困難女性支援ネットワーク発足 埼玉・上尾市 関係機関が連携
埼玉県上尾市はDVや貧困など多様な問題を抱えた女性を支援する「上尾市困難女性支援ネットワーク」を7月に発足させた。市のほか、警察や児童相談所などの11機関や福祉支援関連の民間事業所26団体が「協力機関」として登録され、女性の問題に連携して支援にあたる。
4月に「困難な問題を抱える女性支援法」が施行されたことをきっかけに、支援の拡充をめざした。
市によると、女性の悩みの背景には、DVや貧困のほか、自身の精神的な疾患、家族関係の悪化など多様な問題が複合的に絡んでいるケースが多い。これまでは、子どもの不登校についてなら教育委員会、病気の支援は障害福祉の窓口、などと別々に対応し、全体的なサポートができないことで困難から脱するに至らない、という課題があったという。
今回発足したネットワークでは、協力機関から支援が必要だと思われる女性について市が情報提供を受け、担当の課につなぐ。複数の課にまたがる問題は「個別ケース会議」を開いて世帯ごとに悩みを整理し、協力機関とも連携して支援にあたることなどを想定している。
発足からの約1カ月で、協力機関の地域薬剤師会から5件、市社会福祉協議会から1件の計6件の情報提供があった。薬剤師会からの5件は「服薬管理ができておらず、認知症や知的な困難を抱えている可能性がある女性がいる」、社協からは「知的障害が疑われる女性が知人の元を訪ねたが、対応に困った知人から相談があった」という内容だった。
市は薬剤師会からの情報については高齢者福祉の担当課と共有し、地域包括センターやケアマネジャーらを通して実際の支援に入る。社協からの情報については今後の支援方法を検討中だという。市の担当者は「ネットワークができたことで、これまで直接のつながりがなかった団体からも情報を得ることができるようになった。支援が必要な方にアプローチできる取り組みであり、市民の安心感につなげたい」と説明する。
今後は市内の大手商業施設も協力機関として登録を予定しているほか、市はネットワークに協力可能な事業者を募集している。女性向けの悩み相談窓口は市男女共同参画推進センター(048・778・5110)へ。(小林未来)
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