が及んでいない社会主義国ラオスで人身売買の被害に遭う例もあった」――という事実は、言ってしまえば"人権派"の皆様が見たくないファクトの欲張りセット感があり、今後とも表向きは報じられないのではないかと思う。
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