税金5兆円がドブに! 少子化改善の超ムリゲーを押しつけられた「こども家庭庁」という不幸
■ゼロベースからの体制の見直しを ただ、こども家庭庁のような少子化対策を扱う官庁が脚光を浴びるチャンスは乏しいという声もある。前出の荒川氏が指摘する。 「子育て支援では出生減は改善できません。その証拠に家族関係政府支出のGDP比が日本よりも高い欧州諸国でも、30兆円もの予算を子育て支援に投じてきた韓国でも、出生率も出生数も近年下がり続けている。子育て支援の予算を増やせば出生数が増えるというエビデンスは世界のどこにもないんです」 加えて少子化は確定した人口動態であり、どんなインパクトのある少子化対策を打ち出してもすぐには出生率アップにつながらないという現実がある。 「いま生まれた赤ちゃんが大人になって結婚、出産するのは早くても20年後のこと。少子化対策の効果が出るのは20年、30年先の遠い未来であり、それまでは人口は減り続けます」 つまり、少子化対策は短期的には誰が何をやってもクリアができない、ムリなゲームをしているようなものなのだ。その意味で、こども家庭庁が挑もうとしている向こう3年間の加速化プランも、のれんに腕押しに見える。 成果に期待できない以上、こども家庭庁が持てはやされることはないだろう。それどころか、酷評にさらされる恐れすらある。荒川氏が続ける。 「新たな負担をもたらす支援金制度の創設は少子化対策として逆効果。可処分所得が少なくて結婚をためらう若年者にさらなる経済負担を強いるわけですから。これでは『結婚して子供を持とう』という若者の意欲をそぐだけで、むしろ少子化が進むだけです。 3.6兆円もの公金をつぎ込む加速化プランが子育て支援に偏り、少子化対策として的外れで無駄遣いに終わりかねないことを考えれば、むしろこども家庭庁は害悪な役所。廃止も考えるべきでしょう」 前出の内閣府関係者がぽつりとこう語る。 「子育て支援策が少子化対策にならないことは人口減に悩む先行国の経験から官僚たちもよくわかっている。上乗せとはいえ、医療保険料を目的外の子育て支援に流用するやり方も良くないとわかっている。こんなおかしなことをするために官僚になったわけではない。こども家庭庁で働く300人の事務方の多くはそう悩んでいるはず。 ただ、国民に選ばれた議員から方向性を指示されたら事務方としてはそれに沿った政策ペーパーを作るしかない。なんだか、むなしい気持ちでいっぱいです」 少子化対策がそもそもムリゲーなら、こども家庭庁の総予算5兆円超はドブに捨てるようなもの。庁の体制、加速化プランのメニュー、財源確保のあり方など、もう一度ゼロベースから検討すべきではないか? 写真/共同通信社