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焼き茶葉
初期化が完了しました【総集編】 - 焼き茶葉の小説 - pixiv
初期化が完了しました【総集編】 - 焼き茶葉の小説 - pixiv
97,140文字
初期化が完了しました【総集編】
これは、わたしが初期化に至るまでの物語。
 
後日談:番外編(Coming soon...)
 
※穂波ちゃんとニーゴのお話。
※2022年7月連載スタート、2023年8月完結のパロディシリーズ「初期化が完了しました」総集編となります。第一章から第三章(#1~22)までを個別に投稿していましたが、読みにくさを考慮してこの度すべて総集編に纏め直しました。それぞれ非公開とさせていただきましたがコメント等本当にありがとうございました。
※シリーズを通して重たい世界観や設定を用いていますので、ご了承の上お読みになる際は感情に充分なゆとりをもってご覧ください。また、お話の中で出てくるロジックは漏れなく空想です。理論的に意味不明でもふわっと受け流していただけると助かります。
※連載開始前の2022年7月以前に設定と結末をすべて決めているため公式の展開と大きく異なる点が多々見受けられます。どうぞパロディとしてお楽しみください。
※当方、登場人物全員にめちゃくちゃ愛情を注ぎながらお話を書いているつもりではありますが、表現の範囲で不快にさせてしまう可能性があります。申し訳ありません。
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2023年8月28日 19:00

※この物語は、20XX年イメージの趣味妄想爆発パロディ連載(奏ほな・ニゴほな)です。設定や展開、事象その他すべて都合の良い表現を多く用いておりますので、ご覧になる際は穏やかな気持ちで読んでいただけると幸いです。パロディ故に既出の公式展開とは異なる表現もあります。予めご了承ください。(先にキャプションの注意事項をご覧ください)












#1





単純作業のオートメーション化、労力の機械置換、シュミレーションと学習による人工知能。
昨今の“人工生成物”は人間の動作を模倣するだけに留まらず、個々人が千差万別に持ち得る五感やセンスの真似事までをも獲得しようとしている。
何とも便利な世の中になったものだな、と。この世に生きる人間のひとりとして、わたし、宵崎奏はただ純粋に現代科学の恩恵を受け入れていた。
「はい、奏。これ頼まれてたもの」
「ありがとう。そのへんに置いといてもらえると助かる」
友人でもあり仕事仲間でもある東雲絵名は、必要最低限の返事を済ませるや否や直ぐ様ラボへ入ろうとするわたしに呆れながらも小さく手を振り見送った。
「ふふっ。ご主人様あんな感じだから、とりあえず埃かぶる前に使ってもらえるといいね」
『……』
自宅の一室、仕事部屋かつ作業部屋。
一応はラボと呼んでいるけれど、特別に用意された研究施設と言う訳ではない。
一日の大半をわたしはこの部屋で過ごし、ひたすら机にかじりついて“生命体と自動制御装置”に係る開発を進めている。
平たく言えば、人工的に作られたサイボーグ端末を、生きている人間の大脳から伝達させた神経物質による指示・動作・制御を可能にするための研究を行っているのだ。この研究結果を絵名が所属している企業へ提供することで、各技術班が商品化に向けて活用してくれているらしい。
生計自体は副業として人工臓器の修理やメンテナンスを請け負うことで細々と成り立たせているため、最近ではちょっとした町医者のように扱われることも少なくない。
例えば風邪を引いて喉の調子が悪くなったとき、人はその原因を知り、治療を受けるためにもまずは病院へ赴くだろう。または愛用しているバイクをいつまでも問題なく走らせたいと思う人は、定期的に点検を依頼しているのではないだろうか。
わたしの副業とやらはまさにそのどちらの特徴も兼ね備えており、様々な理由で人工臓器を使用している人間にとって、図らずも医者兼整備士の役割を果たすこととなっていた。
副業はさておき、本業の開発はほとんど趣味だと言っても相違ない。誰のために研究しているのかと問われれば迷う余地なく自分のためだと答えるだろう。
この研究がいずれ誰かの救いになるのなら、人生を懸け、命を賭してでも、必ず最期の最後までやりきってみせる。
「……もうこんな時間か」
ふと目についた時計の針は、既に夜更けの時間帯を指し示していた。
なるほど、絵名に声を掛けられてから半日以上が経過していることになる。いつものことではあるけれど、我ながらなかなかに健やかとは無縁の生活を送っているものだ。
「あれ……なんで絵名が来てたんだっけ……」
ぐるぐると鳴き喚く腹の虫を押さえつつ、渇いた喉を潤すべく重たい腰を上げた途端。
「あっ」
床に積み上げられていた研究資料が音を立てて雪崩を起こし、慌てて手を伸ばしたが故に今度は足元でサンプル機器がドミノ倒しを開始した。
「……あー……」
どったん、ばったん、がっちゃん。耳と目を覆いたくなるような騒ぎが、まるで引火した花火の如くあちらこちらを巻き込みながら盛り上がりを見せている。
いつかこうなると危機感を抱いていたものの、いざ目の前で起こってしまうと、動揺よりも悲壮を感じるのだと知った。
「……あ、そうだ、そう言えばっ……」
見事にすべてがひっくり返ったラボをつま先立ちで急ぎ飛び出し、淡い灯りの中、エントランスの隅で遠慮気味に佇む“それ”へと手を伸ばす。
こういう事態を回避するために絵名にも協力してもらって購入したと言うのに、今の今まで忘れてしまっていたのだから本当にどうしようもない。
「えっと、起動起動……これか」
人型を模した、いやもはや完全に人間と同じフォルムで形成されているその存在の、腰椎あたりに付属している小さなボタンを数秒間押し続ける。
『…………』
閉じられていた瞼がゆっくりと上がり、項垂れていた頭部も静かに持ち上げられ、わずかに揺れる水色の瞳がわたしへ向けて焦点を合わせた。
「おはよう」
『……おはようございます。ご主人様』
「問題なく起動できてるかな。どこか調子悪いところはない?」
まったく、起動したばかりの新品アンドロイドにこんなことを聞くなんて、職業病だと笑われても何も言い返せはしないだろう。
『はい。異常はありません。お気遣いありがとうございます。ご主人様』
おっと。ご主人様と呼ばれるのは少し抵抗がある、かもしれない。
『家事専門モデルLN1027です。ご主人様、名前を指定してください』
「ああ、名前は何でもいいよ。初期設定では何て登録されているの?」
『…………』
「ん? どうかした?」
『……穂波、です』
「どんな字? 平仮名か片仮名?」
『漢字で、稲穂の穂に海の波と書きます』
「わかった。じゃあ穂波、これからよろしく」
『よろしくお願いいたします。ご主人様』
「そのご主人様って呼び方変えられないのかな……」
絵名の勤め先は、最先端技術を駆使して人型のアンドロイドを生産している大手企業のため、片付けや掃除を始め、炊事洗濯その他すべての家事を任せられる“メイドさん”の手配を彼女にお願いしていた。
家事をしてくれるのならどんなものでも構わないと言ったのだけれど、実際にやって来た穂波は何とも可愛らしい容姿に仕立てられている。服飾にすこぶる疎いわたしでも、この格好が人間の趣向を詰め込んだ所謂メイド服なのだと直ぐに理解した。
起動する際、機械相手とは言え長いスカートの中に手を差し込み、腰の辺りをまさぐるのは倫理的にアウトな気がしなくもなかったのだけれど。
人工臓器のメンテナンスが日常茶飯事のわたしにそんな倫理や道徳が響く筈もなく、もちろん躊躇う理由なんてどこを探しても見つかりはしなかった。
「まずは片付けを手伝ってほしい。さっきだいぶ荒らしちゃったから大変だと思うけど、ついでにどこに何があるか教えるよ」
『……ご主人様』
「なに?」
『差し出がましいとは思うのですが、申し上げてもよろしいでしょうか』
「ん? うん。いいよ」
『ありがとうございます。では、お片付けの前にお食事はいかがですか?』
「えっ」
『その、お腹がすいていらっしゃるようなので』
「……あ……まあ、うん。お腹は鳴ってるけど」
『何か食べたいものはありますか? 何でもお申し付けください』
「えっと……じゃあ特にリクエストはないから冷蔵庫の中にあるもので適当に作ってもらえるかな」
『承知しました』
「……最近のアンドロイドは凄いんだね。気遣いなんて人間の脳でも難しいのに」
『気遣い……ふふ。ありがとうございます。でもわたしにできるのはシュミレーション学習による理論値の演算だけですので、ご主人様を“気遣う”ことは不可能です。わたしの発言がご主人様を不快にさせてしまったときは、どうかその旨お聞かせください』
「……それが学習になるってこと?」
『はい、その通りです』
「わかった」
『ありがとうございます。ご主人様』
「うう……その呼び方何とかならないかな……」
こうして始まった優しいアンドロイドなメイドさんとの共同生活。その日穂波が作ってくれたあたたかいシチューの味を、わたしはおそらく一生忘れることはないだろう。





初期化が完了しました#1

初期化が完了しました【総集編】
これは、わたしが初期化に至るまでの物語。
 
後日談:番外編(Coming soon...)
 
※穂波ちゃんとニーゴのお話。
※2022年7月連載スタート、2023年8月完結のパロディシリーズ「初期化が完了しました」総集編となります。第一章から第三章(#1~22)までを個別に投稿していましたが、読みにくさを考慮してこの度すべて総集編に纏め直しました。それぞれ非公開とさせていただきましたがコメント等本当にありがとうございました。
※シリーズを通して重たい世界観や設定を用いていますので、ご了承の上お読みになる際は感情に充分なゆとりをもってご覧ください。また、お話の中で出てくるロジックは漏れなく空想です。理論的に意味不明でもふわっと受け流していただけると助かります。
※連載開始前の2022年7月以前に設定と結末をすべて決めているため公式の展開と大きく異なる点が多々見受けられます。どうぞパロディとしてお楽しみください。
※当方、登場人物全員にめちゃくちゃ愛情を注ぎながらお話を書いているつもりではありますが、表現の範囲で不快にさせてしまう可能性があります。申し訳ありません。
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焼き茶葉
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しお
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2023年10月3日
青串魚
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