立憲民主党代表選2024

立憲代表選、「第3の候補」模索する動きが活発化 自民総裁選に焦り

松井望美

 立憲民主党の代表選(9月7日告示、23日投開票)をめぐり、「第3の候補」の擁立を模索する動きが党内で広がっている。野田佳彦元首相(67)のほか、小川淳也前政調会長(53)や馬淵澄夫氏(63)、江田憲司氏(68)らの名前も挙がる。背景には、自民党総裁選に注目が集まることへの焦りがある。

 「今度(の衆院選)は勝ちに行かなければならない。そのために何ができるのか、よく熟慮させていただきたい」。19日、千葉市の立憲県連本部で、野田氏は集まった国会議員や地方議員ら約40人から立候補の要請書を渡され、そう答えた。立候補について明言しなかったものの、次の衆院選を「政権交代にリアリティーのあるめったにない選挙」と位置づけるなど、政権奪還への熱意がにじんだ。

 また、この日午前には、中堅・若手でつくる党内グループ「直諫(ちょっかん)の会」を率いる重徳和彦衆院議員ら4人も国会内で野田氏と会談。代表選への立候補を要請した。

 これまで野田氏は、1975年の小林旭さんの流行歌を引き合いに、「『昔の名前で出ています』では良くない。私は『昔の名前』すぎる」と自身の立候補に慎重な姿勢を見せている。それでも野田氏への待望論が高まる背景には、岸田文雄首相が14日に不出馬を表明して以降、自民のベテランから若手まで出馬意欲の表明が相次ぎ、総裁選が「百家争鳴」の様相を呈していることが影響している。

 代表選には、泉健太代表(50)と枝野幸男前代表(60)の2人が立候補の意思を固めているが、党内には「乱立する自民総裁選に対し、こちらは現代表と前代表の一騎打ちでいいのか」(中堅議員)との危機感が広がる。こうした危機感は野田氏本人も共有しているとされ、「ここへ来て、立候補に前向きになってきている」(野田氏周辺)との見方も出ている。

野田氏への期待と懸念

 野田氏には「日本維新の会や国民民主党とも連携できる」(周辺)との期待感もある。維新の馬場伸幸代表は5月、ラジオ番組で野田氏について「波長が合う」と言及。「野田氏が再びトップに立ち、失敗の反省のもとに新しい政治をやれば自民党の脅威になるのではないか」と話している。

 一方、懸念もぬぐえない。野田氏は首相を務めていた2012年、マニフェスト(政権公約)になかった消費増税を推し進めるなどして、党分裂を招いた。その後、衆院解散に踏み切って総選挙で大敗。民主党は政権交代からわずか3年で下野に追い込まれた。このため、立憲内には「野田氏では旧民主党のイメージそのもの」(ベテラン議員)との声も根強い。

 野田氏以外の候補者擁立の動きもある。ともにベテランの江田氏と馬淵氏は今月9日、国会内で会談し、「中道保守路線でまとまろう」との認識で一致したという。両氏はいずれも単独で立候補に必要な推薦人20人を確保できていないため、「江田・馬淵連合」を組むことで、どちらかが立候補できないか可能性を探る。

 中堅・若手世代の代表格として、前回代表選に立候補して敗れた小川氏の名前も取りざたされる。19日には、重鎮の小沢一郎衆院議員(82)と国会内で面会。代表選への対応について意見交換したとみられる。

 新総裁・新首相が選出されれば、自民はすみやかに衆院解散・総選挙に打って出るとの見方で立憲内は一致している。このため立憲代表選は、「選挙の顔」を選ぶ場と位置づけられるが、「自民総裁選で挙がる名前に比べ、いずれも新鮮味で負ける」(衆院中堅)との声が漏れる。(松井望美)

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