X-5 補助金事務局を訴えるとどうなる?
今回の記事は特定の補助金の話ではなく、民間企業に事務局を委託した一般的な補助金を対象に、事務局を訴えたらどうなるかということを妄想したものです。フィクションの読み物として読んでくださいね。
ただの読み物です。
今後、理不尽な差し戻しをされない限り、実際にはやらないですからね。
背後にいる人の責任を追及したい
補助金の審査フローを決めている「背後の人」がいると仮定します。いつも電話をかけてくる担当者とは別に、審査全体のフローを決めている人が後ろにいると仮定します。
その人が、一つ一つの案件について「次はどういう内容で差し戻そう」とか「計画変更の部署に回して審査させよう」とか「審査者をあと3人くらい付けて荒さがして時間を延ばそう」とか、そういったフローを決める権限を持っているとします。
電話担当者は背後の人の氏名や役職名はおろか、存在すら明らかにしてはいけない決まりです。その人の指示は「事務局内の協議で決めた」というような曖昧な言い方をして存在を隠すように指示されていると仮定します。派遣と正社員、契約社員と正社員といった立場の違いから、窓口担当者は絶対に背後の人を守らなければならないことになっています。
背後の人はその守られている立場を利用して、好き勝手にやりたい放題に審査を追加することができます。つまり、背後の人がOKを出さない限り、永遠に通過できない仕組みが出来上がっていると仮定します。
このような電話窓口から完全に隠されている人がいて、この人が審査を引き延ばしている黒幕であった場合、この人に責任を取らせることができるでしょうか?今回はその可能性を検討してみます。
少額訴訟とは?
使えそうなしくみが少額訴訟です。訴訟というと大変そうなイメージですが、少額訴訟というのは60万円以下の金銭の支払いを求める場合に使える簡易な訴訟です。テーブルの上にお互いに証拠を出して、その場で審理して終わる1日だけの裁判です。
訴訟の手数料も安く、請求額が10万円なら手数料は1000円、20万円なら2000円、・・・、60万円でも6000円です。
思考実験・事務局を訴えたらどうなるか?
ここで、思考実験してみます。
あくまでも妄想レベルの話なので、実際にはやりませんが、
事務局を訴え訴えたらどうなるか、ちょっとだけ考えてみます。
なお、どの補助金と限定することなく、民間企業に委託した事務局が審査するという「事務局制を採用した補助金一般」に関することです。
どんな内容で損害賠償を請求するか?
例えば、無理やり減額させられた金額を損害賠償として請求するのもよいし、無駄な審査を追加されて遅延させられたと感じたら、本来は払わなくてもよかったつなぎ融資の利子を損害賠償額として請求してもいいのではないかと思います。事業者が規約に違反して補助金の返還を命じられる場合は年利約10%の利子が付くようなので、逆に事務局の不当な遅延工作によって損害を被った場合にも同じ年利10%をつけて損害賠償請求してもいいかもしれません。
裁判は国民の権利だ!
訴訟を起こすのは国民の権利です。
訴訟でどんな請求をしてもそれは自由です。それが裁判で認められるかどうかは別ですが、訴訟を起こすだけなら自由です。
無駄な審査を繰り返して補助金の交付を意図的に遅らせて、本来提出しなくてもよい書類を事業者に提出させるといった過度の負担を強いることは補助金適正化法24条に違反する行為だと思いますが、それを不法行為と認めるかどうかは裁判長が判断することです。
意図的に遅延させられていると感じたからという正当な理由があって訴訟を起こすのです。濫訴じゃないですよ。
少額訴訟を起こした場合に起きるであろうこと
訴訟を起こしたとします。訴える先は事務局を委託された民間企業の某社です。実際の審査の過程に関しては国や国の機関は関与していません。
某社は何もしなければ敗訴が確定してしまいますので、裁判に耐えうる答弁書を期日までに提出しなければならなくなります。
某社は巨大組織で法務部や顧問弁護士を抱えているので、まず、本社法務部に訴状が届いて「こりゃ何だ?」と驚くでしょう。
法務部の人には細かい事情はさっぱりわからないので、審査を担当していた担当者や背後の人を呼び出してヒアリングして答弁書を作ることになるでしょう。このとき「背後の人」は本社に召喚されて根掘り葉掘り厳しく聴取されるでしょう。
会社としては、外見的には彼らを守なければなりません。どんなに堕落した審査をしている事務局であっても、会社の法務部としては世間体は大事なので、裁判に耐えうるきちんとした資料を作って社員を全力で守ります。
ただし、法務部には詳しい事情や経緯はわからないので、彼らに規約類や実際に行った対応を書かせてたたき台にし、本社法務部がチェックして・・という流れになるんじゃないでしょうか。
あれ??これって、いつもと立場が逆ではないですか??
コンプライアンス通報との違い
大きな会社だとコンプライアンス通報という窓口がありますが、ここに通報しても、社内でナアナアで揉み消されて終わりになるという話があります。
でも、裁判だと、少額訴訟であってもきちんとした文書を作って提出しなければならなくなります。
背後の人の責任を追及することができるゾ
「背後の人」は、いつもは電話のバリアで事業者から守られていますが、法務部からの追及から逃れることはできないでしょう。一つ一つの判断の正当性についてチェックせざるを得ません。
法務部は「一つ一つの差し戻し行為は国が定めた指示書に従った正しい作業で、会社に非はない」という文書を作成するために、膨大な努力をするでしょう。大きな会社ですから一点の曇りもない文書が出てくるでしょう。
もし、事業者イジメのための理不尽な差し戻しをしていたら・・、それでも法務部は全力で守るでしょう。社員を守るために全力で隠すでしょう。大企業ですから、一度は社員を守るという姿勢を示すはずです。
ただし「背後の人」は社内から追及されます。審査が正しい判断あったことにするために社内では大きな歪を抱えます。裁判で通じる理屈が通った答弁書(理由書)を作成するために、どこかに歪が生じます。
原告と被告のコストの差
忘れてはならないのは、原告と被告のコストの差です。
もし訴訟を起こされたら事務局を運営する企業は弁護士を立てて対抗してくることになります。間違いなく弁護士を立てて裁判に臨んできます。大きな会社ですから顧問弁護士は絶対にいますし、弁護士は活躍の時を待ち望んでいるはずです。事業者側は本人訴訟で臨むので負ける可能性が高いでしょう。
ところが、原告である事業者側の手数料は1000円ですが、被告である某社のコストが1000円ということはまずありません。本社法務部は全力でサポートするでしょうから人件費が100万円はするでしょう。こんな屑みたいな案件でも顧問弁護士には何十万円も支払わなければなりません。
事業者イジメでやっていたとしたら外部にはそれを隠蔽しますが、担当者や背後の人には何度も厳しい事情聴取が行われるでしょう。
こうなると、「背後の人」が負うことになる仕事の量とストレスも半端じゃないでしょうね。
気軽な差し戻しをすると気軽な訴訟が返ってくるって面白くないですか?
何度でも訴えを起こせる
民事裁判は同じ内容で2回目を起こしても負けますが、訴える内容が変われば話は別です。
差し戻し内容が変われば別の訴訟です。「事務局の○○という判断は規約△△に照らして不当である。補助金適正化法24条に違反する不当な遅延行為である。」としましょうか。事務局のあらゆる行為が裁判で包括的に認められない限り、何度でも裁判を起こせることになります。
少額訴訟の手数料は安いので、負けても構わなければこういう少額訴訟を何度も提議することができます。
背後の人にはどういう処分が下る?
裁判では事務局が勝利して運営会社も全く無傷だったとしても、差し戻しを判断した中の人には「トラブルを起こして会社に迷惑をかけた人」という評判が付きまといます。ヒーローにはなれないでしょう。
審査を引き延ばして人件費を増やことを会社の方針でやっていたとしても、事業者とトラブルになって裁判を起こされたとなれば担当者はノーダメージでいられるはずはありません。
大企業でのケジメは人事ですから、イジメたつもりが逆に自分のキャリアが危うくなってしまいます。
まぁ、「お前はやりすぎた」とか言って切られるんじゃないでしょうか。最悪の場合、解雇された上、雇用していた会社から損害賠償されるかもしれませんよ。関わった派遣社員と契約社員も雇い止めにされるでしょう。出向組なら元の会社に戻れなくなります。代わりはいくらでもいるのですから。
大会社であればあるほど、トラブルを起こす面倒な人はいらないのです。社員と会社の名誉を守る姿勢は見せますが、社内人事は冷たいものです。人材派遣会社が母体ならトラブルを起こした面倒な人は厄介者です。
社内で何を言ってももみ消されるでしょう。いつもの有耶無耶ビームが、今度は原因となった従業員に向けて発せられるわけです。
結論。差し戻しが理不尽なら少額訴訟へ!
つまり、事務局から差し戻しが来たとき、その内容が理不尽であると感じたら何度も訴訟を起こせばよいのではないでしょうか。そのたびに事務局は裁判で通じるレベルの差し戻し理由を裁判の期限までに考えなければならなくなります。そのたびに本社法務部が大騒ぎになり、弁護士費用も払わなくてはならなくなります。何度やっても事業者側の負担はわずか1000円です。
ひょっとしたら、事務局の窓口担当者や「背後の人」も証人として出席するかもしれません。いままで隠されていた役職名、氏名、ご尊顔を拝見できるチャンスかもしれません。
相手に弁護士が付いていれば負けるかもしれませんが、背後で指示を出していた人が無傷でいられるかどうかもわからないですね。
二度目、三度目の訴訟を起こしたとき、事務局を運営する企業が従業員を大事にするかどうかは誰にもわかりません。もしかしたら、「担当者が作業マニュアルを無視して個人的にやったことなので会社は責任を負わない」とか言って切り捨てるかもしれません。個人情報を審査員が利用してスモールビジネスをしていたなんて言う例もあるでしょう。
なお、「事務局を訴えたら交付取り消し」なんていう規約は交付規定にはありません。
まとめ
何の補助金とは限定せずに、民間企業に委託した補助金事務局を訴えたらどうなるかということを妄想してみました。やらないですけどね。
原告は1000円で少額訴訟を起こすことができるのに対し、事務局を運営する会社は弁護士を付けて「差し戻しの正当な理由」を提出しなければならなくなります。
コンプライアンス窓口への通報とは異なり、裁判に耐えうる資料を作らなければならないので、うやむやな対応でごまかすことができなくなります。
その場合、窓口担当者の後ろで差し戻しの決定などをしていた「背後の人」の責任を狙い撃ちにすることができます。電話からは守られていて氏名も役職もわかりませんが、社内からは100%わかります。会社は悪くない、審査は間違っていないという資料を作るために、これまでの行為判断が厳しく追及されます。
上の内容はあくまでも思考実験なので実際にはやらないですが、いつでも訴訟を起こせるように訴状の書き方を勉強したり、裁判の仕組みの勉強はしておきたいと思います。
こういう訴訟を起こさなくてもよいように、すべての事業者の審査が速やかに通りますように。南無南無(*´人`*)
事業者イジメ、ダメ、ゼッタイ!
事業者イジメ、ダメ、ゼッタイ!
事業者イジメ、ダメ、ゼッタイ!
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