当初は男性の同性愛者の間で広まった

ー感染経路は?
安田教授:
「22年の拡大時は、主に男性の同姓愛者を中心に広がり、濃厚接触をすることによって感染するというものでした。日本でも2023年以降、248例(8月16日現在)の症例が確認されていますが、そのような方を中心に広がりました」

「しかし、今拡大が懸念されている『Ib』系統のウイルスは、例えば接触・飛沫などでも感染すると見られています。実際『家族内感染』や『医療従事者への感染』、あるいは宿泊施設や医療機関などで『患者のリネンシーツを介したとみられる感染』も報告されており、これまでのものより感染力は強いと認識されています。そういう意味では非常に警戒が必要な病気です」

「今までのエムポックスに比べると警戒が必要ですが、インフルエンザや新型コロナほど感染力が強いわけではないので、日本国内で感染が大きく拡大する可能性は現状では低いと思っています」

ーワクチンや治療薬についてはどうなっているのでしょうか?
安田教授:
「エムポックスウイルスは、天然痘ウイルスと非常に似たウイルスなので『治療薬』や『ワクチン』に関しても、天然痘に有効なものがある程度効果を示しています」

「以前流行していた『IIb』系統では天然痘ワクチンが85%位効果があると言われていて、『Ib』に対しても有効だと考えられています」

「日本では1976年まで天然痘のワクチン接種が行われていたので、年齢で言えば50代以上の世代は、既にワクチンを接種して一応の免疫がある人が多いです」