名護市辺野古の新基地建設を巡り、抗議活動への圧力が強まっている。きっかけは6月28日、同市の安和桟橋の出口付近で起きた死傷事故だ。埋め立て用土砂を運ぶダンプが左折する際、抗議活動の女性と警備員をひいた。警備員は死亡。女性も大量の内出血で命の危険があった。
県議会では、6月の選挙で「辺野古容認」の自民党が議席を増やした。自民は7月の代表・一般質問で10人が事故を取り上げた。
「過激な抗議活動による危険性が指摘されても、安全策を講じることなく、注意喚起しない知事の無責任さが浮き彫りとなった」
自民県連幹部は「抗議活動そのものを否定はしない」とした上で「県は抗議する市民も含めて安全を確保するために、行き過ぎた抗議を制限ではなく制御する対策を取るべきだ」と主張する。
インターネット上には抗議活動を中傷する投稿が相次ぐ。7月4日の米兵による性的暴行事件の抗議集会では街宣車が非難を浴びせた。
「県民が今、分断されようとしている。安和の事故によるものなのか。それとも米兵による暴行の反発を抑えようとする意図からくるのか」。集会を主催した具志堅隆松さんは戸惑いを口にした。
国は搬出作業を止めているが、市民側には危機感が漂う。「『抗議活動が招いた事故』というキャンペーンが続いている。辺野古抗議活動の正念場だ」
8月15日。沖縄防衛局は抗議活動を「妨害行為」と位置づけ、県にガードレールの設置などを求めた。市民側が「事実上の抗議活動の排除要求」とみる内容だ。
事故はなぜ起きたのか。その出発点は国の「違法」行為にある。 (南彰)