ETCカードの貸し借りは「家族でも違法」の地裁判決

この夏の連休は地震や台風の影響を受け、新幹線や飛行機といった公共交通機関がストップするなど大きな影響が出ました。そんな中、マイカーのハンドルを握り、高速道路を使って大移動をしたという方も多いのではないでしょうか。

高速道路の料金所
写真=iStock.com/y-studio
※写真はイメージです

さて、高速道路を通行するために欠かせないのがETCカードですが、このカードの利用をめぐって、最近、気になる「判決」が下されたことをご存じでしょうか。

ETCカードの貸し借りをおこなった同居の兄弟と、そのカードで車を運転した知人の計3人が、いずれも「電子計算機使用詐欺罪」(刑法246条の2)で起訴され、有罪になったというのです。

【刑法246条の2】
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

夫名義、親名義でも「アウト」になる

この判決の話をすると、多くの人が、

「えっ、家族名義のETCカードの貸し借りは犯罪になるの?」
「うちの家族だって普段から何の疑問も持たずにやってるけど……」

と、驚かれます。

我が家も同じく、私名義のETCカードが挿入された車を夫が一人で運転することは珍しくありませんし、その逆もあります。クレジットカードを持っていない学生ドライバーが、親名義のETCカードを借りて車を運転するケースだってよくあるでしょう。

特に悪気もなく、日常的に行っていることが「罪」に問われてしまうとなると、決して他人ごとではなく、さすがに不安になりますね。

では、3人がそろって有罪となったこの「事件」、いったいどのようなものだったのでしょうか……。2024年5月8日に下された大阪地裁判決(裁判官/末弘陽一・高橋里奈・高矢輝乃)の内容を振り返ってみたいと思います。