pixivは2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴
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愉快で楽しくふざけ合える体育の授業だっていうのに……どうしてもやる気が出ない
「キツイ……」
体育館の床に座り込んで大きなため息をつく
「ユタカー!お前も混ざれよ!」
「無理…」
誘いを断って、膝を抱えて俯く
どんよりと暗い気持ちが広がっていく
「ど、どうしたよ」
「何かあったのか?」
「大丈夫かよ」
「変だぞ?」
普段とは真逆の俺の姿に『なんだなんだ』と同級生たちが周りに集まってくる
「そんなにヤバいのか?」
「福永呼ぶか?」
「元気出るだろ?」
ユーイチ
俺の可愛いユーイチ…
会いたいけど
今は…
「余計にアカン……」
その言葉にみんなが顔を見合わせた
「なんだ、喧嘩かよ」
「何したん?」
「早く謝れよ」
「どうせお前が悪いんだろ?」
まだ何も言ってないのに、
なんで俺が自動的に悪いことになってるん?
おかしくない?
「ケンカちゃうねん…」
「分かった!倦怠期やろ!」
「は?有り得んわ」
「急にキレんなよ…」
今までも、これからも、ずっと仲良しなんやが?
倦怠期なんてもんは永遠に来ない
「じゃあなんだよ」
「そうだそうだ」
「………って、」
「あ?聞こえねぇよ」
「行為、1週間禁止だって…」
そう言うと、体育館が静まり返った
てっきり笑い飛ばされるか
馬鹿にされるかの2択だと思っていた俺も思わず黙った
「それは、辛いな……」
絞り出すような声と共に、肩に手を置かれた
「わ、分かってくれるのか…!」
「当たりめぇよ、」
「男なら分かる。この辛さは」
だよな、だよな…!
初めて弟以外の理解者を得られた
ユーイチには怒られてばっかだったし…
心が晴れ渡るような気持ちになる
感極まって共感してくれた奴らと握手を交わす
しっかりと握り返してくれた
「もう限界なんや…」
「おう、吐け吐け」
スキンシップの許可をもぎ取った俺、ナイスよな
よくやったと褒めてやりたい
けどなぁ…
やはり全然物足りないのだ
ちなみにまだ2日目なのにこの有様
ホンマに辛い
「ユーイチにはよ触れたい…」
「…だから昨日あんなに引っ付いてたんか」
「せや、触れ合わんと禁断症状が出る」
「なるほどなぁ」
「病気やん…」
そんぐらい俺は追い詰められているんや
誰か助けてくれ
「…逆に辛くならんの?」
「無いよりはマシ」
「真顔…」
「即答かい」
「お前がいいならいいんだけどよ…」
そう、無いよりはマシ
そして…これにも俺の思惑がある
たくさんイタズラして
焦らして
際どいことばっかして
どうにかしてユーイチの音を早く上げさせたい
可愛く求めてくる姿が見たいのもある
何より、こういう提案を二度とさせないためにも素直にさせたい
知ってるかいユーイチくん
君はもう俺が居ないとダメな身体になってるんやで
「福永はどうなんだ?」
「どうって?」
「そりゃ…アレよ」
俺みたいな状態になるかって?
……させるんやで
「あのお坊ちゃんやで?ないない」
「正真正銘の箱入りやしな」
「育ちからして違うだろ」
「蝶よ花よ…って感じやん?」
「有名よなー」
うんうん、合ってる合ってる
大事に大事に隔離されていた
……父親のようにならないために
納得の声があがる一方、こんな声もあった
「でもユタカに捕まった可哀想な子やん?」
「何でこうもタイプが違うんやろなぁ」
「同じ御曹司なのにな…」
「いたいけな子にお前……」
「変態やん」
「純粋な福永を返せ」
想像だけで色々言われても困る
…全くもってその通りやけど
「もしユタカみたいになったら大変だよな」
「あぁ…、人気あるからな」
「可愛い顔してんもんなぁ」
「警戒しとけよ」
「福永は危なっかしいから」
言われんくても分かってる
据え膳状態のユーイチなんて可愛いに決まってる
ソワソワしながらチラチラ見て
上目遣いで袖を握ってくるところまで想像できるわ
更にそこに色気も追加されるなんて…
「最高やん」
それを目指そう
勿論その間に敵の牽制もする
ユーイチの存在自体、童貞共には劇薬だし
間違いを起こす可能性もあるかもしれんしな
「なぁ、そもそも何で行為禁止になったんや?」
「気になるよなぁ」
「あー…」
何て説明する?
別に全てを話す必要はないけど……
「い、イタズラしすぎて…」
「やっぱお前が悪いやん」
「加減しろアホ」
「あとプレイ?みたいなので…」
めっちゃ糾弾された
お前ら…保護者みたいな気持ちでユーイチのこと見守ってたんやな
「待てや!嫌がられはしなかったんやで!」
「嘘つくな」
「禁止令出てるやろ」
「福永かわいそー」
「お前はホント…」
呆れられてるやん
何でなん?
……所詮は恋人のいない野郎共の嫉妬や
可愛い恋人のいる俺が羨ましいだけ
居らん奴らに理解なんて求めても無駄なだけや
スっと切り替えた
「なんかムカつく顔してんな」
「オレらのこと馬鹿にしてんだろ」
してへんで
哀れんでるだけや
「コイツのどこがいいんだ?」
「さぁ…」
可愛くおねだりされて誘われたら何がなんでも喜んで応じるわ
俺は拒まんからな
待ってるで
それに…
ユーイチが俺の想像を遥かに超えてくるんじゃないか、という期待もある
たまにありえない思考回路になって
突拍子もないことをするからな
超楽しみ
「で?結局我慢すんのか?」
「しかないやん」
「下手したら別れ話に発展しそうな感じだしな…」
出来るだけ怒らせたくないし
無理やり襲うなんてこともしたくない
説教はむしろして欲しい側だけど、嫌がられたり泣かれるのは嫌だ
…この前のはノーカウントな
いま俺に出来ることは大人しく従って
作戦を黙々と遂行する事だ
「我慢出来んのか ?」
「………分からん」
心では『我慢』と誓っていても
実際問題、身体は違うのだ
今のところ耐えてはいるが
辛くて辛くてそのうち泣くかもしれない
恋人と同室なのが拍車をかけている
…もはや修行やで
「キッツいなぁ」
「おう…」
本当に唯一の救いはスキンシップだ
それだけで乗り切るしかない
「…どうやって発散するんだ?」
これも問題の1つだ
「本とか貸すか?」
「動画は…?」
今まで恋人と愛し合って
欲も同時に発散していたというのに
まさかの禁止とは…
絶対にどうしようもなく溜まる、が
「浮気はせん」
「おぉ…旦那の鑑」
「ユーイチでしか無理」
「そうか……」
同じ男として心配してくれているのは嬉しいが、俺にはユーイチしかいないのだ
…誰にも言わんが俺には秘蔵の動画がある
ちょくちょく隠し撮りしている恋人との行為動画
けど……
「死ぬかもしれん…」
「1週間は長いよなぁ〜」
「距離取ったら?」
「無理」
鎮めるために距離を取るのも1つの手段だろう
しかし、俺はそんなことはしない
ユーイチを1人にはしておけないし
不安にさせる訳にもいかない
距離を取ったことで勘違いさせたくない
辛くても傍に居たいんだ
「良い解決方法はねぇのか…?」
「……1つだけある」
あるの!?と驚かれた
「禁止が解かれた後のことを思えば…まだ……」
解き放っていいわけだし…
無理矢理ポジティブな方に持っていったけど
ホンマにこれしか希望がないんや…
「そ、それだ!!」
「ご褒美だと思えばいいよな!」
「目標があれば頑張れるもんな!」
……そうだよな!
賛成の声が多くて嬉しくなる
俺は立ち上がって高らかに宣言した
「男の意地を見せたるわッ!」
「おう!頑張れよ!」
「応援するぞ!」
「気張れよ!」
周りからは大きな拍手が起きた
みんな、応援ありがとう…
「何してんだお前ら……」
声のした見ると、先生が体育館入口に立っていた
異様な光景を前に若干引いているようだ
「いい所に来た!」
「先生ってさー、結婚してるよね?」
「あぁ…まぁ、」
「自分が悪くて冷却期間置かれたらどうするー?」
チラッと俺を見てきた
何となく察せられた気がする
「謝って、ほとぼりが冷めるまで待つ…」
「えー?他にないの?」
「ご機嫌取りとか…?」
「火に油やん」
「魂胆見え見えっすわ」
「逆効果やろ」
結構言うよなお前ら
人のこと言えんけどさ…
「武…お前、福永に何を…」
「何のことです?」
とびきりの笑顔で答えてやった
先生は何かを言おうとして、口を閉じた
…正解ですよ
「で?先生、他には?」
「もうねぇよ!」
「えぇー」
「いいからサボってねぇで……」
その時、授業終了の鐘が鳴った
オマケ
「なぁ…福永さんの雰囲気…いつもと違くねぇか?」
「分かる、上手く言えねぇけど…」
「はい失礼ー」
わざと大きな声を出して、教室の前に群がっている同級生たちを掻き分けて祐一の元に行く
「坊ちゃーん」
「なに?……って、何で人がいっぱい居るの…?」
教室の外を見て目を丸くしている
全員、坊ちゃん目当てなんやけどね
「さぁ?誰か何かしたん?」
「してないと思うけど……」
不思議がっている、その顔に目が行く
…本当に分かりやすい
燻っているのが丸わかり
危うい雰囲気も漂っていて、もうダメだ
「兄貴のこと考えてた?」
「……考えてない」
ついでに嘘も下手やし…
「ホンマぁ?」
「ほんま…」
疑いの目を向けると、顔をそらされた
頑なやなぁ…
「撤回したら?」
「…しない」
「何で?」
「自分で言ったんだもん……責任は取らなきゃ…」
本当に耐えられますか?
大丈夫なんですか?
オレには無理そうに見えますけど?
ため息と文句をぐっと飲み込んで
代わりに頭を撫でた
後ろから多数の殺気を感じたけど気にしないことにした
「食堂行こうぜ」
「…うん、ユタカさんも迎えに行こ」
兄貴が先に手を出すのか
祐一が我慢できなくなるのが先か……
どっちに転んでも面白いからヨシ!
「ホント兄貴のこと好きだよなぁ」
からかうと、『うるさい』と小突かれた
ご本人様とは関係ありません
完全な自己満足です
どうなるんでしょうねぇ〜(すっとぼけ)
最近Xでの呟きが楽しいです
フォローしてくれる方、本当にありがとうございます
同志様とネット上で繋がっている感覚がとても新鮮で安心感もあり、初めてから毎日満たされています
同時にモチベーションも上がって、勝手ながら励ませてもらっています
よろしければ他の皆様とも繋がりたいです
鍵垢ですが、特に制限や条件はありません
どうかお気軽にフォローしてくださると嬉しいです
これからも執筆活動を続けるので応援のほどよろしくお願いします
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