日本感染症学会

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血液培養ボトルの供給量減少に伴う対応について

最終更新日:2024年8月1日

会員各位

 すでに本学会ホームページでも「BDバクテック血液培養ボトル」の供給量が半減することについて周知を行っておりますが、該当する商品を使用している医療機関ではさまざな対応が取られているものと思います。
 今回、日本臨床微生物学会、日本感染症学会、日本臨床検査医学会の3学会で相談の上、添付のような対応の案を検討させていただきました。現状としては、9月末頃には供給が従来の状態に回復する見通しですので、添付の案も参考にしていただきながら、なるべく感染症診療のレベルを落とさない対応を各医療機関においてご検討いただければ幸いです。

2024年8月1日

一般社団法人日本感染症学会
理事長 長谷川直樹

令和6年8月1日

血液培養ボトルの供給量減少に伴う対応について

一般社団法人 日本臨床微生物学会
一般社団法人 日本感染症学会
一般社団法人 日本臨床検査医学会

 日本ベクトン・ディッキンソン株式会社より出荷されている「BDバクテック血液培養ボトル」の供給量が約50%減少します。現時点では、供給量減少期間は3か月程度と見込まれますが、この間、各医療機関には使用実績に基づいた本数の半分しか供給されません。このため、血液培養検査で同社のボトルを使用する医療機関では、当面の間、従来の検査数を維持できない可能性があります。

 このような中でも、敗血症など重症感染症の診療に影響を及ぼさないようにするためには、従来どおりの2セット採取を基本として実施する必要があります。一方で使用できるボトル数が限られますので、何らかの運用上の工夫が必要です。

 以下に感染症診療の質をできるだけ落とさず、血液培養ボトルの使用本数を抑制することが可能と考えられる場面を提示します。

【血液培養ボトルの使用本数を抑制するための運用案】

  • 状態が安定している症例において、原因微生物の推定が比較的容易、または血液以外の検体から原因微生物の推定が可能な場合は、血液培養を行わない。
    • 例1:繰り返す術後胆管炎で、その都度高熱が出るものの原因微生物と薬剤感受性検査結果が毎回同じ症例
    • 例2:明らかな肺炎や尿路感染で、気道検体や尿検体が採取できる場合
  • 黄色ブドウ球菌やカンジダ属による菌血症の陰性化確認では、採取間隔を72時間以上空ける。1セットのみの採取として、好気用または嫌気用ボトルのいずれか1本へ接種する、または検査を行わない、などの選択肢を検討する。
  • その他の工夫として、好気および嫌気ボトル1本ずつ使用する場合、1回目の採血は好気用ボトルのみに10mL(最大量)、2回目の採血は嫌気用ボトルのみに10mL(最大量)接種する、すなわち穿刺回数を2回にすることで、通常の1セット採取と比べて陽性率が上がったという検証データ(論文未発表)もありますので、参考にしてください。

また、在庫を管理する微生物検査室につきましても、以下の対応を御検討ください。

【微生物検査室での対応案】

  • 在庫状況の診療科側への定期的な情報共有
    自施設がどのような状況であるか、病院全体で共有することが大切です。
    成人患者では検体数(または2セット採取率)を報告
    小児患者では小児用ボトルの提出検体数(またはボトル数)を報告
  • 払い出し数量の調整
    各部署・部門・診療科・病棟単位で使用実績に応じた払い出しを行うことで、血液培養ボトルを有効に使用することができると想定されます。

 各医療機関によって、状況はさまざまかと思われます。
 上記はあくまで一案ですので、施設の実情にあわせて御検討ください。

 今回の提案は血液培養ボトルの供給が減少している期間の対応を述べたものであり、供給が回復した場合は、本来あるべき検査体制に戻していただくことをお願いいたします。

日本ベクトン・ディッキンソン株式会社
インテグレイテッド ダイアグノスティック ソリューションズ事業部

 

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