作家の李琴峰さんは、台湾出身で、レズビアンであることを公表しています。複合的なマイノリティー性を持っていることもあり、SNS上で誹謗(ひぼう)中傷や差別的な言説を浴びてきました。作家として、こうした問題にどう向き合っているのか。李さんにインタビューしました。
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――いつからSNS上での誹謗中傷を受けるようになったのですか。
2021年に芥川賞を受賞してからです。
受賞会見の質問の一つに、「忘れてしまいたい日本語は」というものがありました。答えに困った末、受賞作の「彼岸花が咲く島」にも登場する「美しいニッポン」という言葉を挙げた後、「反日」「ブス」「バカ」など多くの誹謗中傷を受けるようになりました。
その内容はエスカレートし、物理的な暴力を示唆するものもありました。一時期は、不眠やめまいなど心身の不調にさいなまれ、自死を考えるほどでした。
いまでも、講演などで人前に出る際は、聴衆の中に誹謗中傷をした人が潜んでいるのではないかと不安に襲われます。
幼いころから、自分は世界から祝福される人間には決してなれないと感じてきたという李さん。文学は、社会や政治の問題とどう向き合うべきだと考えているのか。ロングインタビューです。
■フィクションとノンフィクシ…
- 二階堂友紀
- 東京社会部
- 専門・関心分野
- 人権 LGBTQ 政治と社会
- 【視点】
「はい」と答えても、「いいえ」と答えても、そして沈黙もまた、誹謗中傷や差別の言葉を世に放った側の思惑通りになるのだと。そんな李琴峰さんの問いかけに、考え込んでしまいます。SNSがえぐるように人の生活へと食い込んで、「私」と「公」の境界線が消
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