洋画の吹き替え版で起こりがちな「セリフ」と「口の動き」の“違和感”。この違和感をAIが解決し、ハリウッド俳優が“流ちょうな日本語”を話す時代が来るかもしれません。一見いい話のように見えますが、AIの目覚ましい進化は俳優たちの脅威となり、ストライキが起きるまでに発展しています。

ハリウッド俳優が“流暢な日本語”? AIが口の動きを生成

ハリウッドで俳優と脚本家組合のストライキが続いています。彼らが63年ぶりに同時ストライキをしてまで求めているのが動画配信報酬の見直し、そして“AIの規制”です。

AIは俳優たちに脅威を与えるほどの進化を遂げていて、活躍の場は映画の吹き替え版にまで広がっています。

2022年にアメリカで公開された映画です。注目はセリフを言う時の口の動き。まずはオリジナルの英語バージョン。当たり前ですが、セリフと口の動きは合っています。

続いて吹き替え版。日本語のセリフと英語の口の動きは合わないハズですが、AIで“自然な動き”に近づけます。

AIが俳優の口の動きや言語を学び、自然な口の動きを新たに作り出しているといいます。

「Flawless」 スコット・マンCEO
「母国語で違和感なく映画が見られたら、より感情移入ができるはずです」

映画を見る側としては悪くない話に思えますが、俳優側には問題です。俳優組合はAIを使ったシーンに追加の報酬を求めていますが大手制作会社側はこれを拒否。交渉が決裂しているのです。

俳優
「制作会社側は私たちの姿、形を撮影して好き勝手に使おうとしているんだ」

しかし、AIの急速な進化は俳優や脚本家だけでなく制作会社側も恐れを抱いているといいます。

エンタメ業界に詳しい シモン・プルマン弁護士
「この技術がどう進化するか誰も予想がつきません。制作会社側が要求を全て受け入れた場合、それを機に、業界に多くの競合が参入してくるでしょう」

AIを巡って、ハリウッドがいま、岐路に立たされています。