ウクライナ、ノルドストリーム爆破への関与否定「全くのナンセンス」
【AFP=時事】ロシア産天然ガスをドイツに送る海底パイプライン「ノルドストリーム(Nord Stream)」が2022年9月に爆破された事件にウクライナが関与したとされる疑惑について、ウクライナ政府は15日、「全くのナンセンスだ」と否定した。 【写真】ウクライナのゼレンスキー大統領と軍総司令官時代のザルジニー氏 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は14日、当時ウクライナ軍総司令官だったワレリー・ザルジニー(Valery Zaluzhny)氏がノルドストリーム爆破計画を指揮していたと報じた。 だが、ウクライナのミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)大統領府顧問はAFPに対し、「ウクライナがノルドストリーム爆破に関与したというのは全くのナンセンスだ。そのような行動は、ウクライナに何の実利もない」と主張。 さらにノルドストリーム爆破について、「戦争を終わらせず、ロシアの侵略を抑止せず、前線の戦況に影響を与えなかったことは明らかだ」とした上で、むしろ「ロシアのプロパガンダ能力を大いに強化した」と主張。ロシア側にこそ爆破を実行する「直接的な動機」があったと示唆した。 WSJは、ノルドストリーム爆破計画が持ち上がったのは、ロシアによるウクライナ侵攻開始から3か月後の2022年5月に行われたウクライナ軍幹部と財界人との会合だったと報じている。作戦に直接関与したのは6人で、約30万ドル(約4500万円)の計画資金は民間から出資されたという。 実行班はレンタルしたヨットで現地へ向かい、潜水して爆発物を仕掛けた。 WSJがウクライナ当局者の話として報じたところによると、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領も当初は作戦を承認していたが、計画を察知した米中央情報局(CIA)に中止を要請されたのを受け、中止を命じた。 中止命令にもかかわらず、ザルジニー氏は作戦を強行した。 ザルジニー氏はゼレンスキー氏に叱責されたが、破壊工作班を派遣した後では中止できないと答えた。 やり取りの詳細を知る高官によると、ザルジニー氏は「魚雷と同じで、敵に向けていったん発射したら、引き戻すことはできない。進み続けて『ドカン』となるだけだ」と述べたとされる。 ザルジニー氏は今年、軍総司令官を解任された。【翻訳編集】 AFPBB News