森永卓郎氏「新NISAは史上最悪の詐欺」 (2024.08.13) No.814




新NISAの話で、前から不気味だと思っていたことがある。今年の8月に史上最悪の日経平均下げ幅4500〜4600円の大暴落があったその後から、なぜか「今こそ新NISAが買い時だ」というニュースがやたら流れ始めたからだ。

実は今日、もう一つの番組『政経プラットフォーム』の収録で森永卓郎先生がスタジオにお越しになったのだが、その時に「新NISAは史上最悪の詐欺だと思うのですが、どう思いますか?」と伺ったところ、先生から「その通り!」と同意いただけて、やはりそうかと思った。

そもそも今回の暴落にはブラックロック社が絡んでいる雰囲気がある。理由は彼らの大量保有報告書が出てきたからなのだが、8月5日に大量に買った、或いは、大量な空売りを仕掛け暴落したところで買い戻した、このいずれかだろうと言われていて、おそらくは後者であろうという見方が多い。

現在、新NISAを始めた人たちはこれまで積極的に投資を行ってきた層ではなく、税制上のメリットがあるということで投資を始めた人たちが多い。

ではそういう層がどこで商品を買うのかというと、基本的には証券会社の推奨に従って、日経平均連動型の投資信託を毎月積立てるという形で購入するのだ。ではなぜインフレが始まっていて、どう考えても株式投資を始めるタイミングではない今、この新NISAが始まったのか? 

基本的に株式と物価は逆相関で、株価が上がればコモディティ価格は下がり、物価が上がれば株価は下がるというのは投資をしている人であれば誰もが知る常識なのに、だ。

今、日本国内はインフレが進行中で物価高である。また、中小企業だけでなく、様々な企業の倒産も26ヶ月連続で増えており、伴い、実質賃金も26ヶ月連続マイナスという実体経済は不景気そのものだ。この状況で、「これから株式投資をしよう」とは、一体どんな思考回路で言えるのだろう? 

株価が上がる局面は、金融緩和の量による。言い換えれば中央銀行の預金残高、つまり供給されたマネーの量が増える間は株価が上がる。これは安倍政権時代に起こったことで、金融緩和で市場に大量の資金が流れたのだ。しかし、一方で中小企業などの資金需要を超えて資金が流れてしまうと、そのお金の一部は金融機関やファンドに流れていく。

中小企業は、資金を借りようとした時、高い金利を言われることもあり、資金需要が満たされている時には無理にお金を借りようとしないものだが、金融機関やファンドは資金があれば投資に回す。例えば、不動産や株式や企業への投資だ。

アベノミクスの間は、金融緩和が積極的に行われた結果、株価が上がり、超円高だった円ドルレートも適度に調整され、そうして景気も回復しつつあったのだが、そこで消費税増税が2回行われてしまい、景気が冷やされた。アベノミクスを評価するなら、金融緩和によってお金持ちはさらにお金持ちになり、GDPの半分が個人消費で占められている現実では、一般市民からはお金が奪われたことになる。アベノミクスのお陰で経済を持ち直した部分はあったのだが、個人消費を冷やしてしまったため、それ以上の効果はみられなかったとみている。

ここから私がなぜ「新NISAは日本政府が絡んだ今世紀最大の詐欺」と言えるのかの根拠をお伝えする。日銀というのは中央銀行であり、中央銀行は政府からの独立性が求められる存在だ。しかし、実際には政府から完全に独立できるわけではない。なぜなら、政府内閣や首相がその人事などに影響を与えるからで、どうしても政府側の顔色を伺うことになってしまうからだ。官僚にとり夢のポジションでその頂点になるのが日銀総裁となれば、そのためには首相に対しある程度のサービスを提供しなければならないのだ。このため、中央銀行の独立性を完全に保つことはもはやファンタジーなのである。
中央銀行は株価を上下させる絶大な権力を持っているが、その日銀総裁が首相官邸の顔色を伺うとなるとどうなるのか?それは、首相は以降、株価の上下が分かるということだ。岸田首相が株を持っていない理由は、「株価は下がる」と思っているからなのである。

麻生さんが言っているように政治家にとりその活動にはお金が必要だ。政治資金パーティーもそのために行うくらいだ。だから‘株価が上がる‘と思うのなら株投資をするはずではないか。しかし、岸田首相は投資をしていない。なぜなら、政府側の人々は、今後金融緩和がこれ以上できないこと、量的緩和から引き締めに向かっていることを知っているからに他ならない。

量的引き締めが進めば、日銀当座預金の残高が減少し、それに伴い株価は下がる。岸田首相がその座を退く可能性があるということで慌てて金利を上げたとなれば、株価クラッシュは避けられない。更には、利上げ情報が事前に漏れていなければ、岸田首相と繋がりのあるブラックロック社が空売りを仕掛けるだろうか?という疑いも出てくるわけだ。

今、日本も含め世界は景気が悪い。欧米は景気が悪いからこれから利下げを試みようとしている。このような状況で、金融緩和ができない中、政府は今後、株価がじりじりと下がることを知っているのである。しかし、ニュースメディアでは「今こそ新NISAを始めましょう」「暴落した今がチャンス」というプロパガンダを流しているのだ。これはとんでもない詐欺だと私は思う。

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