「多様性の尊重をやめる」米ハーレーダビッドソンが発表。ネットで「もう買わない」と批判集まる
米大手バイクメーカー、ハーレーダビッドソンが19日、多様性を尊重した「DEI」に基づく経営方針を一部廃止すると発表した。この決定に、ネット上では批判が寄せられている。騒動のきっかけは、DEI反対を訴える政治評論家の発言だった。 【画像】DEI反対を主張していた過激な政治評論家
「DEI」とは、「ダイバーシティ(多様性)」「エクイティ(公平性)」「インクルージョン(包括性)」の頭文字をとった略称。 企業や社会において、一人ひとりの違いを尊重し、公平な環境を整え、誰もがやりがいを持って貢献することが、価値創造につながるという考え方だ。 日本国内の企業でも近年、DEIが導入され、注目を集めている。
そんな中、米ハーレーダビッドソンは19日、Xで声明を発表。同社は声明の中で、「多様性」に基づいた経営は行わないことを示唆した。 「最高の人材を雇用し、維持し、すべての従業員が歓迎されていると感じることが、我々の経営で何より重要です」 「ですが、2024年4月以降、DEIプログラムについては機能しておりません。弊社では現在、DEIの方針を取りやめています」 「多様性に応じた雇用枠もなく、『サプライヤーの多様性における支出目標(多様なバックグラウンドを持つ人材のビジネスに会社の支出を分散させる)』もありません」 同社は、職場でのLGBTQインクルージョンを推進する「ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)」の取り組みにも参加しないと表明した。
この発表を受け、同社の投稿には「なぜこれが良いアイデアだと思ったのか信じられません」「CEOが辞めるまで、ハーレーのバイクは絶対に買いません」「LGBTQコミュニティからの支持をすべて失った。プライド・イベントに出資するのもやめていただきたい」など、批判が寄せられている。
ハーレーダビッドソンはここ数週間、DEI反対派から圧力を受けていた。同社も声明文で、その事実を認めている。 米CBSテレビによれば、DEI反対派からの攻撃は、保守派の政治評論家ロビー・スターバック氏の投稿がきっかけだという。
スターバック氏は7月、ハーレーダビッドソンに対し、社会的な課題や取り組みに敏感なことを指す「ウォーク(woke)」という言葉を使い、「意識高い系の企業になってしまった」と痛烈に批判していた。 同氏はAP通信の取材に対し、人種の多様性に基づいた雇用の決定や、社会問題を企業文化に織り込むDEIの方針に、反対の立場を表明している。 スターバック氏は複数の米企業に対し、DEIの方針を撤回させることに成功している。ハーレーダビッドソンの発表を受け、スターバック氏は19日、自身のXに「我々の運動の勝利」と投稿。さらに別の企業を標的にすると示唆した。
BuzzFeed Japan