国内在住外国人のメディア環境とメディア行動
~4国籍の外国人向け電話アンケート調査から~
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日本でも多文化社会化が進みつつある。多文化社会におけるメディアの役割・機能を考えるうえでは、外国人のメディア環境、メディア行動に関する現状の把握は不可欠であるが、方法論上の問題もあって量的調査の実績はこれまでない。今回、放送文化研究所では、中国、韓国、ブラジル、フィリピンの4国籍の外国人(各250人、計1000人)を対象に、電話アンケート調査を行った。
本稿では、その結果を報告するとともに今後に向けた課題や可能性について考えたい。
- 国籍による属性構成上の大きな差異
アンケートの回答者は、国籍によって性、年層、在留資格などが大きく異なっている。 - 日本のテレビへの高い接触
どの国籍の人も日本のテレビを「ふだん利用する」という割合が90%を超えている。NHK でよく見 る番組ジャンルは、国籍によってかなり傾向が異なる。例えば中国、韓国ではドキュメンタリー が、ブラジル、フィリピンでは歌番組が割合が高い。 - 日常メディアとしてのインターネット
インターネットは外国人のあいだで非常に日常的に利用されている。インターネットでは母国語 のサイト、日本語のサイト、双方が利用されている。ただし、特にブラジル人などでは、インター ネットを全く利用しない人もいて、利用者と非利用者のあいだに大きな情報デバイドが存在する 可能性がある。 - 表象・コンテンツに関する意識
外国人の多くは、日本の新聞やテレビが、自分たちの声や置かれている立場を十分に取り上げ ているとは感じておらず、また時として自分たちのことを差別的な形で表現していると受け止め る人も多い。