問題のスタッフはNHKの関連団体が業務委託契約を結んでいた。2002年から日本語のニュース原稿を中国語に翻訳してラジオで読み上げる業務を担当していた。NHKは21日付で契約を解除し、損害賠償請求と刑事告訴を検討しているが、スタッフは「代理人を通じて対応する」などとしており、動機は不明だ。
NHKの国際番組基準は、「わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解(中略)を正しく伝える」と規定している。
過去のチェック体制は不明
尖閣諸島は、日本政府が10年にわたって調査し、「いかなる国も領有権を持たない無主の地」として、1895(明治28)年に編入した。魚釣島では、かつお節製造と羽毛採取が行われ、最盛期には約200人が生活していた。日本固有の領土であり、領有権の問題は存在しないというのが日本政府の立場である。
慰安婦問題は、吉田清治という人物の、朝鮮半島で女性を「奴隷狩り」して慰安婦にしたという虚偽証言を朝日新聞が拡散し、日本と日本人の名誉を著しく貶めた。朝日新聞は2014年8月、誤報を認めて記事を取り消している。日本政府は「性奴隷」という表現も事実に反しており、使用すべきでないとの公式見解だ。
日本政府の主張と真逆の独自見解が、公共の電波に乗り世界へ発信された形で、NHKは、番組を事前収録にするなど再発防止策を打ち出した。だが、過去のチェック体制は不明で、同様の「放送テロ」が行われていた恐れもある。
稲葉氏は調査会終了後、報道陣に「国際番組基準に抵触する極めて深刻な事態」「原因究明を行い、関係した役職員の責任を問うとともに、再発防止策の確定を急ぎたい」と陳謝した。
世論や識者からは怒りの声が噴出している。
中国事情に詳しい評論家の石平氏は「前代未聞の事態だ。日本にテロ、攻撃を行ったに等しい。NHKの責任者、経営陣が辞任すべき深刻な事態だ。国会や日本政府は『背景』『NHKの体制に問題がなかったか』『過去に同じような発言がなかったか』などを徹底追及しなければならない」と語気を強めた。
テレビ放送の問題点を追及してきた米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏も「今回の問題は、『報道は事実をまげないですること』『政治的に公平であること』をうたう放送法第4条に明らかに違反している。総務省が『国際放送の免許取り消し』を検討すべき事案だ。NHKは受信料に加え国費で成り立っているが、客観的で正当な情報を放送する態勢が担保できない限り、税金を投入してはならない。NHKは組織が巨大でチェックや、ガバナンスが効かず、不祥事などの改善が進みにくいとの見方もある。組織を分割し、一部民営化するなど管理体制を見直すべきではないか。これが英BBCの放送なら、英国民は憤激したのではないか。日本国民も、もっと怒るべきだ」と語った。