「LINE」がサービスを開始したのは2011年6月23日。短文のやり取りやスタンプの目新しさもあり、当初は若者が活用するメッセージアプリという印象でした。今やすっかり社会のインフラとして浸透しましたね。
ブームが落ち着くとささやかれるのが「若者の〇〇離れ」です。「もうLINEは使っていないのでは?」「インスタのDM(ダイレクトメッセージ)に移行したと聞いた」など、若者がLINEから離れたという説もありますが、実態はどうなのでしょうか。
高校生新聞社が運営する「高校生新聞」が2023年8月に公表した「友達との連絡手段」についてのアンケート(複数回答)※1では、「LINEのトーク」が99%と、その利用率は圧倒的でした。「LINE離れ」どころか、LINEがまだまだ現役であることが分かります。
※1 高校生新聞「友達との連絡手段」(https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/10282)
なぜLINEを使っているかという問いには、「みんなLINEを使っている」「部活で使っている」「グループを作って連絡を取り合えたりと使い勝手がいい」「いろいろなファイルや画像、位置情報などが送れて便利」といった回答が寄せられています。友人や家族、部活のメンバー、バイト先の人など、さまざまな人とつながれて、機能も豊富という点が評価されています。
2位は、「InstagramのDM」(58%)です。Instagramも高校生がよく利用しているアプリですし、ストーリーズにDMの送信欄があるため、友達のストーリーズを見てそのままDMで会話が続くこともあるのです。「知り合ったばかりの友達とはインスタ」との声もあり、まずはInstagramでつながって、親しくなった人とはLINEを交換するという使い分けがあることも分かります。
3位は「LINE通話」(44%)、4位が「電話」(8%)と続きます。高校生が通話したいときは、電話よりもLINE通話を使うケースが多いことが割合の差から見えますね。
LINEで悩んだ経験は?
高校生新聞では、「友達との連絡で困ったり悩んだりした経験」についてもまとめています※2。
※2 高校生新聞「友達との連絡で困ったり悩んだりした経験」(https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/10321)
「5秒で既読が付いて30秒以内で返事を返す友達がいる。監視されているようで怖い」──これは、筆者が別の高校生からも聞いたことがあります。すぐに返事をすると、暇だと思われかねないと控える人もいますが、「監視」と捉えられる可能性もあるようです。
「やり取りの最後『。』を付けて終わりにするのは、なんだかつまらない感じがする」──LINEの文章に句点を付けるのは大人のしぐさで、若者からは「怖い」と感じる人が多いと聞きます。大人はメールと同様に「書き言葉」をLINEに書きますが、若者は話しているような感覚であり、省いても意味が通じる句点を入れない傾向があります。でも、絵文字で終わるのか「!」で終わるのか、終わり方を悩んでいるようです。
「送信取り消しがあると、ちょっと不安になってしまう」──LINEには「送信取消」機能があり、間違えたときは消せますが、消したことは履歴に残ります。若者は送信取消機能を使いこなしていますが、相手がなぜ消したのか、何が書いてあったのかは気になるようです。
気軽な交流を可能にしたLINEですが、円滑なコミュニケーションのための振る舞いは、世代を超えて悩ましいものですね。
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