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この1年半で実施した「16の人事施策」を振り返る

代表の @yuzutas0 です。風音屋(@Kazaneya_PR)では「1人目の人事担当」を募集しようとしています。

これまでは代表である私が中心となって人事系の施策を進めてきました。「事業は人なり」ということで、人事に関する書籍を30冊ほど読み漁り、1つ1つ試行錯誤を重ねています。この記事では、私自身の思考の整理を兼ねて、これまでの取り組みをシェアします。

風音屋という会社が「人事の重要性と本気で向き合っている会社なんだな」「人事をきちんとやろうとしているんだな」と伝わってもらえると嬉しいです。

⚠️注意事項:
・人事周りのルールは今後変わっていく可能性があります。最新状況についてはカジュアル面談でお問い合わせください。
・「これがベストだ!」と押し付けたり、「これが上手くいった!」とアピールする意図はありません。率直に振り返りと課題意識を書きました。むしろ反省点と学びだらけです。
・「人事担当に同じことを1からやってほしい」と考えているわけではありません。採用業務などの一般的な仕事を人事担当にお願いできるように、先に経営者として土台の部分を整えてきた、という話になります。

①人事活動の位置付けを明確化

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【これまで実施してきたこと】

  • 風音屋のビジネスモデルと経営戦略において、人事活動が重要な位置付けになることを整理しました。経営理念の「プロフェッショナル・マニフェスト」には「風音屋は、プロフェッショナルが集まり、成長し、活躍する場を目指しています。」というフレーズを添えています。これがまさに人事活動の重要性を示しています。

  • 人事活動がビジネスのキードライバーの1つだと明らかになったため、会社の規模が小さいうちから積極的に投資し、スケーラブルな仕組みを整備すると決めました。色々と試したり調べた結果、人事系の施策に着手してから成果を得るまでには、半年〜数年単位のリードタイムが必要だとわかった(人や組織はすぐには変化できない)ので、素人目線で「ちょっと早すぎる」と感じる時期に着手したのは正解だったのかなと思います。

  • 「人事の仕事」には様々な活動が含まれますが、風音屋においては「プロフェッショナルが集まり、成長し、活躍する場」を整備することを重視しています。経営理念を達成することにプライオリティを置いています。ビジネス利益向上やブランド強化に直結するため、この優先順位が明確になったことで安心して人事活動に投資できるようになりました。

【課題に感じていること】

  • 私が実務に明け暮れてしまっているため、この粒度で活動をモニタリングしたり改善サイクルを回せていません。1つ1つの実務を推進してくれる人事担当がいてくれると、私は一歩引いて大局を見られるようになるので助かるだろうなと期待しています。

②ビジョン・ミッション・マニフェスト(VMM)の策定と浸透

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【これまで実施してきたこと】

  • VMMを浸透させるために「メンバーがVMMを意識する機会」を設けています。

    • 採用基準にVMMの観点を組み込みました。1次面接では「3つのスキル」にスコアを付け、2次面接では「5つのスタンス」について質問しています。第二新卒でもカルチャーマッチするならオファーを出し、著名人でもカルチャーマッチしなければお断りしています。

    • 日報に「改善サイクル」という項目を設けています。日々の業務で従業員がビジョンを意識し、体現できるようにしています。

    • 人事評価ではプロフェッショナルマニフェストの「3つのスキル」にスコアを付け、給与水準と連動させています。1人1人がマニフェストを体現して個人として成長することで、会社の粗利が増えて、会社から個人に評価・還元できるようにしています。

【課題に感じていること】

  • それぞれのVMMについて、Why(意義・背景)、What(内容)、How(具体的な振る舞い方)といったガイドを、従業員にスマートに提示できていません。必ずしも全員がVMMを納得・理解できているわけではないため、活躍・評価の格差を招きかねないと懸念しています。

  • ミッションの達成状況を経営目標に組み込めていません。受注社数や売上高だけではなく「何社のデータ経営を実現できているか」をモニタリングし、本質的な施策を講じることで「我々が社会を良い方向に変えている」と従業員に示せるようになりたいです。そこまで来ると人事領域を超えるので、セールス&マーケティングの担当者を採用し、二人三脚で進めたいと思っています。

  • マニフェストの「3つのスキル」に連動する形でスキルマップを整備できておらず、従業員が「ここを見たら全体像が分かる」という状態になっていません。それらしいリストがSlack、Notion、GoogleDriveの各所に散在しています。評価時にフィードバックの過程で認識を擦り合わせているものの、従業員体験としては不親切です。スキルマップをベースに、採用選考、人事評価、給与設定、アサイン、学習プランなど、あらゆる人事施策をスマートに連動させたいと考えています。

  • 優先順位は低いですが、マニフェストの「5つのスタンス」の見直しが必要だと感じています。「OJTでビジネススキルを身につければ済むことを大げさに言っているだけではないか」「スケーラビリティといった観点を追加したほうが良いのではないか」など、社内で改善提案が挙がっています。もっと人数が増えた後で、「自分たちは何を大切にしたいか?」「新メンバーとどのように目線を揃えたいか?」を改めて考えることになるだろうと思っています。

③目標管理・人事評価の仕組み化

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【これまで実施してきたこと】

  • 目標管理・人事評価こそが従業員マネジメントの根幹だということで、がっつりと仕組みを設計し、半年以上運用しています。リクルートの「Will・Can・Mustシート」や「フィードバック文化」、メルカリの「3つのValueにもとづく評価」、外資系企業の「キャリアラダー(等級制度)」や「QBR・MBR・WBR」など、私が過去に所属していた企業の制度を組み合わせています。

  • 特に「目標管理シート」や「週次報告フォーマット」は、試行錯誤して作りあげてきました。第二新卒のメンバーでも、これらのシートを定期的に記入して、諦めずにコツコツと改善を続ければ、一人前のプロフェッショナルに成長できるようになっています。

【課題に感じていること】

  • 入社直後や事務作業が苦手な人にとっては、ややヘビーな運用になっています。3ヶ月ほど続けていれば自然と習慣化するのですが、慣れるまでが大変です。軽量化できる余地は多々あるように思います。大事なポイントは抑えつつ、もっとライトな運用にできるはずです。

  • 目標管理・人事評価の運用において、プロジェクトマネジメントとピープルマネジメントを十分に分離できていません。MGRとの1on1が、メンバーケアの場ではなく、プロジェクトの週次報告(WBR:Weekly Business Review)で終わってしまうことがあります。Will・Can・Must のうち、Willは人事担当や専門マネージャー(例:エンジニアリングマネージャー)が、Canはシニア専門職(例:シニアエンジニア、シニアコンサルタント)が、Mustはプロジェクトマネージャーが寄り添う、といった従業員体験を実現したいと考えています。最近になってようやく業務委託のプロマネにスポット支援を受けるようになり、理想の体制に近づき始めたところです。PjMも正社員で採用募集を始めたいと考えています。

④体制図→職務定義→アサイン

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【これまで実施してきたこと】

  • 体制図のフレームワークを定め、各ロールへの期待事項を整理しました。単なるピラミッド組織ではなく、リード担当(案件推進者)を上に記載し、マネージャーや経営陣を下に記載するなど、自社の価値観を表現できているように思います。

  • 体制図とセットで、会議体や権限管理についても設計しています。「どの案件を担当しているか」x「どの役割か」によって、参加するミーティングや閲覧できる資料を切り替えるような運用にしています。

  • 1人1人のWCMを踏まえて、なるべく適任と思えるメンバーを、適任と思える案件に対してアサインしています。

【課題に感じていること】

  • アサイン調整作業が私1人に依存しており、なおかつプロセスやタイミングが不透明なため、従業員から度々「◯月以降の役割分担はこれで問題ないか」と相談が挙がっていました。現在は仕組み化をトライアル中です。①2月末までに4月のクライアント契約を確定し、②3月上旬にアサイン定例ミーティングを開き、③メンバーのWCMを考慮しながら4月のアサインを決める、という流れを作ろうとしています。

  • 深刻な人員不足で、体制図の20箇所に私の名前が掲載されてしまっています。「あと2人分の空きがあれば◯千万円の仕事を追加受注できたのに」といったシーンが多々あり、毎回もどかしい気持ちになります。会社全体のボトルネックになっているので、ガンガン採用活動を進めたいです。

  • 細かいのですが「Lead」という言葉が「L3グレードの呼び名」と「体制図上での役割名」の2つの意味を持ってしまっています。後者の役割を担えるグレードとして前者を設定しているのですが、同じ言葉が2つの意味を持ち、混乱を招くことがあります。本件に限らず、こういう細かいところに矛盾点や不備があり、ブラッシュアップが必要な状態です。

⑤採用戦略

【これまで実施してきたこと】

  • Analytics部門の採用戦略をまとめました。「1対1採用」といった採用全体のコンセプトを定めたり、職種ごとに【業務整理→要員計画→採用計画→ペルソナ作成→JD作成→ジャーニーマップ整理→タッチポイント設計】といったステップを経ています。アドバイザーの tweeety-san がフレームワークをまとめ、ヒアリングしながら整理してくださいました。

  • 採用ジャーニーマップをもとに「どの工程で離脱しているか」「どの工程にどのくらい時間がかかっているか」をモニタリングしました。「離脱率を下げる」「リードタイムを短縮する」ための改善活動に繋げています。

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業務整理
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ペルソナ
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ジャーニーマップ
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改善に向けた取り組み

【課題に感じていること】

  • Analytics部門以外の職種だと、採用戦略を策定できていません。「人事」「セールス&マーケティング」「経理」「情シス」の4つのポジションを募集開始したいのですが、調査・検討・作業の工数が足りていません。ここはシンプルにめちゃくちゃ困っています。

  • Analytics部門の採用戦略を定期的に見直したいです。これまでも何度か作り直してきたのですが、最近またギャップが生じてきました。私の深夜作業やtweeety-sanのサイドワークに依存してしまっており、持続可能な状態とは言えません。専任の人事担当がいないと回らない状態です。

  • 社内に対して「ここを見たら採用方針が分かるよ」という状態になっていません。

    • 会社がどういう状況で、どういう人が欲しくて、これまでの採用活動でどういう失敗・成功をしてきて、何を意識しているのか、といった情報を十分に共有できていません。

    • リファラル採用を始めようとしても「どういう人を紹介すればいいか」が、社員や業務委託メンバーから見えていない状態です。

  • 採用候補者に対して「こういう人を求めていますよ」という情報が十分に伝わっていません。

    • 風音屋に興味を持ってくださった採用候補者に対して「対策すれば入社できる」と言えるのが理想だと考えています。選考対策を通して、風音屋で求められるスタンスやスキルを身につけていただき、入社後にスムーズに活躍してほしいなと思っています。

    • 現状だと募集要項を読んでカジュアル面談を受けるくらいでしょうか。noteやtechblog、スライドや書籍を読めば、価値観やヒントは散りばめられています。しかし、どういう選考プロセスで、どういう点を見ているのか、どういう準備をしておいてほしいのかまでは明確に伝えられていないのが現状です。

  • リーダー層の採用は今の形式で問題ないのですが、ジュニア層の採用については「MENTA方式のほうが入社後にスムーズに活躍しやすいのではないか」という意見が挙がっています。採用してから育てるのではなく、育ててから採用できるような取り組みも同時並行で実施していく必要があると感じています。

⑥認知向上のためのコンテンツ発信

【これまで実施してきたこと】

  • 積極的に採用noteを更新しています。自分で全ての作業を担うのではなく、アウトソーシングを活用し、なるべくラクにサイクルが回るように試行錯誤してきました。

【課題に感じていること】

  • 記事編集の最後の部分がまだ属人化しています。ガイドラインやチェックリストを作ったり、対象者に文章講座を受けてもらうなど、仕組み化の余地はあると感じています。これぞという文章講座があればぜひお伺いしたいところです。

  • 「継続的にこのコンテンツから応募が来ている」「このコンテンツが採用プロセスのここに効く」といったキラーコンテンツが存在します。これを意図的に増やしたいと考えています。どういった内容がキラーコンテンツになるかはある程度見えているので、あとはいかに手数を増やすかだと思っています。単純に工数が足りていません。

  • 社内に眠っているコンテンツの発掘と外部発信を進めていきたいです。これは人事担当が直接作業するというよりは、現場のリーダーたちと一緒にやり方を考えていくところからスタートでしょうか。最近だと「データ品質の記事」「課題図書の紹介」の反響が大きく、これらの記事をきっかけに応募してくれた人もいました。どちらもオリジナルコンテンツは1年以上前に作られています。こういった「社内に眠っているコンテンツ」が山ほどあるので発信していきたいです。

⑦採用サイト・SNSの運用

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【これまで実施してきたこと】

  • 会社ホームページを運用しており、コツコツと改善しております。採用メディアに出稿していないにもかかわらず、常に一定数の応募が来ている状態です。

  • SNSをコツコツと続けており「フォロー数30/フォロワー数950」に育ちました。この規模・業態の会社としては頑張っているほうではないでしょうか。

【課題に感じていること】

  • 会社サイト(Notion + Wraptas)、採用記事(note)、Techblog(GitHub Pages + Jekyll)、SNS(X/Twitter)と複数チャネルを運営していますが、いずれも訪問者・管理者ともにUXが良いとは言えません。ツール自体の問題もあれば、コンテンツの情報設計に関する課題もあります。私が深夜作業で更新しているため、持続可能な体制とは言えない状態です。

  • GoogleAnalyticsなどのアクセス解析が十分にできていません。人事担当とデータアナリスト、データエンジニアがワイワイと一緒にデータを見たら、部署を横断したチームビルディングになりそうです。自社メディアを自分たちでデータ分析して、上手くいった取り組みをクライアントワークにも展開できるとカッコいいだろうなと思っています。

  • Indeedなどの採用媒体をもっと駆使すべきだよね、という話が度々社内で挙がっています。ここはシンプルに私の工数不足です。機会損失を積み上げ続けている状態で、地味に困っています。

⑧採用フロー:候補者対応

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【これまで実施してきたこと】

  • 候補者対応のマニュアルを整備し、都度ブラッシュアップを行っています。ルーティン作業はオンラインアシスタントにお願いしており、なるべく自分の稼働を割かずに済むようにしています。

  • カジュアル面談や1次面接には自分が顔を出して、なるべく候補者全員と話すようにしています。候補者が何に興味を持って、何を不安視しているのか、リアルな声(データ)を集めながら、採用フローや働き方を改善しています。多いときには1日で3人の候補者と話をしています。

【課題に感じていること】

  • イレギュラーなケースや候補者からのQ&Aについて、今は私が個別に1つ1つの判断・指示・作業をしてしまっています。コミュニケーションのボトルネックになってしまい、候補者の体験を損ねているように思います。

    • 作業レベルのマニュアルだけではなく、大まかな考え方をまとめたポリシー/マニフェストのようなものを整備したいところです。

    • よくある質問はFAQコンテンツとして公開するなど、候補者とのコミュニケーションを効率化できる余地は多々ありそうです。

    • 単純に私がそこまでリソースを割けておらず、やり切れていない状態です。人事担当者がメインの窓口となり、候補者対応をハンドリングできるようになると嬉しいなとは思っています。

  • 現在は、HubSpot、Google Group、Notion、Slackといったツールで、候補者とのコミュニケーションのやり取りや過去の記録が散在してしまっています。

    • 理想としては、ATS(採用管理ツール)を導入して、情報を一元管理すべきでしょう。ただ、ツール導入・データ移行に労力を割くとなると、相対的には他の施策を優先せざるを得ないのが実情です。強いて言うなら、採用媒体(例:Indeed)への入稿と連動するツールであれば「チャネル開拓」の文脈で導入しやすそうな印象はありますが……。

    • ここは人事担当だけではなく、情シスを採用してから皆で一緒に考えるのが良いかもしれません。優先順位はそこまで高くないですが、どこかで対応したいところです。

⑨採用フロー:面接

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【これまで実施してきたこと】

  • 面接官向けのリマインドやチェックシートなど、面接業務のオペレーションが回るように整備しています。

  • 面接を実施した後に30分ほど「改善タイム」を設けています。面接官(現場メンバー)から「こういう点を改善してはどうか」という改善要望を挙げてもらい、その場でマニュアルやシートを修正します。一気にあれもこれも直せないので、まずは1つだけ改善要望をあげてもらって、それを順次反映しています。

【課題に感じていること】

  • 面接官向けのガイドが十分に整備できていません。一定以上のグレードの従業員であれば、誰もが同じように面接官として振る舞えるようにしていきたいです。

    • 現状、複数人でキャリブレーションを行いながら、少しずつ目線を合わせていますが、まだ暗黙知から形式知に落とし込めていません。簡易的なメモがSlackやNotion、Google Driveに散在している状態です。

    • 面接の場でどのように振る舞ってほしいか、どのような発言をしてはいけないか、評価シートをどのような基準で記載するか、といった点が明確になっていないため、アドリブや都度判断に頼ってしまう場面があります。

  • 逆質問で何度か似たようなことが聞かれるので、もっと無駄を減らせるのではないかと思っています。ここも単純に私の工数不足で手が回っていません。

    • 採用メールのやり取り、カジュアル面談や面接の録画データを蓄積して、同じやり取りが何回かなされているようであれば、FAQコンテンツを作り、社外に公開してはどうかと思っています。プライバシーポリシーや応募フォームで「採用業務の改善のためにデータを使わせていただく」という点は既に許諾を取っています。

    • FAQコンテンツを発信しておけば、候補者が気になることを事前に提示できるので、安心して応募してもらえるのではないかと期待しています。同じ質疑応答をしなくて済むと、面接官の負担も減るのではないでしょうか。

⑩プロフェッショナル人材が働きやすい環境

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【これまで実施してきたこと】

  • 顧問社労士に相談しながら、各種規則やオペレーションを整備し、労使協定の締結や届け出を行いました。就業規則の分かりにくい点については補足説明のページを作り、従業員だけではなく、オファー提示の時点で採用候補者にも共有しています。

  • 「プロフェッショナル人材が働きやすい環境」として、以下のような制度を整えています。

    • コアタイムなしのフレックスタイム

    • フルリモート

    • 原則的に残業禁止

    • シニアメンバーには「週2日〜」の短縮稼働を認める場合がある

    • 在宅勤務の環境整備のために、超大型モニタ、昇降デスク、ハイエンドチェアといったオフィス用品を貸与

    • 業務に用いる電気代、インターネット代を補填できるように在宅手当を支給

    • レシートの写真をSlackに送るだけで立替精算・経費申請が可能

    • Slackスタンプを押すとオンライン秘書がタスク管理

  • 稼働の20%を斧を研ぐ時間に当てる「Kaizen Hour」制度を設けています。

    • スキルアップ学習、技術検証、記事執筆、OSSコントリビュートなどを実施し、書籍やツール利用料は会社負担としています。

    • 労働時間が120%になってしまったり、この制度が活かされないようでは本末転倒なので「金曜日をKaizen Hourに充てる」「人事目標シートにKaizen Hourを組み込む」といったオペレーションに落とし込んでいます。

【課題に感じていること】

  • 採用候補者や新入社員に趣旨が伝わっておらず、まるで会社が従業員のスポンサーになるかのような、アンマッチな期待を抱かれてしまうことがあります。従業員が高いパフォーマンスを発揮し、会社に貢献していただくための制度です。このあたりの誤解を招かないように、コミュニケーションやメッセージを調整しないといけないと思っています。

⑪コミュニケーション機会の創出

【これまで実施してきたこと】

  • 交流の場として、カジュアルに1対1で話す「Coffee MTG」や、毎週1回全員が集まって各自の取り組みを発表する「All Hands(全社総会)& TGIF(交流会)」を設けています。オンボーディングでは「Coffee MTG を申し込む」「TGIFで自己紹介プレゼンを行う」といった項目があり、これらのコミュニケーション機会を活かすことに慣れてもらっています。

  • オフラインだと「隣の席の先輩に相談しながら業務に慣れる」という働き方が可能ですが、フルリモートではその機会がありません。そこで「ペア作業」という枠を設けています。新しいプロジェクトに参画するときや、グレード昇格によって期待水準が上がったとき、ミスがないようにダブルチェックしながら作業したいとき、特定の作業に苦手意識があって克服したいときには「先輩のサポートが欲しい」とリクエストできます。オンボーディングでは「メンターにペア作業を申し込む」という項目を設けています。

  • フルフレックス(コアタイムなし)だと「生活リズムが崩れてしまう」「仕事のメリハリが効かない」といったことが起きがちなので、MGRと一緒にその日のタスクを整理する「Morning Check-In」や、複数人で時間を決めて作業に集中する「もくもく会」といった取り組みを行っています。

【課題に感じていること】

  • 案件で忙しくなったり、生活リズムが崩れると「参加できなかった」といったことが起きてしまいます。オフィスに集まっていれば、周囲が「最近調子悪そうだけど大丈夫ですか?」と声をかけたり、作業の手を止めて同僚の発表を聞くなど、コミュニケーションが自然発生するはずです。フルリモート&フルフレックスだとこのあたりのコミュニケーションが一手遅れてしまいやすいように思います。Google Meetを繋ぎっぱなしにする、GatherやRemoのようなバーチャルオフィスツールを導入する、オフラインのオフィスを設ける、定期的に会う機会を設けるなど、何かしらの取り組みが必要だと感じています。

  • 私のカレンダーが埋まってしまいがちで、メンバーが私に相談しにくいという問題が度々発生しています。大学の先生が「Office Hour」を設けているように、朝・昼・夕に30分ずつ「相談タイム」の枠を確保しておいたり、就業後にお酒を飲みながら雑談できる「yuzutas0’s bar」といった取り組みができると良いかなと思っています。1日あたり1〜2時間を捻出するには私の仕事を誰かに渡す必要があり、それはつまり採用を進めないといけないということで、悪循環に陥っている状態です。

⑫オンボーディング

【これまで実施してきたこと】

  • 入社初日から3ヶ月後までにやることを列挙した「オンボーディングのTODOリスト」を作成し、新規参画者にお渡ししています。

  • 前項の「Coffee MTG を申し込む」「TGIFで自己紹介プレゼンを行う」「もくもく会を開催する」「ペア作業を申し込む」など、コミュニケーションを促すためのアクションを含めています。

  • 業務に慣れるための「キャッチアップシート」や、業務で必要なスキルを揃えるための「チェックシート」「トレーニング」といったものを整備しています。

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オンボーディングのTODOリスト
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ビジネススキルの最低ラインを揃えるためのチェックシート
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業務一覧とキャッチアップシート
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プロのデータ人材として活躍するためのトレーニング「KDEC」

【課題に感じていること】

  • オンボーディングプロセスを通して、インプットやフィードバックの量が多くなりすぎてしまい、1人1人の情報処理力や適応能力に任せてしまいがちです。こちらは現在の最重要課題として、共同代表2人でディスカッションしながらチューニングを進めています。

    • 例えば、全員に同じ社内記事リストを案内しているのですが、一気に頭に詰め込もうとしてパンク気味になってしまったことがありました。1人1人のスキルや習熟度に応じた情報提供やフォローアップを実施できるように切り替えようとしています。

    • 全員がフレックスタイム(コアタイムなし)かつ在宅勤務としていますが、入社間もない頃や、集中的なスキル開発が必要な状況においてはオフィス出社にすべきではないかという話も出ています。隣の席の人と相談しながら仕事を進めたり、ホワイトボードで状況を整理したり、参考書籍が手に取れる場所に置いてあったり、ミーティング後にその場で振り返れる環境のほうが、スムーズに立ち上がれるだろうなとは思っています。

⑬定常的なスキル向上の取り組み

【これまで実施してきたこと】

  • 1人ずつ「こういうスキルを伸ばそう」という個人テーマを決めて、人事目標に組み込み、定期的に本を読んで輪読会で発表しています。話を聞く人たちにも刺激があり、「自分も同じミスをしていた」「耳が痛い」「学びになる」といった反応が毎回のように挙がっています。輪読会のスライドは将来のメンバー育成の教材として流用できるように蓄積しています。

  • 「ビジネススキル強化月間」「データモデリング強化月間」など、テーマを決めて、対象となるメンバー複数名が集中的にスキルを伸ばせるような取り組みを行っています。最近だと、エンジニアメンバーのプロジェクト推進力を伸ばすために「プロジェクトマネジメント講座」を開きました。

【課題に感じていること】

  • スキル向上施策については、私の思いつきでメンバーを振り回してしまっている側面があります。スキルマップを描き、身につけるべきスキルの一覧と優先順位を洗い出し、メンバー1人1人の状況に合わせて、最小限の負担で最大限の効果を得られるように調整していくべきだと感じています。このあたりは専任の人事担当に壁打ち相手になってほしいです。

  • 必ずしも全員がスキル向上施策に積極的に取り組みたいわけではないため、そうしたメンバーにとっては「居心地が悪い」と感じてしまう場面があるように思います。創業初期からプロフェッショナル・マニフェストを掲げ、「1人1人が成長できる環境を作りたい」と言い続けてきた中で、モチベートできるように環境を整えていくべきなのか、別のやり方があるのか、十分に考えられていない状態です。

⑭Analytics部門のキャリアパスの提示

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スペシャリスト職
- 案件リード → IC(Individual Contributor)→ 技術顧問/分析顧問/グロース顧問
- 専門家として海外カンファレンスでの情報収集、出版、学会での情報発信といった機会を提供

マネジメント職
- マネージャー(チーム運営) → Director(部門長)→ CxO(経営)
- クライアント企業に出向・兼務してデータ部門長に就任するといった選択肢も開拓中

採用・応募 > データエンジニア - 風音屋

【これまで実施してきたこと】

  • 採用候補者から「将来的なキャリアパスを教えてほしい」という質問が多く寄せられたため、5つのキャリアパスを設定・提示しました。

  • これらのキャリアパスが妄想で終わらないように、私自身が各コースの実績を作りました。

    • ①特定の事業・製品にコミットするキャリア:クライアント企業と5年以上の付き合いを続け、出向・兼務し、Chief Data Officerに相当するアクションを実施しています。担当した施策がIRに掲載されたこともあります。

    • ②専門分野の知見開拓・普及にコミットするキャリア:ベストプラクティスを日々開拓し、専門書を複数出版しています。東京大学の研究員になり、データ分析の結果を内閣府の論文として公開しました。

    • ③他分野を学び、掛け算で担当案件を拡大するキャリア:NoCodeツール(Kintone)を学んでデータ入力システムを納品したり、LLM(Open AI)を学んでデータの名寄せを自動化するなど、同業他社に先駆けて実績を作ってきました。

    • ④マネジメントの職務を担当するキャリア:まだ少人数なので自分自身がマネージャーを兼務する形で日々試行錯誤しております。CEOとマネージャーの人格が利害対立することも多く、正直なところ苦戦中ではあります。

    • ⑤プライベートを優先して週2日で働くキャリア:この会社が週末副業から始まったこともあり、最初からシニア人材には時短勤務を認めています。

  • 私が成功例を開拓した上で、その実績と信頼をもとに、同じ要領でメンバーたちに機会を提供しています。例えば、既に1人目が専門書の執筆を進めています。

【課題に感じていること】

  • たまに聞かれる「代表だからできたのではないか?」「他の社員もできるのか?」という質問には、今の時点ではまだ答えられていません。時間を費やして徐々に実績を増やすしかないように思います。むしろ「自分が事例を増やしてやるぜ!」という気概のある人が楽しく働ける環境だと感じています。

  • 努力なしに機会が得られるかのように誤解されてしまい、アンマッチな期待を抱かれてしまうことがあります。「キャリアパスを提示する」「挑戦の機会を提供する」とは言っていますが、成功を得るためには相応の努力や実績・信頼が必要です。このあたりの誤解を招かないように、コミュニケーションやメッセージを調整しないといけないと思っています。

  • 実績を作ってみましたが「キャリアパスを不安に感じている」という採用候補者が求めているのは、こういった情報ではなかったのだろうなと思います。一部の社員の目標になっているようなので、取り組み自体は無駄ではなかったのですが、これ以上はキャリアパスの説得材料を充実させる必要はなさそうです。経営リソースの配分先としては不適切だったと思います。

⑮労務系の事務作業

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【これまで実施してきたこと】

  • 入退社の手続き、勤怠管理、給与計算・振込、災害や無断欠勤時の安否確認、一通りの仕組みを整えています。ルーティン作業はオンラインアシスタントやキッティング業者にお願いし、なるべく自分の稼働を使わないようにしています。

  • 従業員から「こういうときってどうすればいいですか?」「この作業が不便なので直してほしいです!」といったフィードバックを受けたら、仕組みを改善し、反映しています。「今週のアップデート」や「今月のアップデート」といった形でアナウンスしています。

【課題に感じていること】

  • イレギュラーなケースでは、今は私が個別に1つ1つの判断・指示・作業をしており、従業員のフィードバックから修正反映までにリードタイムがかかってしまっています。また、深夜作業になりがちで、持続可能な体制とは言えない状態です。人事担当がメインの窓口になって業務を推進していただくほうが健全だと感じています。

  • 制度を新しく作ったりアップデートしていると、会社の変化が早すぎて、メンバーを混乱させてしまうことがあります。変更管理の手順を定めたほうが良いと感じています。例えば、All Hands(全社総会)で説明会を行い、1週目に「変更の意図・背景」を伝え、2週目に「具体的な変更内容」を伝えることで、メンバーが変化を受け入れるための時間のゆとりを作るといった方法が考えられます。

  • 保険証の発行・回収など、行政や従業員と郵送でやり取りをする作業があるのですが、フルリモートでは厳しいなと感じています。私の予定が終日ミーティングで埋まると、徒歩10分の郵便局に行けるチャンスすらなく、従業員の手元に保険証が届くまでお時間をいただいてしまったこともあります。保険証が手元になくても保険適用の受診は可能ですが、あまり良い体験でないことには間違いありません。

⑯経営陣へのネガティブフィードバックの受け皿

【これまで実施してきたこと】

  • 外部のアドバイザーにお願いして「会社の魅力・課題」について、匿名アンケートを実施しました。経営陣にも回答者が分からないようにマスキングしてもらっています。会社の課題をフィードバックしていただくことで、どういった改善が必要なのかが明確になりました。

  • 合同会社から株式会社に切り替えるタイミングで、ガバナンス担保のために共同代表制としました。共同代表がお互いのハラスメントを監視できるようにしています。従業員は、私からハラスメントを受けた場合に、共同代表の竹信さんにエスカレーションできるようになっています。

【課題に感じていること】

  • 従業員フィードバックをリアルタイム&定期的に実施したいと考えています。本来であれば経営陣は、個々の細かい作業ではなく、従業員や取引先からのフィードバックを沢山受け止めて、会社の改善にコミットしなければいけないと思っています。

  • ハラスメントについては、最低限の窓口・プロセスを用意しただけであり、予防・検知の施策を十分に講じていません。ハリボテでは意味がないので、Well-Beingの実現を推進すべきだと考えています。

  • 共同代表以外の通報窓口を適切に機能させるべきだと感じています。経営にコミットしている立場だと、1人の従業員に100%寄り添いきれないような場面が出てくるように思います。そういった場面で「従業員の体験」にコミットし、経営陣にも率直な意見を言えるような従業員代表・人事担当が必要だと感じています。

おわりに:人事担当を募集したい

風音屋という会社が「人事の重要性と本気で向き合っている会社なんだな」「人事をきちんとやろうとしているんだな」と伝わってもらえると嬉しいです。

メンバーフォローアップは共同代表の竹信さんに、採用戦略はアドバイザーのtweeetyさんに、スキルアップ施策の推進はリーダー陣にサポートしていただいています。オペレーション面ではオンラインアシスタントの方々に作業をお願いしつつ、適宜マニュアルを整備・改善してくださっています。

とはいえ、人事担当の専任者がいるわけではなく、未だに代表である私自身がハンドリングしている状態です。イレギュラーなケースが発生したら、他の作業の手を止めて、毎回1つ1つの判断・指示・作業を実施しています。どうしてもリードタイムが発生してしまいます。

社内制度についても、作業時間を安定して確保できるわけではないので、深夜や土日にコツコツと整備してきました。稼働に限りがあるため、妥協に妥協を重ねており、どうしても対応が後手に回ってしまっています。メンバーを混乱させてしまったり、負担をかけてしまった場面も多々あります。

従業員体験を向上させるための人事活動なのに、従業員の負担が増えてしまっては本末転倒です。「もっと従業員の体験向上にコミットしていきたいのに」という歯がゆさを感じています。経営者が片手間で人事業務をこなすには、完全に限界を迎えている状態です。

人事担当の専任者を採用し、助けてほしいなと思っています。まだ募集要項も作成できていない状態ではありますが、少しでも興味を持ってくださったら、ぜひカジュアル面談でお話させてください。


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風音屋の広報noteです。『実践的データ基盤への処方箋』『データマネジメントが30分でわかる本』の著者 @yuzutas0 が代表を務めています。経営レポートやKPIモニタリングの自動化、データ分析基盤の構築・運用など、データエンジニアによる支援サービスを提供しております。
この1年半で実施した「16の人事施策」を振り返る|風音屋(かざねや)
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