税金5兆円がドブに! 少子化改善の超ムリゲーを押しつけられた「こども家庭庁」という不幸
■結婚できない人への支援はなおざり 岸田政権は今後6~7年間を「少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」と想定、今後3年間にその具体策として「加速化プラン」を実施すると発表した。 そのプランは主に以下のようなものだ。 ・児童手当の拡充(対象を高校生までに拡大、第3子以降の給付額倍増、所得制限の撤廃など)。・出産費用の保険適用。・育休給付額の引き上げ。・親の就労を問わず、保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」の導入。・妊娠、出産後に計10万円相当を支援する「出産・子育て応援交付金」の恒久化。・高等教育費の負担軽減。 一見、出産、子育てを手厚く支援する政策に見える。だが、少子化問題に詳しい独身研究家・コラムニストの荒川和久氏がこう首を振る。 「少子化対策としては的外れのメニューばかりです。なぜなら、子育て支援が中心で、結婚や出産を希望しながら経済的理由などからそれが実現できない『不本意未婚者』への支援策がほとんどないからです。 婚姻数を増やし、出生数を増やしたいのなら、すでに結婚できている人々への支援でなく、未婚者の40%を占める不本意未婚者への支援―結婚できると安心できるだけの十分な雇用と可処分所得を用意すべきです。 なのに、加速化プランにはそうしたメニューがない。これでは、いくら巨額の税金をつぎ込んでも、出生数が上向くことはありません」 ちなみに、5年ごとに政府が作成する少子化社会対策大綱でも、その冒頭に少子化対策の肝は「若者の結婚、出産への希望を実現することであり、そのために若者の雇用、経済基盤の安定が不可欠」と明記されている。 本質的な対策はわかっているのに、腰が重い。その理由のひとつは、こども家庭庁の出自に関係しているのかもしれない。 同庁は当初、子供のための政策を一元的に行なうことから「こども庁」としてスタートするはずだった。しかし、いざふたを開けてみると「家庭」の2文字が追加され、現在の名称になったという経緯がある。 「名称変更の背景には子育ては母親が担うものという考え方に代表されるような伝統的家族観を重んじる自民党右派の圧力があったとされています。これにより、こども家庭庁は子供支援だけでなく、家庭支援にも力を入れざるをえなくなった。 加速化プランの支援メニューが結婚できない若者個人より、すでに家族を形成している子育て世帯に手厚いものになっているのには、こうした名称変更の経緯が微妙に影を落としている気がします」(全国紙政治部デスク)