from 社会部

財源生み続ける半世紀前の仕掛け

 不況の影響などで財力に余裕がなくなったせいか、近年は2月に発表される各自治体の新年度予算案は地味な傾向が強い。ただ、今年初めて担当した北摂エリア(大阪府北部)は様子が違った。

 大阪府茨木市では、建設中の立命館大新キャンパスが平成27(2015)年春に開学するのに合わせ、大学周辺整備に33億円を計上した。昨年まで担当した河内エリア(府東部)では、これほどの額の新規事業はほとんどなかった。

 茨木市の経常収支比率は85%と府内の全市で最も低い。この比率は、人件費など毎年固定的にかかる費用の一般財源に占める割合を示す指標で、低いほど臨時的な出費に対応できる。

 市の財政担当者によると、財政運営の原点は昭和41(1966)年までの10年間、財政破綻の一歩手前の状況を示す「財政再建団体」に陥った苦い経験にある。市税増へ企業誘致を進める一方、職員数抑制を進めてきたという。

 一方、同府箕面(みのお)市は平成26年度以降、北大阪急行の延伸に約214億円を投じる。同市の経常収支比率は最悪だった19年度の107%から24年度は95%に改善。約214億円のうち約70億円は基金で、健全化の果実だが、残り約144億円は毎年約6億円が入る「競艇事業会計繰入金」を充てるという。

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