「天然痘ワクチン」の備蓄は?

ーワクチンの備蓄はどうなっているのでしょうか?
安田教授:
「天然痘は1980年にWHOが根絶宣言を出し、自然界からはなくなっています。唯一、アメリカとロシアの研究機関が1機関ずつ今も天然痘ウイルスを保有している状態です。

「しかし、ソ連の崩壊などによってこれが様々な国に流出したのではないか?バイオテロに使われるのではないか?という懸念が2000年代に非常に高まり、日本でも天然痘ワクチンの国家備蓄を進めました。現状、日本では一般流通はしていないワクチンですが、備蓄はある状態です」

「治療薬に関しても『テコビリマット』という天然痘の薬が、既に欧米ではエムポックスの治療薬として承認されています。現在日本では承認されていませんが、今後状況によって使用が検討されると思います」

安田教授:
「一番大切なのは検疫などの体制を整え、輸入症例をきちんと見つけることです。そして国内で患者が見つかった場合、すぐに家族や接触者の検査ができる体制を整えておくこと。世界のどこからでも2日もあれば日本に入ってくる可能性はあります」

「日本の法律でエムポックスは『4類感染症』に分類されているウイルスなので、医師は直ちに保健所に届け出る必要があります。警戒を怠らないこと、想定外のことが起きても対応できるようにしておくことが非常に重要です」