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物議醸す過激なリバタリアン、逮捕劇でテレグラムCEOに転機

  • ドゥーロフ氏の資産、約1兆3300億円-ビリオネア指数
  • Xオーナーのイーロン・マスク氏はドゥーロフ氏逮捕を非難

通信アプリ「テレグラム」を巨大企業に成長させたのは、パベル・ドゥーロフ最高経営責任者(CEO)の規制に対する自由放任の態度だ。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイを拠点としながら、ロシアや欧州連合(EU)の当局と衝突するプラットフォームを構築した。

  プラットフォーム上のコンテンツをより適切に管理することを求める各国政府からの要請を繰り返し無視してきたドゥーロフ氏(39)だが、こうしたスタンスは、テレグラムが児童性的虐待の拡散を含むアプリ上の犯罪に適切に闘ってこなかったとの疑惑を巡りフランスで逮捕されたことで転機を迎えた。

  テレグラムは暴力的なコンテンツを除いて削除することに消極的だった。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、ドゥーロフ氏の資産は92億ドル(約1兆3300億円)。

  同氏は過激なリバタリアン(自由至上主義者)であり、普段は全身黒のワードローブで身を包み、映画「マトリックス」でキアヌ・リーブス演じるネオをほうふつとさせるいでたちだ。

  UAEとフランスの旅券(パスポート)を持ち、しばしば世界を飛び回る生活を公開しており、最近では中央アジアを旅した写真を投稿している。

The Second Day Of The Mobile World Congress
パベル・ドゥーロフCEO
Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  気楽なイメージとは裏腹に、ドゥーロフ氏は無料で使えるテレグラムを収益化しなければならないというプレッシャーに直面している。社債24億ドルが2026年3月に満期を迎えるを前にテレグラムは9億人のユーザーから利益を上げようとしている。

  ドゥーロフ氏はテレグラムの価値が300億ドルを超えると主張しており、会社を売却するより、上場を望んでいることを示唆していたが、今回の逮捕劇は上場に向けた取り組みを複雑にすることはほぼ間違いない。

  X(旧ツイッター)のオーナー、イーロン・マスク氏やエドワード・スノーデン米中央情報局(CIA)元職員はドゥーロフ氏逮捕を非難しており、言論の自由を巡る争いも予想される。

  ドゥーロフ氏はパリ検察のサイバー犯罪部門が取り組んでいた事件の一環として取り調べを受けている。事件の担当者は、容疑者に対する合法的な盗聴を当局が行うのを拒否したことや、児童に対する性的虐待に絡む販売を可能にしたこと、麻薬密売をほう助したことなど、幅広い疑惑を調べている。

  テレグラムは25日、「プラットフォームやその所有者がそのプラットフォームの悪用に責任があると主張するのはばかげている」とし、「われわれはこの状況の迅速な解決を待っている」と資料でコメントした。ドゥーロフ氏のコメントは得られなかった。  

論争の的

  テレグラムは長い間、論争の的となってきた。EU当局者は、最近の英国での反移民暴動を引き起こした陰謀論や、ロシアの情報機関が工作員をリクルートするためこのアプリを利用したという疑惑などに触れ、偽情報をあおっていると指摘している。

  ドゥーロフ氏は民主主義的な政府からも権威主義的な政府からも、プラットフォーム上のコンテンツをより適切に管理するようにとの要請の受け入れを拒んできた。テレグラムは偽情報拡散を許容し、親ロシアのプロパガンダを広めているEU当局者がみる一方、ロシア側はこのアプリをブロックしようとして失敗した。

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Telegram Questions Grounds for France's Detention of CEO Pavel Durov
テレグラムは欧州の法律を順守していると主張
Source: Bloomberg

  テレグラムは財務情報をほとんど公開していないため、他のソーシャルメディアやメッセージプラットフォームよりも価値を特定するのが難しい。米証券取引委員会(SEC)への届け出によると、ドゥーロフ氏は同社唯一のオーナーだ。

  過激派を追跡するシンクタンク「戦略的対話研究所(ISD)」のエグゼクティブディレクター、モウスタファ・アヤド氏によれば、このアプリは8月に英国で反移民のデモ隊が警察と衝突し、移民コミュニティーを脅かした暴力的な抗議活動を組織する上で中心的な役割を果たしたという。

  ドゥーロフ氏はテレグラムの前に、「フェイスブック」そっくりの「フコンタクテ」を06年に始めた。海賊版の映画や音楽を簡単に共有できることもあって、ロシア最大のソーシャルネットワークに成長した。ソ連時代のKGB(国家保安委員会)の後継組織であるロシア連邦保安局が、11年に結成された抗議団体をフコンタクテに閉鎖させようとした際、ドゥーロフ氏は反対の立場を取った。

  同氏は最終的にフコンタクテの保有株売却を強いられた。親ロシアのウクライナ指導者ビクトル・ヤヌコヴィッチ氏を打倒するきっかけとなった13年に起きた市民デモの際、ウクライナのユーザーに関するデータの引き渡しを拒否し、ロシアを離れたとドゥーロフ氏は主張している。

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原題:Billionaire Telegram Founder’s Rebel Streak Puts Freedom at Risk (抜粋)

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